[哀しみのトリスターナ] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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ルイス・ブニュエル監督・脚本。フリオ・アレハンドロ脚本。ペニート・ペレス・ガルドス原作。ホセ・F・アグアーヨ撮影。クロード・デュラン音楽。70年、仏、伊、スペイン合作。


皆さんがルイス・ブニュエル監督とカトリーヌ・ドヌーヴの作品で選択されていたのでスカパー、シネフィルBSの録画にて鑑賞。


スペインのトレドでロケされた作品であり、ブニュエルのスペイン時代最後の作品。ドヌーヴの変貌ぶりが見所であり、

[昼顔]より変態的だが、よりブニュエルらしい。キネマ旬報7位。


幼ない時に父を失い、十六歳の時、母が死んだトリスターナ(カトリーヌ・ドヌーブ)は、母の知人ドン・ロペ(フェルナンド・レイ)に引き取られた。ドン・ロペは貴族であり、職業を持たず、先祖から伝わる土地や財産で食べていた。しかし、一九二〇年代終りでは、そういった生活は苦しいものだった。邸にはサトゥルナ(ロラ・ガオス)という女中がいて、トリスターナは、ロペの簡単な身のまわりをすれば良かった。ある夜、ロペの生首の夢を見た彼女は、悲鳴をあげて目を覚ます。ロペが 気を落着かせるが、彼はトリスターナのゆるめた寝間着の下の胸のふくらみが意外と成熟しているのを見逃さなかった。そして彼は、トリスターナを組み敷いた。トリスターナは久し振りに外出して、画家のオラーシオ(フランコ・ネロ)と知り合う。彼女は度々外出しはじめ、夜遅くにまで及んだ。嫉妬するロペに対し、彼女は私は自由よと答える。オラーシオを知ってからトリスターナは以前にも増して親切になるドン・ロペを心から憎み始める。彼女の過去を聞いたオラーシオは一度は怒るが、一緒に生活しようと決心する。その夜、オラーシオに掛け合いに行ったロペは殴り倒される。翌日、二人は出立した。ロペと仲の悪かった姉(アントニオ・カサス)が突然死に、巨額の遺産がころがり込んで来た。今迄に売った家具、食器を買い戻したが、ロペはトリスターナを忘れなかった。そんな或る日、サトゥルナがトリスターナが町に戻ったと告げに来た。足にデキモノが出来て、トリスターナのたっての願いで町へ戻ったとオラーシオは言った。足の切断という手術が必要だったのだ。彼女はドン・ロペの家に引き取られた。トリスターナはすっかり冷たい女となっていたが…。


この間、日本で起きた少女誘拐監禁事件の犯人ではないがこのロペ公爵のトリスターナに対する異様な愛情はそれに似た感情を感じる。また、それを逆手に取るトリスターナの冷酷な変貌ぶりは足を失うという特殊な状況だけでは語りきれない怖さがある。ドヌーヴ、フェルナンド・レイ共に名演であり、ブニュエルの好みが色濃く反映した作品世界を巧みに表現していた。


DVDはレンタルにあります。


ルイス・ブニュエル。[昼顔][ビリディアナ]等。