[クリードチャンプを継ぐ男] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ライアン・クーグラー監督・脚本。アーロン・コヴィントン脚本。マリス・アルベルチ撮影。ルートヴィッヒ・ヨーランソン音楽。15年、アメリカ映画。


スカパー、ザ・シネマの録画にて鑑賞。6本製作された『ロッキー』シリーズの9年ぶりの続編であり、スピンオフ映画。評価が高く、スカパーで放送されたのでやっと鑑賞。


昭和にこのシリーズのを楽しんだファンには、涙モノの作品であり、『スターウォーズ』のように本シリーズもここまでくるとサーガになったというべきか。かって、ロッキーが戦ったチャンプ、アポロに隠し種がいたという設定。ロスでは父親の名前が邪魔して、コーチしてもらえず、かつてのライバル、ロッキーを頼りフィラデルフィアへ。耳に爆弾を抱える恋人が出来て、それを支えに戦っていく。まさに王道のパターンを踏襲する一作だ。



アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)の父親は世界的に有名なボクシングのヘビー級チャンピオンだったアポロ・クリードだが、彼が生まれる前に死んでしまったため、父のこと知らない。メキシコの地下ボクシングで実力を試し、会社を辞めてボクシング界に身を投じる決心をする、だが母親は反対、それでも、アドニスは、父がタフな無名のボクサー、ロッキー・バルボアと死闘を繰り広げた伝説の戦いの地フィラデルフィアへ向かう。フィラデルフィアに着いたアドニスは、ロッキー(シルヴェスター・スタローン)を捜し出し、トレーナーになるよう頼む。ビアンカ(テッサ・トンプソン)という駆け出しの歌手という恋人もできる。当初、ロッキーは、ボクシングからは完全に手を引いたと断るが、かつての宿敵で、のちに親友となったアポロと同じ強さと決意をアドニスの中に見出し、トレーナーを引き受ける。若いボクサーを鍛え始めるロッキーを味方につけたアドニスは、タイトル戦への切符を手に入れるが……。


映画は1998年のアドニス少年時代に母親が迎える場面がから始まり、2015年の現在へ飛ぶ。冒頭は母親との出会いと絆が築かれたことを提示しておいて、クライマックスへの繋ぎとしている。恋人、母親、そしてコーチに支えられながら、クリードはタイトル戦のリングに向かう。その辺りの緊迫感、高揚感の作り方はクーグラー監督の卒のなさ。ただ、ロッキー・バルボアが登場すれば、やはりその存在感で、主役は食われ、どちらが主役かわからなくなる。それだけレジェエンドなのだ。しかも、そのロッキーにも難関を与え、クリードと共に闘うという設定なのだから尚更だ。作品としてはよく出来ているし、往年の『ロッキー』ファンには楽しめる映画ではあるが、まったく知らずに本作を観たら、どうかと言われると疑問も感じる。その辺りがキネマ旬報ベストテンでは外れた理由だろう。


自分は『ロッキー』をリアルタイムで観ているので、グリードがグレーのパーカーを着て走る姿、ロッキーの家に戻ると水槽に亀、そして何よりラストのフィラデルフィアの光景、これらを観るだけで、あつくかなれる映画ではある。


ライアン,クーグラー。『フルートベール駅で』