追憶



あなたは私に沢山の


愛情を注いでくれました


私が生まれた


その時から


あなたはいつも


一緒にいてくれましたね



誰よりも深く


私を愛してくれた


あなた



見て下さい


私はこの通り


あなたの愛で


大きくなりました



あなたが私の傍から


いなくなった時


私は心が張り裂けそうに


なるぐらい哀しみました



泣いて  泣いて  泣き疲れて


幼いあの頃の


夢を見ました



私を怒ってくれた  あなた


私を抱き締めてくれた  あなた


私を褒めてくれた  あなた


私を愛していると言ってくれた  あなた



今はあなたの姿が


消えてしまったけれど


その存在はいつも


私の胸の中に在ります



あなたとの沢山の


想い出を糧に


私は一生懸命


生きてゆくことを


誓います



どんなことがあっても


希望を捨てずに



何があっても


立ち向かってゆきます



なぜなら


その心こそ


あなたが一番に


望んでいる筈だから



私にとって


あなたは大切な人


だから私は


強くなります



あなたが人に


誇れるような


人間に成長できるように



あなたとの想い出を


心のアルバムに


そっと秘めながら


私は生きてゆきます



あなたのように

     君の声




冴ゆるこの季節


澄んだ音色で


君の呼ぶ声が


ぼくをあたたかく


包むよ



だから


ぼくも


ありったけの


思いを込めて


君の名を呼ぶんだ



冴ゆる夜に



    鳴き声



それはかくも、


笹泣きに似ている



まだ明けない


空の下で


かぼそく泣き続けている


まだ春は


遠いというのに


なぜにおまえは


そんなに泣きいそぐ



細雪がつめたかろうに


朔風がつらかろうに



それでも


我れは


「此処」にいると


主張している



そんなに泣かなくても


おまえが


「其処」にいることは


わかっているというのに



悲しげな声で


朝霞から


夕時雨まで


冴ゆる風にのせて


その声が響く



泣きたいのなら、


泣くがいい



けれど


これだけは


忘れないでおくれ



おまえが


「存在」しているということを


知っているということを



どうか


忘れないでおくれ




      ※笹泣き~冬、鶯の子が整わない声で泣く


          こと。また、その泣き声。

    夕かげ



やわらかな空気の中


淡いいとしさが溢れる


心に灯をともして


そのすがすがしいまでの


あたたかさにくちびるが揺れる



冬のいっしゅんの暮れ往くかげの中


やさしくあなたは笑う


まるですべてを知ってるかのように


どこまでもやさしく・・・やさしく



この、淡い光の中


あなたは逝ってしまうんだね


なんて美しい風景だろう


まるで一枚の絵画のように


はかない微笑をやどしたまま


あなたは逝くーーー



夕かげよ、夕かげよ


ああ


どうかこのままで

    祇園月夜



ある男と女の物語



祇園精舎の月の下(もと)に男と女


男は深く女を愛し


女は深く男を愛していた


女はある商家の娘だった


男は貧しい浪人



月の揺れる水面のそばで


二人は抱き合い、愛し合い、分かち合った


だがやがて父の知る所により


娘は男と引き離され、ある立派な家に


嫁がされた


女は泣く泣く男に別れを告げ嫁入りした


男は泣く泣く女を諦め途方に暮れた



離れれば離れるだけ


逢えなければ逢えないだけ


二人の想いは赤い炎と化した


格子窓から月を眺めては男を想い


酒の杯に映し出される月を見ては女を想った



空に光る星の林をも打ち砕くほどの


秘めやかな想いに身を焦がし


終(つい)には家を捨て身を捨て


月の出ぬある晩に


二人手を取って駆け出した


離れぬようきつく、きつく手を結び


儚い一時を惜しむかのように慈しみ


悲しみの微笑みを交し合う



大きな桜の木の下


漸く追いついた女の亭主が


罵詈雑言吐いて大きく刀を振りかぶる


調度真上に翳(かざ)した時


どこに隠れていたか祇園の月が顔を出した



まっすぐに振り下ろされる刀刃(とうじん)の


月の光が射して煌くのを見た刹那ーーー


男をとっさにかばった女が


ゆっくりと地面に倒れてゆく


今生に見た景色は自分を斬りつけた


瞬間飛び散った血飛沫(しぶき)が空に舞い


月に映えた美しいまでも哀しい情景



茫然と立ち竦む亭主に向けて


女の血を浴びた男が狂気の如く斬り伏せる


ひざまづいて女の頬を優しく


撫でながら男は狂泣(くるいなき)し


自らの刀で己(お)のが首を一突き



哀れや哀れ、


これが祇園に生きる男と女の悲しい宿命(さだめ)



ただ残るは狂気を孕んだ桜の花と


冷たく光る月だけだった

    とけいそうの丘



ぼくは君に愛を


誓うよ


永遠よりも


深く甘い愛を



心から君を愛している


真実の心を


君に届けたい



君はそっと微笑んで


ぼくを見つめて



このとけいそうの花にかけて


二人誓おう


永遠の愛を


この丘で



教会の鐘が


鳴り響く


この聖なる地で


二人心に想うことは


ーー愛しているーー


草で編んだ指輪を


君に贈るよ



そっと口付け合って


愛を囁き合って



聖なる秘密の


結婚式を挙げよう

    惑う



私はまだ闇の中


光のまったく無い


暗黒の穴の中


いくら手を伸ばそうとも


天の陽(ひ)は見えず


希望も夢も


生きる糧さえも見い出せない



もうあながう力も


戦う勇気も


湧いて来ず


まるで獣のような呻き声で


己を呪うのみ



私はもう


空を見ることができないのだろうか


輝かしい未来も無く


ただ情けなさに途方に暮れるばかりで


もう何も


持てぬのだろうか



総て流れに流されて


そこに自分の意志は存在せず


堕ちる所まで堕ちて


ふと気付いたら


光の無い世界



何を置いてきた?


何を捨ててきた?


何を・・・

   すみれのうた



決して目立たず


ただひっそりと


咲いている小さな花



小さい  小さい存在だから


あまり気付いてもらえない



だけど私は知っている


貴女が本当は強いコト



どんな風にだって


負けないってコト


私は知ってるよ



私よりもしっかりしていて


優しい心を持っている



誰よりも気持ちが真っ直ぐで


温かい心を持っている



そうしてこんな私にも


優しい愛を注いでくれる


姿は小さいけれど


存在は大きい小さい花



そんな貴女だから


いつも綺麗に咲いている



私は貴女の存在を


知っている



貴女はいつも


私の心の中で咲いているから


その綺麗な姿で



いつまでもそうしていて


いつまでも私の心の中で


綺麗な花を咲かせていて



     月の桂



夢は夢でしかないのだろうか


あたしには


大きな大きな夢がある


空回りばかりして


焦ってばかりいるけれど


それでも


決して諦め切れない


大切な思い



真夏の月よ


桂よ



どうか


あたしの願いが


叶いますように


今宵も


あなたに祈ろう




      ※月の桂~8月の異名。月の中に生えているという


          桂の木の伝説で、中国では桂月と呼ばれる。


          「月の桂を祈る」とは、難しいことが叶う喩え。



    ささゆりとあなた



あなたを花に


例えるなら


まるでささゆりの


ような人です



綺麗な微笑み


物静かな佇まい


誰もがあなたに


憧れている



白く可憐で


美しいささゆり



まるであなたのように


気品溢れる


光々(こうごう)しい姿



ぼくの瞳は


もうあなたしか


映さない