[続激突カージャック] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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  スティーブン・スピルバーグ監督。ハルバー・ウッド、マシュー・ロビンス脚本。ウ゛ィルモス・ジグモンド撮影。ジョン・ウイリアムス音楽。74、アメリカ映画。

 70年代の作品から、トピで上がり、見直そうと思ってた作品。

 これは、やっぱり隠れた名作。69年にテキサスでの実話がベースになっているので映画はかなりリアル。裁判所の命令で子供を取られそうになる母親・ルー・ジーン(ゴールディ・ホーン)が服役中の夫・クロピス(ウイリアム・アザートン)を脱獄させ、取り返しに向かうつもりが、交通違反を取り締まる警官・スライド(マイケル・サックス)を人質に、一人息子を連れ戻すため、テキサスからシュガー・ランドまで500キロを警察との戦いが描かれる。
 ルー・ジーンが作った逃亡費用65ドルを巡っての夫婦喧嘩。そんな人間臭い夫婦達と行動を共にするスライドが心情的に犯人寄りに流されて行くさまが、実にリアルに描かれる。
 なるべく血を流したくない警察所長ターナー隊長(ベン・ジョンソン)との駆け引きで30台ものパトカーと野次馬を引き連れて移動する様は、サスペンスよりコメディに近い。

 物語。裁判所から親の資格無しと命令を受け、一人息子のラングストンを福祉協会を通じて養子に出されてしまうことになった、ルー・ジーンは、夫・クロピスの服役するテキサス州立刑務所を訪ね、知人の面会者の親の車に乗って脱獄。息子のいるシュガー・ランドを目指す。
 たが車を運転する老夫婦があまりにスピードを出さず。交通違反で捕まったため、ポプリン夫婦は警官・マックスウェル・スライドを人質に取り、パトカーをカー・ジャックする。
 警察はターナー隊長が出動、射撃の名手が手配されるが、血を流したくターナーは14台のパトカーで追跡していく。 途中、元・軍出身を名乗る狂ったハンターに襲われ、事件はマスコミにも知られ。追跡の台数は野次馬も含めて40台を越え、子供を取り戻したいという夫婦の目的を知った見物人達は彼等に同情。彼等はヒーロー扱いされるようになる。また、夫婦とふれあううちにスライドも心情的に流される。
 息子との人質交換をターナーに申し込んだ夫婦は、シュガーランドに着き、約束の裁判所を目指すが、最終手段である狙撃隊か待ち伏せしていた…。

 人間味溢れる犯人像に世間が同情、応援するパターンは[俺たちに明日はない]のようだ。強行手段は問題があるとしても、狙撃しなければならない警察に、正義の在り方が問われる。ラストに呟くスライドの台詞が観る側の心に響く。
 ブレイク前のスピルバーグはすでに秀作を残していたと改めて感じた。

 前作、[激突!]はテレ・フューチャーであり、実質はスピルバーグの劇場映画デビュー作品で、タイトルも原題である[シュガー・ランド・エキスプレス]の方が合っている。