[半世界] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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阪本順治監督・脚本。儀間眞悟撮影。安川午朗音楽。18年、キノフィルムズ配給。

スカパー日本映画専門チャンネルにて鑑賞。19年度キネマ旬報第2位。読書1位。久しぶりに阪本順治の本領が発揮された作品。地方都市に焦点を当てた本作は、呉美穂の作品を思わせるような雰囲気を感じさせるが、。山中の炭焼き窯で備長炭の職人として生計を立てている紘(稲垣吾郎)のところに元自衛官の瑛介(長谷川博己)が現れた。突然故郷に帰ってきた瑛介から紘は「こんなこと、ひとりでやってきたのか」と驚かれるが、紘自身は単に父親の仕事を継ぎ、ただやり過ごしてきたに過ぎなかった。同級生の光彦(渋川清彦)には妻・初乃(池脇千鶴)に任せきりの息子への無関心を指摘され、仕事のみならず、反抗期である息子の明(杉田雷麒)にすら無関心だった自分に気づかされる。やがて、瑛介が抱える過去を知った紘は、仕事、そして家族と真剣に向き合う決意をするが…。

本作のような作品をブラマンス映画といい、代表されるのは韓国映画[友よチング]などが代表作品。紘、光彦、瑛介はそれぞれが三角形の一辺を担う、親友であり、それぞれが心を支え合う。また、息子の虐めに向き合わない紘に対して、瑛介は身体で戦いを教え、紘の目を息子に向けさせていく、だが中古車のディーラーをする光彦のピンチを救った瑛介だが、暴力で出て行く羽目に、そして彼が紘の炭焼きの手伝いをやめることでさらに悲劇は連鎖する。明らかになる瑛介帰郷の理由、あちらの世界といまをいきるこちらの世界、人間はそんな半世界を生きていかねばならないのだ。写真家小石清の写真展から取られたタイトルはこの映画の世界観を表している。稲垣吾郎がいい味を出しているし、池脇千鶴は安定した母親役をこなしており、阪本順治は大手資本ではなく、オリジナル映画を撮るべきで、本作はそれが成功した作品てたわ