[モスラ対ゴジラ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

力道の映画ブログ&小説・シナリオ

映画ブログです。特に70年代の映画をテーマで特集しています。また自作の小説、シナリオもアップしています。

本多猪四郎監督。円谷英二特技監督。関沢新一脚本。小泉一撮影(本編)、有川貞昌、富岡素軽撮影(特撮)。伊福部昭音楽。東宝配給。


スカパー日本映画専門チャンネルの録画にてHDリマスター版で再観。ゴジラ・シリーズの第4作。[モスラ]の続編にあたる。台風で流されたモスラの卵をめぐる争いと、突然出現したゴジラに対して、依頼を受けたモスラが戦うという本格的な東宝二大怪獣の対決を描く特撮怪獣映画。本作のゴジラは完全な悪役であり、顔を最高に怖い作りになっており、モスラとともに双方の持ち味が出た怪獣映画の傑作の一本。


南海の孤島インファント島沖に台風X号が発生、その守護神でもあるモスラの卵が流された。新産業計画として発足した倉田浜干拓工事現場も、壊滅してしまった。新聞記者酒井(宝田明)と中西純子(星由里子)は、流木の中から、放射能を含んだ異様な牙を発見した。その頃、静の浦海上に、三〇メートルもある巨大な卵が漂着した。この巨大な卵を囲んで三浦博士(小泉博)以下学界の面々が調査したが、正体がつかめなかい。そして巨卵は興行師熊山(田島義文)と政界ボス虎畑(佐原健二)が買い取り、商売に利用しようとたくらんでいた。三浦博士らは、酒井、純子らと対策を練るが、そこえ妙なるメロディと共に小美人(ザ・ピーナッツ)がインファント島からモスラの卵を返して欲しいとやって来る。しかしこの小美人をも商売の対象とした熊山らのために、人間社会に失望してインファント島へ帰っていった。一方倉田浜干拓地では、大音響と共に海底が地割れし、不死身の大怪獣ゴジラが出現した。恐ろしい放射能を吐き、蓄積したエネルギーをぶちまける怪獣に、何ら防禦の道はなかった。三浦博士と酒井、純子の三人は、モスラを頼ってインファント島へ行き、モスラにゴジラ退治の依頼をするが…,。


本作のモスラは成虫が短い余命をかけてゴジラと戦い、生まれた幼虫二匹がそのあとを引き継ぐ。成虫は空中操演の見事な特撮、幼虫はその糸を吐いて、ゴジラの動きを封じる。ゴジラが名古屋城を足を滑らせて壊すシーンがあるこだが、俳優の中島春雄が本当に足を滑らせたアクシデントだったのだが、時間がなく取り直ししなかったらしい。対ゴジラに使用される特殊帯電ネットは、後に『ウルトラ・シリーズ』に作戦として流用されていく。


この映画の製作をきっかけに三本の怪獣映画が製作され、ブームは頂点を迎える。 


人間ドラマ的にも、観光開発のブームと興行師の暗躍。新聞の第三権力化など社会批判を含ませているあたりが関沢新一の脚本が巧みなところであり、悪役を演じた田島と佐原が後に『ウルトラQ』でも重要な役で抜擢されるきっかけになっている。小泉博が前作『モスラ』からの役を変えてのスピンオフ。小美人役よザ・ピーナッツは同役で起用され、素晴らしいコーラスを本作でも聞かせてくれる。


HDリマスターが、カラーがかなり浮き出したように見え、カラーの分、かえって特撮のアラも目立ってしまうので、それほどリマスターにした利点があるとも感じないのは残念。


本多猪四郎。『ゴジラ』