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「化粧品」
の配合順の読み方を少し解説しておきたいと思います。
今日はまず一番簡単な「化粧水」からです。
下のように一つ例を用意しました。
<例1>
水、BG、グリセリン、加水分解ヒアルロン酸(ナノ化ヒアルロン酸)、アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸)、ヒアルロン酸Na、PPG-10メチルグルコース、コハク酸2Na、ヒドロキシエチルセルロース、コハク酸、メチルパラベン
(ロート製薬 肌ラボ 極潤ヒアルロン液より抜粋)
化粧品の成分表示にはおおまかに以下のような決まりがあります。
①配合している成分は全て記載する。
②配合順に表記する。
③1%以下の成分は任意順で良い。
④「香料」は最後尾に書いてもいい。
①・②に関しては皆さんもよくご存知かと思います。
化粧品の表記は、
基本的には「全ての成分」が、「配合濃度の多い順番」で記載されています。
しかし、
意外と知られていないのは③のルールです。
1%以下の成分は任意…つまり順不同で記載してもいいのです。
※
1%以下の微量成分は化粧品の使用感にはあまり影響を与えないと考えられているため、(本当はそうとも言い切れないのですが)現在の薬事法ではそのようなルールになっています。
これはどういうことでしょうか?
先ほどの例を見ながら考えてみましょう。
<例1>
水、BG、グリセリン、加水分解ヒアルロン酸(ナノ化ヒアルロン酸)、アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸)、ヒアルロン酸Na、PPG-10メチルグルコース、コハク酸2Na、ヒドロキシエチルセルロース、コハク酸、メチルパラベン
まずは<例1>ですが、
皆さんは
この成分表で実質「配合順」になっているのはどこまでだと思うでしょうか。
もし③のルールが無ければ、
この成分表は全て配合順になっているはず…。
ですが、実際にはそうではありません。
結論から言ってしまうと、
この成分表で配合順で並んでいるのは
実は「水・BG・グリセリン」までです。
あとの成分は順不同になっています。
解説します。
『化粧水』の基本的な成分構成は
水:80~90%
水溶性ベース剤:5~20%
(BG・グリセリン・エタノール・PG・DPGなど)
その他の成分:5%以下
(美容成分・防腐剤・香料など)
のような感じになっています。
このように
化粧水では『水』と『ベース剤』がその成分のほとんどを占めており
『その他の成分』はトータルしても数%なのですから、
その他の成分一つ一つの配合量は微量…
つまり1%以下の任意順になっているのです。
化粧水の成分を見切るには、
『どこまでがベース剤で どこからがその他の成分なのか』
を見破ることが必要です。
そしてそのために重要なのは、
「1%以上も入れるはずがない成分」=『1%のライン』
を見分けることです。
<例1>
水、BG、グリセリン、加水分解ヒアルロン酸(ナノ化ヒアルロン酸)、アセチルヒアルロン酸Na(スーパーヒアルロン酸)、ヒアルロン酸Na、PPG-10メチルグルコース、コハク酸2Na、ヒドロキシエチルセルロース、コハク酸、メチルパラベン
なぜ先ほどの化粧水で
僕が「グリセリン」と「加水分解ヒアルロン酸」を堺に
ベース剤とその他の成分が分かれていると判断したかというと、
「加水分解ヒアルロン酸」
は1%以上も入れるはずがない成分だからです。
この成分は以下のように基本的に微量配合が基本になる成分で、
↑キューピー株式会社 ヒアルロン酸カタログより
1%以上の配合はまず考えられません。
あと「ヒアルロン酸Na」という成分について
この成分は有名な「保湿成分」として知られていますが、
実際には単なる『ゲル化剤』です。
ゲル化剤は0.3%も入れれば十分に水溶液に粘性を加えることが出来ます。
もしもそれが1%も入っていたらかなりの粘度になります。
(でもこの化粧水ってほとんど水みたいですよね…苦笑)
この点から予想される濃度は、
恐らくヒアルロン酸系の成分はトータルしても0.1%以下(多分!)。
少なくともパラベンなどの防腐剤は0.2%くらいは入っているので、
もし全てが記載順なら、
このヒアルロン酸系の成分はほとんどが最後尾に並ばなくてはならないのです。
こういう成分が上の方にあるということから、
それ以下の成分は全て任意順…ということになるのですね。
で、
こういう風に微量成分の順番を変えるのは
「化粧品」の成分表記ではオーソドックスです。
化粧水だけでなくシャンプーやトリートメントなども、
同様に成分が配合順不同になる『1%のライン』が存在していますよ。
特に化粧水の場合はベース剤の占める割合が非常に多いので、
思いの外1%以上の成分は少ないものです…。
ちなみに
この『1%のライン』を見極めることができることは、
化粧品の簡易解析の基礎スキルでもあります。
1%のラインが見極められるようになると、
化粧品の基礎的な使用感などは
ほぼ1%以上のベース剤で判断できるということになり、
それ以下の成分の効能は、
「まぁこんな効果も期待できるよね」
という程度で評価していくことができるようになるわけです。
また練習してみて欲しいと思います(^-^)
今日は1%のラインを見破るのに「ヒアルロン酸」に注目するという話でしたが、
次の機会には「植物エキス」のお話をしたいと思います。
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