野良猫タヌちゃん 10. | ブログ.

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事実は小説よりも奇なり.
Truth is stranger than fiction.

息子りんの絵と猫と, 愛する人生と.
Rin’s arts,cats,and loved life.















そして
野良猫タヌちゃん
2024年2月12日の夕方には
ご飯はわたしからは全く食べなくなり
ハウスの中にいたが















その後わたしが
次女宅に泊まりに行くことになっていて
13日のお昼頃帰ってきたときには
うちにはいなかった















そして
夕方散歩がてら
タヌちゃんがご飯をもらう
もう一軒のお宅の前を通ったら










玄関前にいたタヌちゃんは
そこの奥さんに抱き抱えられる形で
餌場に連れて行ってもらっていて












その光景に
「ああ、もう、そんな状態なんだ…」








さらに覚悟をしながら
それを味わいながら
胸がいっぱいになりながら
散歩に向かった













そして
帰りにもまた
そのお宅の前を通ると
奥さんとタヌちゃんがまだいて











今までは
頭を下げる挨拶くらいしか
した事がなかったが
初めて声をかけた












そして
想像以上に可愛がられ
大切にされていることがわかったが











それは
わたしのタヌちゃんへの
狂ったような愛
再認識する時間でもあり











わたしは
時おり涙を流しながら
その方と
野良猫タヌちゃんやクロちゃん
色々な話をした











そして
昨日まではご飯を少しは食べたが
今日はもう食べないと言われ
タヌちゃんはもう動けなくなっていて
玄関の隅にタオルが敷かれていて










ああ、もう
ここで最期を迎えるのかもしれない…
と思いながら
家に帰った













そして
夜になりわたしは
そのお宅に黙って
何度もタヌちゃんを見に行った












それは
最期のお別れのつもりで行ったり
カイロだけでも…と思って行ったり
うちには今日も夕方前からいつものように
タヌちゃんがいつ帰ってきてもいいように
カイロを幾つも入れた
かまくらベッド入りのハウスを用意したので
そこに連れて行こうか…と思ったりしながら
何度も何度も見に行った











でも
カイロを幾つも持って行ったら
カイロが一つタオルの下に敷かれていたり
寒そうだったので毛布に包んで
連れて帰ろうとしたら
段ボールの中に入れてもらっているなど










やはりわたしは
〝何もしない〟方がいいんだ…
と思うタイミングばかりで









結局
撫でたりするだけで
見守るだけで
カイロも毛布も持ち帰り
手を引っ込めて
帰ってきた











でも
何度目かに見に行ったとき
タオルもカイロも段ボールも
用意してもらっていたが











その中で
何か落ち着かない様子でいる
タヌちゃんを見たとき
居ても立っても居られなくなり











「やっぱり
家のハウスに入れてあげたい…」 
と強く思った









そして 
タヌちゃんと
苦しいくらい純粋で
爆発した時間を過ごしたことを
思ったとき










どこか自然の中か
わたしの家で最期を迎えるならわかるが
それ以外で…というのが
それがタヌちゃんへのわたしへの愛かもしれない
とも思ったが
どうしても落ち着かず












それは
2歳で突然脳障害を負い
世界一ハードな脳障害のリハビリを命懸けでし
15歳で爆発的な絵の才能を発揮するまで

ほぼ一人で深く関わり続けてきた
狂うくらい純粋に愛してきた
今24歳の息子
似ていて








それに納得はいっているし
元夫には感謝しかないし
それは息子のわたしへの愛だとわかったが
狂うくらい悲しかったのと
同じだった











「でも…
タヌちゃんがここを選んだのだから…
それは、わたしのエゴだ…」
とすぐに思い直した











「でも、わたしが家に連れて帰りたい…
という気持ちは
タヌちゃんも同じ気持ちなんじゃないか…」
と思い











それも
言葉は話せるが
重度の知的障害者と判定されている
息子とのやりとりと似ていた











そしてわたしが
ヌちゃんにハウスを作ったり
そこにカイロを入れたりするのも
全て自己満足で






 



だから
「それを選ぶか選ばないかは
タヌちゃんが決めたらいい…」
と思っていたら
全てタヌちゃんが受け入れていったように











だから
「わたしの喜びや安心や落ち着きは
タヌちゃんとイコールかもしれない…」
と思い












「でもタヌちゃんは
最期はこの場所を選んだんだから…」













わたしの頭の中は
もう、ぐるぐるぐるぐると
もう、どうしたらいいかわからず













答えが出ないまま
わたしは
家とそのお宅の間を
行ったり来たりしていた

















でも 
何度かそれを繰り返していた
ある瞬間、突然
わたしはタヌちゃんを
段ボールから出した

















そして
細くて軽くてペッタンコで
今にも折れそうな
タヌちゃんを胸に抱えた




















そして
家に向かって走った
逃げた
















もう、それは
自分でも
何が何だかわからなかった














それは
わたしなのか
それを映画のように
見ているのがわたしなのか
わたしは誰でどこにいるのか
もう、何が何だかわからなかった
















もう、それは
誘拐犯のようで
逃避行のようで














この世に
わたしたちしか
いないかのようで














それが
エゴなのか直感なのかは
全くわからなかったが
もう、そんなことはどうでもよく















ただ、ただ
もう毛繕いもできず
口臭もひどく
トイレにも行けず
色々な匂いが混ざり合い

















小さくボサボサになった
愛おしすぎるタヌちゃんを
初めてギュッと抱きしめながら
わたしは夜道を走っていて















全く鳴かなくなっていた
鳴けなくなっていた
タヌちゃんだったが















そのとき
「ニャーン」
大きく鳴いた
















そして
とんでもないことをしてしまった…
やっぱり元に戻そうか…
という思いに押し潰されそうになったが















でもその時間が
もう、もう、
狂おしく、苦しく、愛おしく、美しく














もう、もう
どこまでもいつまでも
走っていたいくらい
たまらなく、楽しく
















それは 
迫りくる死や
別れの淵での













わたしの、人間の、
どうしようもない
足掻きだったが













わたしの
二人の
タヌちゃんの













生や愛が
爆発した
瞬間だった



































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