[明日に向って撃て] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

力道の映画ブログ&小説・シナリオ

映画ブログです。特に70年代の映画をテーマで特集しています。また自作の小説、シナリオもアップしています。

ジョージ・ロイヒル監督。ウィリアム・ゴールとマン脚本。コンラッド・L・ホール撮影。パート・バカラック音楽。B・J・トーマス主題歌。69年、アメリカ映画。

DVDにて再観。とにかくモダンな感覚で制作された新らしい西部劇であり、実在のアウトローふたり。ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)とサンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)の破天荒な生き様。そして、刹那の青春。アメリカン・ニューシネマを代表する傑作の一本。

ロイヒルはモノクロームを巧みに使う。冒頭の壁の穴強盗団の失敗劇、頭脳派で作戦担当のブッチと早撃ちで実戦派のサンダンス。イカサマだと絡まれた男を目にも止まらぬ早撃ちで、銃をふっとばして見せる。
また、列車強盗を繰り返し過ぎて、ユニオン鉄道の社長が以来した掃討部隊に追われ、ボリビアに渡る前に立ち寄るニューヨークで華やかりし日々。そして、壮絶なラスト。効果的なモノクロームがカラーで描かれる現在進行と対比されていく。

この映画の一番の名場面はサンダンスの恋人であれ女教師エッタ(キャサリン・ロス)を乗せた未来の乗り物と表現される自転車に乗せ戯れるブッチ。バックには[雨にぬれても]B・J・トーマス主題歌、セピアな撮影が実にシャレている。

1890年代の西部。家畜泥棒と銀行強盗が稼業の2人組のガンマン、ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)とサンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)は、同じ盗人仲間のハーベイ・ローガン(テッド・キャシディ)らの誘いにのって、列車強盗を試み、大金をせしめた。この後ブッチは、銀、錫などの鉱山資源の豊富なボリビアへ行って荒稼ぎしようと、サンダンスを誘う。そして、スペイン語のできるサンダンスのガール・フレンド、女教師のエッタ(キャサリン・ロス)も交えて、彼らはボリビアへ向かう。が、ボリビアはブッチの想像とは異なり大変な貧乏国で、2人はたちまち銀行強盗に戻る。警察も彼らに手ごころを加えた。2人にとってはこれが不満で、とうとう彼らは足を洗い、錫山の用心棒となった。エッタは2人がカタギになったことを喜ぶが、所詮、泥棒稼業が身についた2人、正業を長続きさせることはできないだろうと考えていた。この不安は的中し、数年後、彼らは鉱山の給料を奪い、再び警官に追われる身となった…。

追ってくるガンマンは結局、ハッキリとは描かれないが、白いハットで表現され、ふたりが次第に追い詰めらていくことを表現している。エッタはふたりの男に恋心を抱きながらも、現実的で一足早くボリビアから故郷に帰るとふたりが死ぬところを見たくないのだという。こうした割り切りも斬新だった。アメリカを代表した西武げという古き良き伝統は、アメリカンニューシネマというウェーブの中で、サム・ペキンパーが[ワイルド・パンチ]で集結させた。本作はそうした負の連鎖を繰り返す物語であるにも、関わらず最後まで希望を捨てない新しいバディ像が鮮烈で、今観ても、このコンビネーションは素晴らしい。追い込まれたふたりが崖から飛び降りるシーン。尻込むサンダンスを問い詰めるブッチ。泳げないんだと告白するサンダンス。ボリビアで給料泥棒を撃つ場面で、サンダンスはブッチに右のふたりを撃てと指示するが、これまで人を撃ったことがないと告白する。シリアスに笑いを絶妙に折り込みながは、最後の一瞬まで目を離せない。スローモーション、ストップモーション、アメリカン・ニューシネマの手法を効果的に取り入れたコンラッド・L・ホールの撮影。この映画をモダンに見せる効果をあげているバート・バカラックの音楽はオスカーに輝き、様々な見所のある作品だ。