[隣の女] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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  フランソワ・トリュフォー監督・脚本。シュザンヌ・シフマン、ジャン・オーレル脚本。ウイリアム・ルブシャンスキー撮影。ジョルジュ・ドリルュー音楽。81、フランス映画。

 今週のマキャさんの御題でもあり、僕はケイトさんみたいに作品を見てないこともあるので、トリュフォーとフェリーニを見ることにした。

 これは実にトリュフォーらしい狂気に満ちた愛の物語。ファニー・アルダン演じるマチルドの持つ狂おしいばかり愛は、自作[アデルの恋の物語]を思わせる。元々ジャンヌ・モローをあてて書かれた役で、それも見たかったが、アルダンが神経を病んでいく様は実にリアル。
 偶然に昔の愛人が隣に越してきて、愛が再燃し陥る悲劇。語り口と観る側の引き込み方の巧みさはトリュフォーならではの演出術。エディット・ピアフのシャンソンにインスパイアされたという深い愛憎劇に魅了される。

 物語。ベルナール(ジェラール・ドパルデュー)とアルレット(ミッシェル・ボームガルトネル)は息子・トマを設けて暮らしていたが、ある時、隣家にマチルダと航空管制官フィリップ(アレリ・ガルサン)の夫婦が越してくる。そのマチルダはベルナールの8年前の愛人だった。
 自分の気持ちに制御が効かなくなることを恐れたベルナールは会いたいと言うマチルダの電話から、会食を避け、知人ジューブ夫人(ウ゛ェロニク・シルウ゛ェル)の家で時間を潰した。夫人は、最愛の人と別れ自殺未遂の経験を持ち、片足が不自由で、ベルナールのただならぬ状況を読み取っていた。
 しかし、隣家ということで避けては通れず、買い物の際に再会を果たしたベルナールとマチルダは必然の如く、愛を再燃させ、場末のホテルで逢瀬を重ねる。
 会話の中で、8年前ベルナールの子供まで妊娠しながら、踏み切れず別れ、マチルダは彼を忘れるため短い結婚をは経験、やっとフィリップに救われたことがわかる。
 ジューブ夫人が会いに来た昔の愛人を無視、旅行に出たのを見て、マチルダは愛する夫のため、新婚旅行を機会にもう会わないとベルナールに告げるが、激しいまでの恋を再燃させた彼は感情を押さえ切れず、マチルダの絵本出版と旅行を記念するパーティの席上、マチルダに強引に迫り周知の知ることになる。
 マチルダはそれを機に精神を病み。ベルナールは妻・アルレットの妊娠から自粛していたが、 マチルダの夫・フィリップから妻を救えるのは君だけだと言われて病院へ。やがて悲劇が…。

 一緒では苦しすぎるが、離れては生きていけない。語り辺であるジューブ夫人の台詞が、この映画を集約している。
 映画的引用も多く、マチルダのドレスが落ちる場面をホークスの[赤ちゃん教育]から、その他、ロメール、プルミンジャー等、トリュフォーの知的なセンスと映画への愛情を随所に感じさせる構造。後期のトリュフォー作品の中でも秀逸の出来にあると思われる。

 トリフォー作品はDVDレンタルが多くあり、必見の一作です!