[ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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金子修介監督・脚本。長谷川圭一、横谷昌宏脚本。神谷誠特撮監督。岸本正広撮影。大谷幸音楽。伊福部昭ゴジラマーチ他。01年、東宝配給。

DVDにて再観。[ゴジラミレニアムシリーズ]第三作。ゴジラシリーズ通算25作。大映で平成ガメラシリーズを進化させ、遂に一般映画のレベルに引き上げた金子修介をプロデューサーの富山省吾はゴジラ・シリーズの再生を託した。併映の[トットコハム太郎]の人気もあり、結果は240億の興収。それまでのシリーズで最高の数字を叩き出した。
 あまりの面白さに、自分はこれを劇場で3回観た。

金子と脚本チームはゴジラを戦争のメタファーとして、設定。太平洋戦争の残留思念として設定、日本を守ろうとする[護国聖獣伝記]に書かれていたキングギドラ、モスラ、バラゴンがこれを防ごうとする怪獣映画に防衛軍を率いる立花准将(宇崎竜童)とデジタルQという弱小のBS局でリポーターをする父と娘の力強い絆の物語として締め括った金子修介の傑作の一本だ。

ゴジラの日本上陸から半世紀。防衛軍はグァム沖でアメリカの原子力潜水艦を救助するために特殊潜航艇(さつま]を派遣する。そこで操縦士広瀬(渡辺裕之)は巨大な生物の背びれを見る。一方、妙高山大田切トンネルでは突然の地震で暴走族が被害にあい、鹿児島の池田湖では11人の若者が白い繭に包まれるという怪現象が起こっていた。「BSデジタルQ」のリポーター立花由里(新山千春)は事件の場所が日本に伝わる[護国聖獣伝説]に怪獣が出現した場所が符合していることに気づき、その謎を突き止めようとサイエンス・ライター武田(小林正寛]と共に民間伝承の著者伊佐山(天野英世)に出会い、ゴジラは太平洋戦争が残した怨念の集合体であり、彼がゴジラから日本を守るために護国聖獣たちを蘇えらせようとしていることは知るが…。

 ゴジラは孫の手島を壊滅させる。この場面は第一作の[ゴジラ]のオマージュになっており、ゴジラが箱根に到達山から顔を出すシーンも第一作をオマージュしたものである。金子はゴジラシリーズのファンの心を上手く掴みながら、独特な怪獣映画を作り出している。ゴジラが日本を襲う理由付けをしながら、自分の仕事に自信と誇りを持たせるように、自らの姿勢を見せる立花の姿が実にカッコいい。
 特撮も焼津に上陸するゴジラ、中村嘉葎雄が乗る漁船の前で海が盛り上がり、波が砕けるとキャメラはパンアップ、ゴジラの巨大感を強調する。白目を剥き出しにしたゴジラは、実に恐ろしく、圧倒的な強さがあり、放射熱戦で怪獣たちを消滅させてしまうのだ。これこそがゴジラの原点であり、金子は怖くて強くて悪いゴジラを復活させ、彼の役割は存分に果たした。