[日曜日が待ち遠しい!] | 力道の映画ブログ&小説・シナリオ

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映画ブログです。特に70年代の映画をテーマで特集しています。また自作の小説、シナリオもアップしています。

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  フランソワ・トリュフォー監督・脚本。チャールズ・ウイリアムズ[土曜は逃げろ]原作。シュザンヌ・シフマン、ジャン・オーレル脚本。ネストール・アルメンドロス、フロラン・バザン、ラッサ・ランサーヌ撮影。ジョルジョ・ドルリュー音楽。82、フランス映画。

 キラコさんのトリュフォー祭りに合わせ。その遺作を観ました。
 当時、トリュフォーと恋愛関係にあったファニー・アルダンを主役にノアールを撮りたい。[隣の女]のラストを撮っている時に、思いついた企画。
 トリュフォーは脚本が気に入らず、担当のオーレルと揉め、最後まで険悪の仲だったとか。
 プロットが整合性がないとか本人は気に入らないらしいが、イギリス時代のヒッチコックを思わせるモノクローム映像。 テンポよく物語が転がり、冒頭で起こる殺人事件の謎を犯人に疑われる不動産屋・ジュリアン・ウ゛ェルセル(ジャン・ルイ・トランティニヤン)に変わり、秘書のバルバラ・ベッケル(ファニー・アリダン)が探偵代わりに解き明かしていく、ラブ・ミステリーで、コミカルでソフィストケートされた作品に仕上がっている。

 物語。ニース郊外の森で狩猟をしていた男が射殺される。ウ゛ェルセル不動産の秘書バルバラは社長の妻マリー(カロリーヌ・シホール)と争いになり、社長のジュリアン・ウ゛ェルセルからクビを言い渡される。殺されたマスリエはウ゛ェルセルの妻の愛人だったことがわかり、更に強迫電話までかかってきた。警察に拘束されたが、弁護士・クレマン(フィリップ・ローデン・バック)の尽力で釈放され帰宅するも、妻・マリーが殺害されていた。

  妻の過去を調べるために、ジュリアンは留守を任せようとアマチュア劇団で日曜の公演の練習に励む、バルバラを連れ出す。彼女は劇団の元夫・ベルトランに何度も復縁を迫られ、困っていたこともあり、ジュリアンに協力、彼が警察に顔を知られていることから、自らニースに向かい、妻を調べることに彼女の美容院はなく、[赤い天使 ]といういかがわしい売春斡旋の店になり、マスリエが経営する映画館のもぎりが彼の妻で、強迫電話の主であることがわかる。
 ジュリアンの妻は、どうやら競馬等で借金だらけだったこともわかる。
 バルバラが深入りするうち、マフラスの妻、[赤い天使]の支配人までもが殺されてしまう。
 警察を避け、二人で事件を探るうちにジュリアンとバルバラにはいつしか恋愛感情が生まれる。新犯人は誰なのか…。

 この映画は、サスペンス映画と言うより、主役・ファニー・アルダンを前面に押し出して、めまぐるしく展開する事件に絡ませるという、女探偵物のような味わいがあり、洗練された台詞。小気味のいいテンポが実に心地良い作品だ。
 トリュフォー自身、まさか遺作になるとは思ってもみなかったのだろう。敬愛するヒッチコックタッチを取り入れて、楽しんで撮っているように見える。肩肘張らず、トリュフォー流サスペンスを楽しんで下さい!