☆私の本棚☆
読んだ本について思うところを書いています。
あくまでも個人の感想です。
天石東村編
『書道技法講座10 行書 風信帖・灌頂記』
実は、昨年の緊急事態宣言の時に、一念発起して書道を学び始めた。
やはり書を知らずして空海は語れない。
そして自ら筆を持たずして書は語れない。
義務教育の「書写」の授業以外で筆を持ったことがなかった。
義務教育の時も、習字教室に通っている子の方が圧倒的に上手いので、下手な自分が嫌で(負けず嫌い)、毛筆にはずっと苦手意識があった。
しかしながら、空海の誘惑にはどうにも勝てない。
50歳代も半ばで、初めて習う書道。
しかも、時はコロナで自粛ムード満載。
というわけで、通信教育のユーキャンで、書道を学ぶことになった。
通信教育ということで、そんなに期待していなかった。
なんとなく書道の真似事ができればいいかな、コロナがおさまったら、ちゃんとお教室に通って、とか思っていたが。
ユーキャン、恐るべし!
ユーキャン傘下に「日本書道協会」という団体があって、ちゃっかり入会することになった。
月に1回課題を提出すると丁寧で優しい添削指導(褒めて育てる方針か?)が返ってくる。
技能検定試験もあって、この1年で漢字2級、かな4級を取得した。(最初は8級から)
漢字(行書・楷書)、かなの基礎を1年でひと通り学び、こちらは応用編の添削課題。
師範級の方のブログ記事にあるような達筆の作品に比べれば、恐ろしいほど未熟であるが、書道歴1年(しかも仕事が忙しくてほとんど練習出来てない←言い訳)ゆえにお目汚しご容赦願いたい。
先生のコメントが実に優しく、ホントにアタシ、ウマいんでないの?と勘違いしてしまう![]()
それにしても、是と鑑が特に難しく、両方とも緊張して一画目がガクガクしている。
まさに心の乱れは書の乱れ。
わかる方はわかるだろうが、お手本はいきなり『集王聖教序』!
空海も当然学んだ王羲之!
もう王羲之が書けるなら、空海の書にも手を出したい、と思うのが人情。
そして気の早い私が、標記の『書道技法講座』を購入したのだった。
この本の冒頭に、天石東村先生の「風信帖・灌頂記を習う人のために」という序文があり、そもそも書を学ぶ心構えが語られており、大変勉強になった。
王羲之の影響の強い『風信帖』と顔真卿の影響が強い『灌頂記』について丁寧な解説がされている。
一際目を惹いたのは、「空海の書と、王羲之、顔真卿の書との比較」のところ。
(以下引用)
「技法習得の過程において、原本を臨書してその技法を再現することは比較的容易であるが、原本を離れて、手本なしで自力で書く力がついてこそ学書の真の価値判断ができるのである。風信帖や灌頂記にかもし出されている神気は、空海の人間性を背景に至高の技法に到達した結果である。」
(引用終わり)
神気、人間性、至高の技法!
死ぬまで追いつける気がしない、空海!
偶然にも、日本書道協会の会報「清心」の6月号の巻頭言で、協会講師の岩切方皇先生の「私の好きな古典」に、空海の『風信帖』が挙げられていた。
そして、岩切先生も、何度『風信帖』の「風」を書いても、納得のいくものが書けないとおっしゃっている。
それは、「空海の人間性」からくるのだろうという。
ここでも「空海の人間性」!
追いつけない。
でも、いつか追いつきたい。
私にとって、また一つ、遠い目標ができたのである。






