もう、随分前のことです。
京都に住まっていた、
かれこれ20年近く前の事です。
その頃の住まいは、5階建てのマンション。
各階2部屋でした。
我が家は、二階。
三階にはご両親と小学生の兄弟。
四階と五階にも小学生の兄妹の一家が。
思えば、あの頃のあのマンションは子供達で活気に満ちていた。
その中で我が家の息子が一番幼く、赤ん坊だった。
我が家は主人も忙しく、朝家を出たら、夜遅い帰宅。
日中は一人で子育て。
買い忘れの食材や切らしている調味料があると、
がっくりと落ち込んだものです。
ある日の夕方、
さて、片栗粉がない!
卵もない!
仕方なく、三階のYさんに電話をした。
『すみません〜、夕方のお忙しい時間に〜』
『どうしはったん?』
『あの、片栗粉と卵、買い忘れていて〜』
『やぁ〜、大丈夫やよ〜、すぐ持って行ったげるから〜』
『伺います!』
『ええよ〜、赤ちゃんいたはるし、私の方が身軽やし〜』
と、あっという間に、玄関のドアホンが鳴った。
『すみません〜、ほんまに〜。』
『いいのいいの、私、嬉しくて、やぁ〜頼ってくれはって〜
思い出してくれはったんが、すごぉ〜嬉しかったん!』
『ほんまにぃ〜?そう言うてくれはって、胸のつかえが下りますぅ〜』
『ほんま、頼ってくれはって、ありがとう〜』
『こちらこそ、ありがとうございます。
私も、何かの時は頼ってくださいね。』
『うん、ありがとう〜、頼らせてもらうよ!ほなね!』
Yさんのお宅には、ミニチュアダックスの女の子Oちゃんが居て、
私がふくを飼うことになったきっかけは、
YさんとOちゃんでした。
私は、マンション(我が家は賃貸で入居)で犬を飼うのはダメであろうと、
勝手に決め付けていたのですが、
ある日、
エレベーターでYさんとOちゃんにばったり!
『やぁ〜、犬飼ってもいいんですか?』
『いいのよ!マンションの管理組合で議題にしていただいて、
皆さんが同意してくれはったん。』
『そうなんですか〜!』
『会長(大家さんでもある)さんも、
ほんまは飼いたいんやけど、お世話にしっかり時間が取れないから、
今は諦めてはるって、だから、皆さんが飼わはるのは結構ですよ。
って、言うてくれはって、他の方々も反対意見出なかったの。
その代わり、ちゃんと飼いましょう!って、ルールも作って!
無駄吠えをさせない。排泄のしつけをする。きちんと躾る。そんな感じかな。
会長さんが言わはったの〜ちゃんと責任持って可愛がってあげてください。
そうやないと、賛成できませんよ。って!』
『Miruさんは?が嬉しそうに尻尾振ってるよ〜!お好き?』
『好きですよ〜実家ではずっと犬も猫もいる生活だったの〜
今も実家には犬2匹とニャンコが3匹。』
そんな会話をYさんとしてから数ヶ月後に
我が家にも家族が増えたのでした。
それが、
ふく(♀)です。
あの日、片栗粉と卵をYさんにお借りすることがなかったら、
Yさんの優しさにも気づかず、
それ以降の親しく言葉を交わすこともなかったかもしれない。
ふくを飼う勇気も出てこなかったかもしれない。
何しろ、一戸建ての家で飼うのと、マンションのような集合住宅で飼うのとは
気の使い方も違う。
壁一つ隔てたお隣さんへの配慮も必要。
パピーのふくの躾で悩んでいた時も、
訓練士の先生をご紹介くださり、いろいろと助けていただきました。
Yさんにはすっかりご無沙汰しています。
一度、お訪ねしなくては!