花をご所望(35)・・・あの娘のバースデー・・・ | 小さな暮らしはミルフィーユのように・・・

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お彼岸ですね。

お彼岸の間、ずっと晴れていましたが、

夕方から怪しい空模様です。

 

春のお彼岸は、

お墓参りと卒業、卒園、送別のシーズンです。

ご来店のお客様も、様々です。

喜び事でウキウキ花束をお作りしたかと思えば、

悲しみのご依頼も、

 

この数日間は、そんな悲喜こもごもの店先でした。

 

今日は、

『カサブランカにかすみ草だけのお墓のお花、

菊とか入れずに、どうですか?』

 

『棘のあるバラなどはタブーのようですが、

カサブランカとかすみ草なら、香りも良いですし、

ふんわりのした感じでよろしいんじゃないですか!』

 

『娘が好きやったから〜かすみ草と白い花

命日と違って、バースデーなんです。』

 

『お嬢さま、見送りられたんですね。お辛いですね。』

 

『25歳の時ね、事故でした。あっという間に逝ってしまったわ。』

 

『お嬢さまのお花、今、お作りしますね。』

 

『ありがとう〜、今日で50歳ですわ。ついつい歳数えてしまうのね。』

 

『そうでしょうね。そうだと思います。』

 

『命日は辛いけど、誕生日はなんか、こう〜キュンと来るわね。

だから、誕生日にお墓参りに行くの。』

 

お客様をお見送りする横で、

次なるお客さまが。

 

もう一人のスタッフさんが応対していました。

 

『事故現場のお花をお願いします。』

 

『はい。お花束でよろしいですか?』

 

『そうやね、普通、どうですか?』

 

『お花束が多いですね。』

 

『息子、まだ病院から帰って来てないの。

居ても立ってもおられなくて、せめて現場に花をと思って。』

 

『はい、かしこまりました。』

 

『お線香もいるわね。』

 

『そうですね。そちらにございます。』

 

『嗚呼〜なんでこんなことになってしもうたの。』

 

『大丈夫ですか?』

 

『そうやね。