散り際の桜の季節に冷たい雨が降る。
いきなり冬気温にもどった今日は、鈴父の腎細胞がんの病院に行く。
3月末で今までの担当医が移動になってしまい、次の先生に引き継いでおくから。ということで新しい先生になった。
前の先生は城田優ばりの濃い感じの先生だったが、今度はメガネをかけた小池徹平を薄くしたような感じの先生だった。
(どんな感じだ?)
相変わらず腎臓エコーを撮るのに尿を貯められない鈴父は、画像でわかる範囲でしかエコーも撮れない。
で、前回のときに腫瘍の大きさを言われたのだけど、憶えていないので今度はこちらから聴いてみた。
4センチ強の腫瘍が腎臓にあるらしい。
そもそも腎臓ってどのくらいの大きさ?というと、握りこぶしくらいらしい。
縦9センチ厚さ3センチくらいと標本を観ながら説明してくれた。
今度の小池徹平似の先生のほうが、いろいろわかりやすく説明してくれた。
でも聞いたら、結構、ショックだった。
腎臓ガンは、手術がメイン治療で、放射線も免疫療法もほとんど効果がないんだそうな。
だったら、手術できない患者は?ってことで、「分子標的薬」という抗ガン剤?があるようなのだが、これも副作用がかなりあるらしく高齢者にはお薦めができない。
鈴父くらい高齢で障害もあって持病もあったら、下手に手を入れないほうが今度のQOLにはいいのではないか?
とわたしも福祉系の人も同意見だったのだが・・・
何もしないと進行した場合、どのような症状が出てくるのか?を聞いたことがなかった。
聞いてみたら、結構、ショックだった。
ガンが腎臓の中で広まっていくと、尿管にも影響し血尿がでるようになる。
ガンから出血がおこる。
腎臓は血液をろ過する臓器で「血」の塊なので、出血がおこっても止める薬はないという。
大出血がおこれば、貧血にもなるし、どうするのか?
何もできません。という。
腎臓から肝臓や肺に転移しました。としても・・・切除できないかぎり、何もできません。という。
痛みが起これば痛みどめは出せるが、出血が起こっても何もできません。という。
カテーテルで腎臓への血管をとめることもできるらしいのだが、これはこれでリスクがあるらしい。
手術できないと何もできません。っていう世界なのか。。。。
腎臓ガンは・・・。
ただ、鈴父を無理に手術しても寝たきりなるリスクも高いし、合併症のリスクも高い。
下手なガン治療をしたことで、脳梗塞や心臓のほうに影響がでるかもしれない。
あと数年後に、今、ガンの治療をしたことを悔やむかもしれない。
と、医者も言う。
自覚がなくて元気だった鈴母でさえ、手術をしたら結構、弱って帰ってきた。
原発はとれても大きな手術は、身体にこたえるというのが鈴母をみてよくわかったので、、、
鈴父は無理だ。と思ったが・・・・
何もできません。
でも、何かがいつ起こるか?もわからないので、とりあえず、今は血尿が出ていないで良しとしよう。
今、考えても仕方ないことを今、思い悩んでも仕方がないと思って帰ってきたが、結構、ズシリと重くのしかかってきた。
聞かなきゃよかったかな・・
内臓って、ほとんどが「握りこぶし」くらいの大きさなのだろうか?
子宮も本来、「握りこぶし」くらいだと説明された。
わたしの筋腫ちゃんの手術の時。。
「握りこぶし大」のものが、いくつも身体の中で働いている。
小さい大きさですごいことだ・・・。
そして、ガン細胞って奴も凄いヤツらだ。
「何もできません」
という先生の言葉が、リフレインになって頭に残っているのであった。
鈴 真由.