キラキラモテ薬読書感想文コンクール 準大賞 浅岡真千子さんキラキラ

<『モテ薬』を読んで>

 異性を惹きつける効果がある薬、モテ薬。
モテ薬さえあれば、片思いばかりして一向に叶わずに終わった数々の恋(告白して振られる、告白してもらえるようにとあれこれ画策している最中に相手に彼女ができる、など)を、私は成就させることができたかもしれない。
浮気中の恋人に悩んでいる人が、相手を自分だけに夢中にさせることも、既婚者を好きになって苦しんでいる人が、その結婚相手から略奪することも、恋なんて一生自分には縁がないと思いながら還暦を迎えた人が、燃え上がるような恋愛をすることも、容易だ。
 
なんと恐ろしく魅力的な薬だろう。
老いることなく長生きできる長寿の研究が名門大学で積極的に進んでいる今の時代、モテ薬が実在する未来もそう遠くはないのかもしれない。
 
「モテ薬を一週間分」などと、近所の薬局で(もしかしたらチェーンのドラッグストアで)、当たり前のように処方する未来。
満たされない心も、体も、モテ薬さえあれば簡単にその寂しさをうめられる。
魅力的で、恐ろしい。でも、モテ薬以上に恐ろしく魅惑的なのは、人間の方だ。
 
 
 有能な大学医学部教授、吉見康二郎教授が死亡したことから『モテ薬』の物語は始まる。
その事件を追うジャーナリスト田中紗里が取材を重ねていくなかで、吉見教授の死の真相が暴かれていく。
芥川龍之介の『藪の中』を思わせるストーリー構成。
 
一人一人が目の前で話しているかのような、個性が際立ったキャラクター。
小説でありながら、実社会の、決して綺麗ではない部分にスポットを当て、
読者をただの受け身では終わらせない物語のノンフィクション性。
ドキドキハラハラしながらページをめくる手が止まらなかった。
 
 
 人間社会で生きていれば、富も名誉も地位もほしい。賞賛も愛もお金もほしい。
「モテる」とは、そういうものを人よりも多く享受していることをいうのかもしれない。
水澤鞠華が、上下関係の厳しいお嬢様学校でも、先輩に道を譲る必要がないばかりか、むしろ先輩からも敬虔の対象となったように。
美貌と明晰な頭脳と人を惹きつけるフェロモンで、著名な男の研究者を次々と味方につけ、地位を上げていったように。
 
「モテる」というだけで人生が勝手に上手く進んでいく。
少なくとも外部からはそう思われてしまうような人間を、私も見たことがある。
けれども、彼女たちの本心は見えない。
水澤鞠華が友人の父親にレイプされた経験があることを知ることはできない。
仮に知っていたところで、純粋に同情できるだろうか。
 
トラウマを武器にしてズルい、そんな自分の醜い心の声が聞こえる。
嫉妬と羨望が入り混じった感情。
同時に、自分の女性性を意識して利用したことは一度もないのかと問えば、答えはノーだ。
女であるだけで備わっている付属物を、煩わしいと感じながら、どこかで自分の欲のために利用することがある。
 
セックスをしている最中の人間のI Qが、理性を持たない他の動物同等かそれ以下になってしまうことから逃れないのと同じように、男女は性欲から逃れることはできず、そのおかげで今もどこかで新しい命が生まれ続けている。
それは決して悪ではない。
 
 
 嫉妬、復讐、裏切りの応酬のなかで、必死に利益を得ようとする優秀な人々の歪んだ人間性。
恐ろしくもあり、少しだけ、いとおしくもある。
 
これからも太田原院長は金の亡者であり続け、氷室教授も自身の研究室が権威を持つことに固執し続けるだろう。
女性差別が蔓延るなかでリケジョたちはこれからも戦い続けなければならない。
けれども、そんな世界にもたぶん、7Kの貧乏ポスドクと陰で笑われても、意に返すことなく研究に打ち込み続けている人がいるはずだ。
ライバルに蹴落とされても腐ることなく、志を保ち続けて仕事をしている人がいるはずだ。
自分の真っ黒さに気づきながらもう後には引けないと考えている人にも、優しさが、純粋さが、眠りから目を覚まして彼らを導いてくれることもきっとある。
 
水澤鞠華の異様性は、誰もがもっているものなのかもしれない。
私の中にいる水澤鞠華。
私の大切な人の中にいる水澤鞠華。
自分の、見たくない部分、大切な人が、見せたくない部分。
それらを見たとき、それを見て見ぬふりをしたり、薬で誤魔化したくない。
 
薬がすぐ近くにあっても手に取ることなく、自分を律することのできる私でありたい。
モテ薬は自分を律するために、社会のために、誰かの幸せのために存在し続けてほしい。
テクノロジーがそんな心から生まれるものであってほしい。
そう願える限り、私は自分の中の水澤鞠華から目をそらさずに、社会を愛して生きていきたい。

☆☆☆
 
次回の発表もお楽しみにドキドキ

 

 

小説「モテ薬」

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「モテ薬」の内容は↓
 
「あの日」から、世界は変わった。
実力派の脚本家が書き下ろした、愛と欲望渦巻くサスペンスの傑作!
はじまりは、美人研究者による新物質発見の記者会見だった。だが次々に明らかになる論文不正は、ついに最悪の事態を迎える。いったい彼女は、絶世の天才科学者か、世紀の悪女か――。
モテ薬は本当にあるのか、論文の不備が示唆するものとは――。関係者の証言を積み重ねて浮かび上がる衝撃の真実から目をそむけてはいけない!

「一粒の薬が人の心をコントロールする。この世に、そんな薬が現れたらとしたらいったい私たちはどうなると思いますか?」――本文より

 

 

 


 

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