ミゲル・ゴメス監督、脚本。マリアナ・リカルド脚本。ルイ・ポッサス撮影。パスコ・ピメンテ音楽。12年、ポルトガル、ブラジル、独、仏合作。
昨年のキネマ旬報9位。第62回ベルリン国際映画祭アルフレッド・バウアー賞、国際批評家連盟賞受賞。シアター・イメージ・フォーラムで公開された作品だが、やっとDVD化につき鑑賞。二部構成による禁断の愛を描いた映画であり、全編モノクロームによるスタイリッシュな映像が秀逸。35mmと16mmによる映像を挿入。会話部分を無音にしたり、映像を横にするなど縦横無尽の構成が実に面白く、初期のゴダールを思わせる。
ピラール(テレーザ・マドルーガ)は定年以後、平和の祈りに参加したり、カトリックの社会活動団体に協力したりしているが、最近はそのせいでストレスを感じていた。また、隣人のアウロラ(ラウラ・ソヴェラル)も悩みの種、短気でエキセントリックな80代の彼女は、お金があればカジノへ入り浸り、会ってもらえない娘の話ばかり。カーボベルデ出身のメイドのサンタ(イザベル・カルドーゾ)は命令に従い、他人に干渉すべきではないと考えているが、アウロラは抗鬱剤の後遺症で、サンタが自分にヴードゥーの呪いをかけていると疑っている。だが彼女は病に倒れ、死期を悟ったアウロラは、ピラールとサンタに消息不明のベントゥーラという男(エンリケ・エスピリト・サント)に会いたいというものだった。ピラールとサンはベントゥーラが生きていることを知るが、彼はすでに正気ではなかった。ベントゥーラは、アウロラとの間にあった、ある約束のことを語り出す。ポルトガル植民地戦争が始まって間もない50年前、アウロラはタブー山麓に農場を持っており…。
映画は、アフリカで始まり、2010年末のリスボンで現代パートが展開。二部ではベントゥーラの回想による禁断の愛が明らかにされていく。この若き日のベントゥーラ役がジョニー・デップにそっくりなのが驚くが、いかにも色男でアウロラがよろめくのもわかる。彼女の動きにオーロラを重ねたような映像、その独創的な表現に終始驚かされた。
DVDはレンタル開始。
ミゲル・ゴメス。[自分に見合った顔]。