[ニンゲン合格] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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黒沢清監督・脚本。林淳一郎撮影。ゲイリー芦屋音楽。99年、松竹配給。

スカパー日本映画専門チャンネルの西島秀俊特集にて鑑賞。

14歳で交通事故に遭い、病院で10年間の昏睡状態が続いた吉井豊(西島秀俊)、目覚めた彼のもとに父親の友人藤森(役所広司)が見舞いに来るが、家族は誰1人来ない。彼が意識不明になっている間に、両親は離婚し一家はバラバラになっていた。藤森は自分の産業廃棄物処理や釣り堀に豊を連れていくが、豊は実家がやっていたポニー牧場を再建しようとするが、豊を轢いた室田(大杉漣)が現れ…。

発想は抜群に面白いのだが、黒沢清の他の作品同様、あまりに細部に対する説明がなさすぎて、豊と室田の間に何があったのか説明がないので全てが唐突に感じる。妹千鶴(麻生久美子)と恋人加崎(哀川翔)が戻ってきて、土地の相続について相談に来て揉めたり、父親真一郎(菅田俊)は戻ってはきてもすぐに旅立ち、母幸子(りりぃ)も戻ってきて、一時的に擬似家族を構成するのだが…。

ラストもあまりにサプライズで終わり、後の黒沢清だったら、もう少し構成と物語を丁寧に描いただろう。これはその点、自分のアイデアを形にしきれておらず残念な作品に終わっている。