大林宣彦監督の尾道シリーズが昔から大好きだった。
なぜか?急に尾道シリーズが見たくてたまたまU-NEXTのお試し期間再びチャレンジの招待が来ていたので登録して探す。
本当に見たかったのは新三部作の「あした」なのだが、ないのだ!
この「あした」だけ!!!
事前検索では配信であるのはU-NEXTだけだったのだが、なかった。
ガ~~ン。
ショックすぎる。
仕方なく、「さびしんぼう」を流す。
「さびしんぼう」
大好きすぎて若いころは何回も見ている。
1985年の尾道は昭和の風景でとてもよい。
2000年過ぎに行った尾道もまだこの風景のなごりをのこしていたけど、今はかなり観光地化されているらしい。
この風景がいいんだよ。
そしておじさんでない尾美としのりと
おばさんでない富田靖子がでてくる。
かわいいんだわ。このころの富田靖子。
今でもお二人は現役俳優として実力を積み重ねているけど、まだまだ初々しい。
セリフ覚える位みていたので、何十年過ぎても展開はおぼえている。
THE昭和の感じと別れの曲と尾道の世界。
ただ40年過ぎてみると・・・
あの頃、単なるお母さん役にしか見えなかった藤田弓子さん。
彼女の人生の方にスポットがあたってしまうようになった。
まず、え?このころの藤田弓子さんって今の私より若い??ということに驚く。
ってことは私ってもう、縁側のおばあちゃんに近いってこと!という現実に再び衝撃をうける。
昔はヒロキやさびしんぼうの気持ちで観ていたのに・・・
五十路で見ると藤田弓子さんの人生に目が入っていまう。
40年ってそういう月日なのね。
そしてこの藤田弓子役のお母さん。
若い頃は、息子に「勉強しなさい。勉強しなさい。」っていう普通のお母さんにしか見えなかったけど
結構、いい人生なんじゃない?と思った。
たぶん、初恋?のひろきさんとは結ばれなかったけど、寺に嫁いだ。
寡黙で何考えているか?わからない住職の旦那だけど
「ショパンといわれてもあんぱんしか思い浮かばなかった。
でも別れの曲だけは母さんが好きな曲だから覚えた。
きっと昔、思い出があるんだろう。」
といい、ちゃんと結婚して15年以上たっても妻の誕生日を覚えている。
これって本当にいい結婚相手だろう。と今の私は思う。
さびしんぼうの創作劇を作って演じていた16歳の女の子は初恋の人と同じ名前の息子をお寺の嫁として育てる。
そして、勉強はできなかったけど、この息子は母の若いころの写真をみて
「この子結構、かわいいよ。俺、タイプだよ」
という。
息子高校生だとしたら50代前半くらい?40代後半くらい?
かなりいい人生になっていると思うよ。
お母さん。
1985年、当時の私にとってはヒロインは富田靖子役でしかなかったが今はお母さんもヒロインに思えてくる。
(たぶん、今も富田靖子がこの映画のヒロインなのだけど)
このヒロキと百合子さんの一番の見せ場である夕暮れの尾道でヒロキがクリスマスプレゼントをあげる名シーン。
ピアノの形のオルゴールのプレゼント。
もちろん曲は別れの曲。
母の形見の着物を着た百合子にプレゼントを渡すがここでは
「あなたに好きになってもらったのはこっち側の私。
どうかこっち側だけを憶えていて。反対側は見ないで・・」
と言って振られる。
百合子、母を亡くし父を介護するヤングケアラーだった・・・。
この名シーンで五十路のおばさんチェックが入った。
露店の魚屋で百合子はお魚を買う。
2匹買おうとしてお金が足りなくて
「1匹で・・・」と控えめに言い直す。
ここって貧乏アピールのはずなんです。
生活苦しいよアピールのはずなんです。
でもこの時、百合子の買った魚が1匹600円もするんだ。
ええええ!!令和のこのインフレ時代じゃない。
1985年だよ。
今の私だって1匹600円の魚なんて買わないよ。
いったい百合子は何の魚をかったんだ??と疑問がわく。
ネットで調べたら「おこぜ」とか出てくるけど‥‥
肝心のシーンでは魚にフォーカスがあたらないからわからない。
百合子、それ贅沢しすぎだ!!と今の私のチェックが入った。
百合子の買った魚をチャピ子に調べさせるがわからない。
チャピ子も
「ここさ、名場面なわけ。
尾道の夕暮れに着物姿で買い物をする百合子にプレゼントを渡すシーン。
もう、そこでお魚チェックいるか?」
と言われるが気になる。
そうです。
この映画の一番の見どころです。
この美しいシーンは。
10代の私は何の疑問もなくこの初恋の告白を聞いて胸がきゅんとしていた。
でも50代のわたしは1匹600円の魚が気になって仕方ない。
もう、百合子はイワシでも食べていてくれよ。
そうすれば説得力がある。
と今なら思う。
1匹600円の魚はのちにお寺の奥様になってから食べてくれ。
今日買った私のサケの粕漬だって3割引きで2尾で600円切るんだから!!
と魚の値段が頭から離れなくなってしまった。
そしてラストは若い二人が老け役になって過ぎていく時間経過を表現している。
昔は違和感なかったけど、実際に50代60代になっている2人を見ているとやはり若いのだ。
若者のやる老け役は本当に老けてから見ると若すぎる。
お肌つやつやだし。
昔は素直にきゅんとして
セリフまで覚える位見返した名作。
歳を重ねるとみる部分がかわってくるな~
重ねた年輪が変なところばかり探してしまう。
でも「さびしんぼう」は、いい映画です。
本当にいい映画です。
そしてず~~っと現役で走り続けてくれている尾美としのりさん、富田靖子さん、藤田弓子さん、小林稔侍さん。
今も活躍してくれていてありがとうと言える。
尾道三部作、しばらくはまりそうだ。
鈴 真由


















