笑え!



苦しい時  辛い時  もやもやした時


大きな声で笑え


声高らかに大きく笑え



笑ったとて何も変わりはしない


しかし大声で笑うのだ


大人たちに笑われても


友達に蔑まされても


気にせず大声を出せ!


空しく感ずるな!


勇気を持て!



何をぐずぐずしている?


今、この時を逃したら後がない


己を信じよ!


他人を恨め!


友を傷つけよ!



行け!  行くんだ!


未来の果てまで


大きな笑い声をたてて

   冒険



街が眠りについたらゆこう


銀の小舟で夜の街を


抜け出そう



赤い花びらも


青い花びらも


いらない



冒険しにゆこう


ただ夢を求めて


輝きを求めて


遠くの星を目指してゆこう



さざめく星たちは何をまっている?


煌々と輝く月は何を望んでいる?



あなたは何が欲しいの?



答えを求めてゆこう


あなたを受け入れてくれる


世界があるはずだから


諦めないで


勇気をもって


旅立ってゆこう



街の明かりが点く前に


人が気付く前に


早くゆこう



そうして美しい光の珠を


見つけよう



街が起きたら


何かが変わっているかもしれない


世界が、


思想が、



素直に行動しよう


そうして


夢見てゆこう

    雪見草



私は向日葵になりたかった


朝顔になりたかった



太陽から愛され


少女から口づけされる


美しい花になりたかった



私の周りには雑草だらけ


小さい小さい私に


覆い被さって


嘲笑っている幾多の雑草たち



ああ!


お願いだから私を美しい花にして


願いは天に届かず


祈りは神に届かず


私はただ涙にくれる



輝く太陽に愛されたい


少女に口づけされたい


ただそれだけなのに


届かない思い



風が吹いて


雨が降って


雪が積もって


そうして


私はどんどん


落ちぶれてゆく


花にもなれずに



ただ大輪の花となる夢だけをもって

   詩 (うた)



叫べ!


怒れ!


腹の奥底に隠し持っている


その塊を


今こそ弾き出せ



嘘もたてまえもかわいさも


剥ぎ取って


己に生きよ



何をためらっている?


何を待っている?



何も変わらぬ


何も変わらぬ



それ行け!


それ行け!



今こそ


高く翔ぶのだ


今こそ


尊き人になるのだ



天を貫け


青き星を眺めよ


そうして


叫べ、怒れ


苦しきもやもやを


淋しき感情を


その眼をもって


その心をもって


進んで行け



辛くはない


悲しくはない


お前の生きる道


お前の選んだ道



貫け


燃えよ


その生命(いのち)が


尽きるまで



海も山も河も谷も


憚るがよい



お前は負けぬ


越えよ


翔べよ


突き進め!



苦しみを


喜びにかえて



大龍の如く


雲を突き抜け


天を目指して


高く昇って行くのだ

  道



とてもとても長い道


まだ先は見えない


暗くて冷たい土を踏み締めながら

 

一歩一歩進んでゆく


足が痛くても辛くても


止まらず進んでゆく



とてもとても険しい道


まだ道は終わらない


黒くて淀んだ空を仰ぎながら


一歩一歩歩んでゆく


足が重くても冷たくても


休まず歩んでゆく



綺麗な花畑も


小鳥の囀りも


小川の細流も


緑豊かな樹木も見ずに


ただ前を見て歩いてゆく


遠い遠い終わりを目指して


まだ見えない道の果てに突き進んでゆく



後ろは振り返らず


横も見ないで


ただ自分の前にある道だけを見つめて


     からす

   


嫌われもののからすは

   

誰からも愛されない

   

慈悲の心があっても

   

精進の心があっても

   

愛されはしない

   


冷たい冷たい冬も

   

ひとりぼっち

   

笑っても泣いても

   

誰にも気付かれない

   

暑い暑い夏も

   

ひとりぼっち

   

微笑んでも悲しんでも

   

誰にも気付かれない

   


嫌われもののからすは

   

誰からも信用されない

   

尽くす心があっても

   

信頼されはしない

   


寒い寒い秋も

   

ひとりぼっち

   

怒っても喜んでも

   

誰にも気付かれない

   

暖かい暖かい春も

   

ひとりぼっち

   

吠えても黙っていても

   

誰にも気付かれない

   


哀れからすは

   

誰からも愛されず

   

誰からも信頼されず

   

死んでゆく


   


誰にも気付かれず

   

死んでゆく

   


ただ知っているのは大空だけ

   


今日も空はからす色

   


   雨の音



ぽつぽつと木の葉に落ちる雨の雫よ


誰が泣いているのか



天神か


窓辺に寄り添う乙女か



そんなにわたしが憎いのか


そんなにわたしが許せぬのか



どんなにその美しき涙を流そうとも


なにも、わたしは変わらぬ



ああ


泣かないでおくれ


詩(うた)をうたうから


営みを愛すから



喜びの雨の雫となるまで


その眼でわたしを見よ


その眼でわたしを満たせ



ああ


この全身をその御(おん)雨で


流してくれればどんなにいいことか



ああ


泣かないで



わたしはわたしを愛するよう


勤めるから



いつの日か


自分を誇りに思えるように


働くから



雨よ


天の雫よ



わたしの穢れを総て流し


生命(いのち)の煌めきを浴びせておくれ



ああ雨よ

   無情



私は友人を食べました


お腹がすいたのです


すきすぎて


すきすぎて


しかたなかったのです


私の前を友人が通りかけました


おいしそうな


おいしそうな


友人


かわいらしいあなたを


思わず食べてしまいました



私の前を通りかかったのが運のつき


諦めて下さい


大丈夫


悲しまないで


私はあなたを大切に食べたのだから


あなたはよく味が出ていておいしかった


おいしくて


おいしくて


思わず涙が出ました



たくさん


たくさん


涙が出て


気付いたらあなたになっていました


そうです


私は生まれ変わったのです


私は私ではなく


あなたという人間に


なんて素敵でしょう!



鏡に映したあなたは


やはりとてもおいしそうでした


右手をかじってみました


味はかわりません


左手をかじってみました


味はかわりません


鏡に映しだされているあなたは


あなたを食べている


おいしいですか?


これでおあいこ


さあ


もっと食べて下さい



もぐもぐもぐ


もぐもぐもぐ


よくかんで


もぐもぐもぐ


もぐもぐもぐ



そうして


あなたも私も


食べ尽くされてしまいました

   空(から)



苦しくて  息もできない


辛くて   息もできない


今の自分が憎らしい


なのに  なぜ生きている?


なにを求めている?


なにを期待している?


なに一つ答えなどわからないのに


それでもなにか見つけたくて


生きている



溜息だけが溢れ出て


心にはなにも浮かばない


一体自分の心はどこに


置いてきてしまったのだろう


真実は?


夢は?


希望は?



今はなにも考えたくない


ただ空を見上げていたい


ただ地面を睨みつけていたい



戻れるのだろうか


また昔の自分に


戻りたい  戻れるものならば



今はまだ空は灰色だけれど

  イカロスの翼



遠い  遠い


ギリシャのイカロス


蝋で作った重たい翼


太陽の熱で溶けて


あわれ  イカロス


まっさかさま



昔  昔


ギリシャのイカロス


一生懸命作った蝋の翼


我が身を振り返らず


あわれ  イカロス


まっさかさま



どこまでも  どこまでも


墜ちてゆくイカロス


父は天から見下ろしている


涙を流してももう遅い


後悔してももう遅い


あわれ  イカロス


まっさかさま



墜ちて  墜ちて


どこまでも


墜ちた先は地獄の果て


己を顧ず


驕った罪


あわれ  イカロス


もうたすからない



一生  重い鎖に繋がれて


一生  天の恵みも受けられず


真っ暗の中で


生き地獄



やがて声嗄れ  体枯れ


それでも許されぬ


重い罪


父の声も届かず


ああ  あわれ



死んでも鎖は外されない


重い  重い


鎖を引き摺って


いつまでも生きてゆくがよい


イカロスよ



あわれ  イカロス


恥じるがよい