[Tommyトミー] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ケン・ラッセル監督・脚本。ビート・タウンゼント脚本・音楽監督。ディック・ブッシュ、ロニー・テイラー撮影。ザ・フー音楽。75年、イギリス映画。

スカパー、シネフィルBSにて再観。イギリスの人気グループ[ザ・フー]が69年5月に発売したロックオペラを72年にステージ化。イギリスの鬼才ケン・ラッセルが映画化した作品。ザ・フーのロジャー・ダルトリーが主役のトミーを演じる他、バンドのメンバー、そして当時人気絶頂期のエルトン・ジョン、エリック・クラプトン、ティナ・ターナー、も参加。全編台詞は歌で構成されるロック・ミュージカルだ。オープニングか次々に登場する豊潤なイメージの数々はさすがケン・ラッセルを思わせ、ロックのスーパースター達が歌いまくるサントラはビッグヒットした。なお公開時にはQSクインタフォニック方式で上映され、迫力満点だったらしいが僕は名画座で観たために体験してない。

第二次大戦末期、トミー(B・ウィンチ)は生まれた。父ウォーカー大佐・(ロバート・パウエル)は戦死し、母親のノラ(アン・マーグレット)はやがてフランク(オリヴァー・リード)と愛し合うようになり再婚した。三人は結構仲よく暮し始めた。だが、戦死したと思っていたウォーカー大佐が帰って来たのだ。フランクは重いランプのスタンドで力いっぱいウォーカーの頭をぶん殴り即死させ、彼はそれを目撃していたトミーに“お前は何も見なかったんだ、何もきかなかったんだ”といった。その日からトミーは耳も聞こえない口もきけなくなった。トミー(R・ダルトリー)は青年になった。ノラやフランクは何とかトミーを治そうと、霊験あらたかな教祖(エリック・クラプトン)やかかセクシーな麻薬の女王(ティナ・ターナー)に拝謁させるが、トミーは治らない。そのかわりサディストのいとこや男色家のアーニーおじさん(キース・ムーン)が母親のいない間にさんざんトミーをもて遊んだが、彼は何も感じない。ただトミーは居間の鏡にうつっている自分の姿だけは見ることができた。あるときトミーは鏡の中の自分が逃げようとするのを見て後を追った。いつの間にか廃車の捨て場にきたトミーは、そこで捨てられていたピンボールの台を本能的にたたき始めた。トミーの才能が花開き、その台はたちまち五彩の色に輝いた。トミーはピンボールのチャンピオン(エルトン・ジョン)を打ち負かし、世界の花形選手となっる。彼は大富豪になり、ノラもフランクもその金で大邸宅に住む。だがトミーは世界最高の専門医(ジャック・ニコルソン)にかかったるが無駄だった。ある日、ノラは豪華な居間に立つ鏡の中の我が子をみつめた。絶望がノラを襲い彼女はトミーを鏡の方へつきとばした。すると鏡が破裂し、津波が鏡の中から噴き出し、二人をのみ込んだ。--こうしてトミーの耳と眼は再び戻ってきた。そこに十五年以上の歳月が経っていた。この奇跡で、トミーは自分こそ救世主だと悟り…。

アン=マーグレットの弾けぶりがすごい。本作の怪演でゴールデン・グローブ賞の授賞、オスカーにもノミネートされた。またフランクを演じたオリバー・リードは70年代イギリス映画の代表的な役者であり、[カッコーの巣の上で]でオスカーを受賞したジャック・ニコルソンも出演。大変に豪華な配役で彼らもミュージシャン達と共に歌っている。とにかくサントラが素晴らしい。ザ・フーの豊かな音楽性を感じさせる数々の楽曲の素晴らしさ、スーパースター達の演奏に魅了された。

後半、トミーが教祖のようになる場面では当時流行したハングライダーが使用され、いかにも時代を感じさせるが、次々に登場するイメージショットの面白さは今観ても楽しめる!お勧め!

DVDはレンタルにあります。

ケン・ラッセル。[マーラー]他。