[香港クレージー作戦] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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杉江敏男監督。笠原良三脚本。完倉泰一撮影。神津善行音楽。63年、東宝配給。


スカパー日本映画専門チャンネルの録画にて鑑賞。クレージーキャッツ作戦シリーズ第3弾。香港にロケを敢行した作品であり、[社長洋行記]などで香港ロケの経験があるベテラン杉江敏男監督が担当。音楽は神津善行が劇伴を、担当する最後の作品。


やはり、坪島、古澤両監督が確立した植木等を中心とする破茶滅茶なノリはなく、立ち退きを迫られた日本の飲み屋連中がその代替えで香港に乗り込み本格的日本レストランを成功させるまでのサクセス・ストーリーになっており、笠原良三はかなり理詰めの作戦を実行するシナリオを書いている。劇中、香港の重鎮を笑わせなければ、ならない場面で、クレージーキャッツは初めてバンドコントを披露、この後、シリーズの定番になる。


駅前の飲ん平横丁は立ち退き問題で大騒ぎ。小料理屋の八太郎(ハナ肇)、とんかつ屋の安吉(安田伸)、ホルモン焼屋の敬一(谷啓)の三人は、中でも一番強硬な反対派だ。小料理屋の板前大塚太郎も加わって知恵をしぼっている。第百商事の植田(植木等)は、この横丁に何カ月もツケをためている無責任な男だが“立ち退き料とひきかえに借金を棒引きに”と申し出たが、中国人の資本で中華大飯店が出るのに気が滅入った三人は、あくまでも頑張った。植田は、こんな三人をしりめに、単独で中南公司にのりこみ、汪社長(リン・ツウォン)を訪れ、汪の持つ香港のビルと交換に、立ち退きを交渉した。意気揚々と帰った植田は飲ん平横丁の住民をまるめて自らマネージャーとなり、香港に行くことになった。会社を辞めて香港に行く植田に、経理課の浜野(浜美枝)は一緒につれていって欲しいと頼んだ。又、飲ん平横丁の流しの石井(石橋エータロー)、桜橋(桜井センリ)も香港行きと決った。商売の運転資金は、ラクダビールの社長(進藤英太郎)にたのみこみ、三千万の融資をさせたのを皮切りに関係各社が出資、いざ香港にのり出した一行八人は、汪のビルに日本レストラン「菊花亭」を開店したが、五日たっても客はゼロだった。植田の窮余の一策で香港のメインストリートにちんどん屋を繰り出そうとしている時、日本人のショーダンサー麻美(淡路恵子)と、混血歌手中美樹子(中尾ミエ)に会った。ともかく、計画通りチンドン屋をくり出した植田は法律にふれて留置場行きとなった。翌日汪の助力で釈放されたものの一同ガックリ。がそこへ新聞で見て駈けつけて来た麻美らの協力を得てチンドン屋のバンドは香港一のナイトクラブに出演することになるが…,。


まず航空会社はこのシリーズは全部バンナムがタイアップ。この時代は珍しくないがパンナムのバックを下げて、香港に向かう。懐かしい英国領の香港。紆余曲折の末に大成功した一行が浜辺へ繰り出しパーティー、ここは映画『慕情』で使われた海岸たろうか、後に『007シリーズ』でボンド・ガールを演じる浜美枝の水着姿とこの時代にしては、スタイルの良さに惹かれる。


劇中歌われる『どうせやるなら』などの挿入歌は他の作品同様に荻原哲晶さんの曲。


とにかく滅茶苦茶笑える映画ではないが、次の一手次一手と知恵を繰り出す作戦シリーズの持ち味はよくでており、完成度は高い。


杉江敏男。『社長洋行記』