[劇場版推しが武道館いってくれたら死ぬ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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大谷健太郎監督。本山久美子脚本。平尾アウリ原作。佐藤康祐撮影。日向萌音楽。23年、ポニー・キャニオン配給。

DVDにて鑑賞。月刊CMIYCリュウに連載され、アニメ化、実写化された、人気コミックの劇場版。大抵、アニメの実写化は原作のイメージを再現できずに失敗するが、本作は実写のTVシリーズの出来が抜群によく、この劇場版も楽しみにしていた。監督が大谷健太郎ということもあり、TVシリーズのキャストがそのまま続投された劇場版も実に楽しめた。

大谷監督はTVシリーズを冒頭で手際よく説明、この劇場版はその続編になっている。原作的にはアイドルグループ[Cham jam]が東京にゲリラライブに行くエピソードまでが5巻。後は劇場版のオリジナル。

何者でもなかったフリーターが、伝説的ファンになった──。その“推し”との出会いは3年前の七夕まつり。岡山のローカル地下アイドルChamJamの舞菜(伊礼姫奈)に人生初!のトキメキを感じてしまったえりぴよ(松村沙友理)は、舞菜ひとすじの人生を送っている。パン屋で働き、その収入のほぼすべてを推しに注ぎ、自らの服装は高校時代の赤いジャージのみという徹底ぶり!舞菜を推し続けること4年目に突入したある日、ChamJamに東京進出の話が浮上し、ますます応援に磨きがかかる。一方で、チャンスが訪れながらも、人気が伸び悩み葛藤する舞菜。果たして彼女たちは武道館に行くことができるのか…。

TVシリーズでも書いたが主人公えりぴよを演じる元乃木坂46の松村沙友理のハマりぶりは群を抜いており、Cham jamのメンバーよりアイドルしてしまっており、熱い推しぶりは本作でも実に楽しませてくれる。メンバーの七人は実は原作の方が地下アイドルを越える可愛いさ、個性的なために配役が物足りない感はあるが、リーダー五十嵐れお(中村里帆)それを推すオタクくまさ(ジャンボたかお(レインボー)などはイメージに合っており、実写化の成功に貢献している。

内向的で自己主張できない舞菜が東京ライブで負傷。その間、ChamにTVCMの話がきてしまい。グループは六人グループだと思われ、彼女は一度は卒業しようと考えてしまうのだが、えりぴよは自分のバイトするパン屋で彼女をイメージしたサーモンピンクバーガーが大当たり。それをきっかけに彼女の人気は浮上、地上波に呼ばれ、そこで彼女の480円Tシャツが話題になり、彼女は復帰の七夕まつりで満員の観客の前でセンターを務めるという設定。劇場版は時間も制約があり、その中で原作も絡めながら、実によくまとめている。

Cham jamが歌うオリジナル曲波TVシリーズと本作の新曲ともにアイドルソングを実によく研究しており、オタのコールを巧みに取り入れられる作品に仕上がっている。えりぴよだけに関して言えばTVシリーズの方が弾けまくっていたが、本作では推しの舞菜との関係も丁寧に描き込まれており、是非、同じメンバーでアニメもそして実写も原作の最期まで製作してほしいと思わせる作品だ。アイドルを応援する側から描いた作品は珍しいので、ぜひオタとはどんなものなのかを知る上でもご覧頂きたい。泣き笑いテンポよく観れる映画だ。