初めて行った
まつやま絵画教室ものように
静寂のなかに在る
美しい建物の
美しい場所だった
そして
先生も想像通りの
クリアな
佇まいが
美しい方で
息子も
抵抗なく
教室に入った
そして
先生は
「りんくんが
どんな絵を描くのか
見せてください」
と言い
紙と
一本の鉛筆と
色鉛筆を
息子に渡した
わたしは
先生には
事前に
息子の手の機能や
ひとの顔を描いたり
目鼻立ちを描いたり
することは
ほぼなく
絵を描くことを
伝えていた
だから
犬の写真を
渡されたとき
それを描くのは
無理だと
もう一度
それを
伝えた方がいいのか
と思った
でも
何も
目鼻立ちを描かなければ
いけないわけではない…
とハッとし
それを黙って
見守ることにした
息子は
何の躊躇もなく
すぐに鉛筆で
曲線をくるくると
描き始めた
わたしは
驚き
それが
夢か現実なのか
混乱した
でも息子は
手を止めることもなく
おしゃべりもせず
描き続け
なにか
凄いものが
出てきたと
わたしは鳥肌が
止まらなくなった
それは
絵にもだが
１６年
息子を育ててきて
一度も見たことのない
息子の姿にもで
わたしは
吸い込まれるように
それを観続けた
