茶人としての第一歩。 | 深澤里奈オフィシャルブログ「tea journey」Powered by Ameba

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今日は、とても嬉しいことがありました。


ご報告いたします。


15歳のときに、江戸千家のお家元、川上宗雪宗匠に


直門として弟子入りして


今年の10月でまる18年となり、19年目を迎えました。


そして今日、その上達により『師範』としての許状をいただきました。


『道号』、つまり『茶人』としていただいた名前は


『里雪』でした。


お家元の『宗雪』から「雪」の字を。『里奈』から「里」をとって


『里雪』です。





なぜ私が茶の湯を始めたかというと、


それは祖母の影響でした。


幼い頃から母は働いていて忙しかったことと、


祖母と母がとても仲が良かったこともあり、


私は頻繁に祖母の家に遊びに行っていました。


すると、必ずといっていいほど祖母は私に


お作法関係なく、お抹茶を点ててくれたのです。


子供にとってはきっと苦いお抹茶のはずなのに、


なぜか私は、「おいしいな」と思っていました。






普段は洋服の祖母でしたが、


ちょっとしたお出かけとなると、かならず着物を着ていました。


その姿を、子供ながらに「かっこいい」と感じていた私は、


高校に進学したのと同時に、自分から


「私もお茶を習いたい」と


祖母におねだりしたのです。


なにをどう見込んだのか分かりませんが、


やはり師範であった祖母は、自分が慣れ親しんだ江戸千家に


私を連れて行きました。


お教室ではなく、お家元に。


最年少だった私は、いきなり大人の世界に放り込まれたような


ものでしたが、今まで見たこともない体験したこともない


茶の湯の世界に魅了され、


午前中で高校の授業が終わる土曜日、午後から制服で


通い続けました。正座に苦しみながら。






大学受験、就職活動、就職してからは多忙な毎日。


高校生のときほど頻繁に通えなくなり、


それでも年に1度以上はお稽古をしていましたが、


決して熱心な弟子ではない時期もあり、


私よりももっと熱心に家元に直接師事する「直門」として


お稽古したい方が大勢待っているのなら、


辞めたほうがいいのだろうかと


思うときもありました。






フジテレビのアナウンサーとして、


月曜日から金曜日まで、毎朝レギュラー番組を


担当していた頃、祖母は癌の手術を2度ほど受け、


とうとう一人で生活できなくなり、


母と私と3人で暮らすようになりました。


一人でベッドから起き上がることすらできなくなった


祖母のからだを、後ろから支えて起こしてあげた時、


「ああ。気持ちいい。りーさん、ありがとうね。」という祖母に、


泣いちゃいけないと思いながら、我慢できなくて


ボロボロ泣いてしまいました。


もう先が長くないということを、祖母に悟られたくなかった


のですが、今考えるときっと祖母はとうに気付いていたのかも


しれません。


そのとき、私は祖母に約束しました。


「おばあちゃん、私絶対にお茶やめないからね。」






祖母が亡くなったのは、1998年12月24日。


今からちょうど10年前です。


この節目の年に、できの悪い私は、ようやく


師範の許状をいただくことができました。





心残りは、祖母と一緒にお茶の席に入れなかったことです。


もっと色んなことを聞いてみたかった。





今日、許状をいただくとき家元がおっしゃいました。


「今日、茶人としての名前をもらったわけです」と。


そう。


いよいよ、ここからなんですね。


里雪という名に恥じることなく、


『ふる里に降る雪のように』、清く優しいお茶を点てられるように


なりたいです。


一服のお茶は、ときに言葉よりも優しく、そこに


寄り添ってくれるような気がします。






私が茶の湯から感じている『何か』。


それは、とても尊いものだと思うのです。


教室を開くつもりは、今のところありませんが


これからは、私が感じるそんな「こころ」を


お伝えできる場所も、徐々に探していきたいと


思っています。


そんな折には、またブログでお知らせします。






今夜は帰宅してから、祖母の椅子を用意して


祖母のために簡単にお茶を点てました。


久し振りに、目の前に祖母がいるような気がしています。






茶の湯を知るきっかけを作ってくれた祖母、


学生時代、お月謝を払ってくれた母、


ブランク時代、待っていてくれた友人、


再開の時、温かく迎えてくれたお家元、


そして社中の皆様、


お稽古を続けるのに協力してくれる仕事仲間。


心から感謝しています。