[名探偵コナン黒金の魚影(サブマリン)] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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立川譲監督・絵コンテ・演出。櫻井武晴脚本。青山剛昌原作。須藤晶朋キャラクター・デザイン、総作画監督。菅野祐悟音楽。スピッツ主題歌。23年、東宝配給。

日テレ地上波にて鑑賞。劇場版シリーズ第26作。

何という面白さなのか!最早、日本アニメを代表する青山剛昌原作のアニメシリーズだが、これは最高傑作だ!

緻密に計算され尽くした櫻井武晴の脚本。いくつも散りばめられた伏線。ラスト、やられたー!身震いするほどの仕掛け。そして、日本アニメ技術の最高レベルを誇るクライマックスの迫力。文句のつけようがない。何より本作がファンに好評だった理由は人気キャラクター灰原哀(林原めぐみ)をドラマの中心とした物語にしたこと。(林原は[新世紀エヴァンゲリヲン]の綾波レイ役でアニメ界のカリスマ)。
 攻撃をしてくる潜水艦を止めようと立ち向かう主人公江戸川コナン(高山みなみ)、実は工藤新一(山口勝平)、彼を救おうとする灰原哀、実はコードネームシェリーこと宮野志保の恋心がハッキリと示された海底の場面は日本アニメ史上に残る名場面だ!そして新一には彼女ヒロイン毛利蘭(山崎和佳奈)がいる。それを踏まえた地上に戻った灰原選択。何という粋でまた切ないシーンなのか。
 監督の立川譲はまず長いアバンタイトルで今回の事件が第20作[純黒の悪夢]以来の黒の組織が関わっていることを提示。そこから約3分位で[名探偵コナン]の複雑な設定を説明しきっている。演出も脚本も絶妙。

八丈島を訪れた江戸川コナン達は、ユーロポールの職員が黒づくめの組織・ジン(堀之行)に殺害されたと聞く。そこで彼は、事件の真相を追うため海洋施設「パシフィック・ブイ」潜入するが…。

映画の冒頭で紹介されるコナンを新一と知る阿笠博士(緒方賢一)が開発する新兵器は必ずクライマックスのポイントで使用される。まるで007のQ。登場人物、すべてにきちんと役割があるので、本シリーズを観る前に必ず、これは誰なのか設定を把握して見なければ、本作の面白さは半減する。
 例えばFBIで狙撃の名手赤井秀一(池田秀一)、コナンに情報提供してくる大学院生沖矢と同一人物。警察では公安捜査官安室透(古谷徹)、レギュラーの目暮警部(茶風林)や佐藤美和子(湯屋敦子)、蘭の父親眠りの毛利小五郎(小山力哉)、そしてCIAの潜入キールこと水無玲奈(三石琴乃)とイーサン本堂(小山力哉)等、コナンは見る前にまず基本設定の把握、これは通常シリーズと劇場版があるのでかなり大変だが、勉強してから観ないと本当の面白さが理解できない。そう本作のキーパーソンになるパシフィック・ブイのエンジニアで老若認証システム開発者直美・アルジェントに今、[スパイファミリー]のアーニャや[葬送のフリーレン]のフリーレン役で大人気の種崎敦美を抜擢。新旧のアニメファンが飛びつきたくなるキャスティング。

 そして、あのクライマックス。スリリングでテンポがあって、海洋施設パシフィック・ブイと敵の巨大なサブマリンの大攻防戦は最早[007]や[ミッシェル・イン・ポッシブル]を越える大スペクタクルになっている。

そりゃこの面白さだもの動員できるわけだよ。お客様は正直、これだけ仕掛けとアクションで見せてくれるなら、まあ観たくなる。これあと、何回がは観ると思う。そのくらいの出来。

ご覧になってない方、必見です。コナンの設定を把握した上で是非是非ご覧頂きたい!日本アニメ史に残る傑作ですから。