[赤ひげ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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黒澤明監督・脚本。山本周五郎原作。井手雅人、小國英雄脚本?菊島隆三脚本、製作。中井朝一、斎藤孝雄撮影。佐藤勝音楽。65年、東宝配給。

スカパー時代劇専門チャンネルの録画にて再観。モノクロ時代の黒澤明、集大成というべきヒューマンドラマ。キネマ旬報第1位、毎日映画コンクール大賞。三船敏郎はヴェネチアで男優賞を受賞。黒澤映画最後の出演になった。

享保の改革の頃、小石川療養所に主人公保本登(加山雄三)が派遣された先で、所長の赤ひげこと、新出去定(三船敏郎)との出会いにより、貧しき人々との触れ合いの中から病の原因が貧困と無知であることを知り、成長を描いた黒澤明この時期の集大成である。


狂女(香川京子)、六助(藤原釜足)、佐八(山崎努)とおなか(桑野みゆき)、おとよ(二木てるみ)、長坊(頭師佳孝)それぞれのエピソードが素晴らしく、大地震の場面、赤ひげがおとよを救うための戦闘場面など見せ場は随時に盛り込まれ、黒澤明が[デビュー作の姿三四郎]より追い求める師匠から弟子への伝達継承というテーマが掘り下げられていく。休憩を挟む180分、小石川療養所のセット、実際には写らない薬箱にまで拘り汚したという伝説のセット。まさに黒澤組のスタッフが最高の仕事をした一本と言っていい。