昨年11月27日、崔洋一監督が亡くなった。
崔監督の映画、『月はどっちに出てる』と『血と骨』はずいぶん前に観たことがある。20年以上前になると思う。『血と骨』主役のビートたけしはミスキャストだと思った。
映画を観てから原作者の本を読み始めたのか、今となっては思い出せないが、原作者は梁石日(ヤン・ソギル)という在日朝鮮人の作家だ。
映画『月はどっちに出てる』の原作本の『タクシー狂躁曲』と『血と骨』は所有していることを覚えていたので本棚を探した。
そして、驚いたことに、ほかにも数冊の彼の作品を持っていたのだ。単行本で買ったということは早く読みたかったものと思われる。
こんな詩集も出てきてパラパラと読んでみたが、今の私にはこの重さの本を手に取るパワーが無い。
50歳前後だった私が、なぜこの作家の本にハマっていたのか、今となっては謎だ。とにかく読むのが辛い作品だった。当時はカウンセリングの勉強を始めて数年の頃だったが…。
読むのが辛い作品と言えば、先日読んだ柳美里(ユウミリ)さんのこの本もやるせない気持ちを引き摺りながらなんとか読了した。
柳美里さんも在日朝鮮人の作家で、彼女の作品は重い。もう覚えてはいないが、この本は初版本なので、出版されるなり購入したもののようだ。
【こころの相談室】でカウンセラーとして仕事をしていた頃だから、その頃の心理状態が選んだ本なのだろう。今一度読みたいと思うが、やはりパワー不足で食指が動かない。
ついでに最近読んだ本のことを記録しておこう。
高田郁さんは時代小説の作家だと思っていて、この本を手に取った時は「大阪ほんま本大賞」につられて買ったのだったが、現代の物語だった。
タイトルからして時代小説ではなさそうなのに…。短編集なのだが、『ムシヤシナイ』という1篇だけが大阪と関わりのある話で、その他は北海道の陸別町が舞台となっていた。
急な寒さが押し寄せてきたときや、最近の極寒のニュースではさかんにこの日本一寒い町らしい陸別町を取り上げていて、これまで全く縁の無かった陸別町が急に私には身近な場所となった。
そして、年末にやっと読み終えたのがこの本
徳川綱吉については、元禄時代や≪生類憐みの令≫くらいしか私のデータには無かったのだが、この治世に富士山が噴火したとは驚きだった。
歴史上の人物はどこにスポットライトを当てるかによって人物像が変わる。歴史資料がどれだけの事実を伝えているかもわからないから、作家の創作に寄って面白い物語になる。私の中で徳川綱吉の印象がずいぶん変化したことは確かだが…。
また、朝井まかてさんの筆力というか、文章が力強くてとても魅力的で、ため息つきながら読み進めたものだ。難しい日本語も多かったが…。
この小説の中で綱吉が【赤穂事件】への対応をしている場面を読んでいた時、「今日って12月14日やん!」と気が付いた。奇しくも討ち入りの日だったのだ。
昨年12月25日には渡辺京二さんが亡くなった。誰かに薦められて読んだ本なのだが、読了後も何回か拾い読みをした。彼の本は一冊しか知らないが、これは良書だと思う。
細切れではなくゆっくりと通して読みたい。もし、入院するなど、長時間を読書で過ごせる時間が出来たら、必ずこの本を持参するだろう。
現在、読みかけの本が8冊もある。読了するために読むのはやめて、とにかく楽しめて、「ふんふん、なるほど」と思わせてくれて、心の栄養になりそうな本を優先的に読むことにしよう。
今はこの本を楽しんでいる。
そして、この本で心の平穏を保とうとしている。
こんな本も読んでいた、いつまでも学ばない私。