さあ、具が乗っかり、その上にまた生地を載せ、下準備がすべて出来上がりました。あとは焼くだけです。その前に、ここまでの作業ををした女性陣が揃って記念撮影をしているようです。時刻は午後4時過ぎ。
こちら、上に乗っかる鉄板では、まだ焼けた炭が敷かれ始めたところです。しかししばらくすると、こちらも炭が十分に載っかって、いよいよ炉の上に生のププーサを載せた鉄板を移動させます。
これがまた壮観。このように、4本の太い金属パイプを鉄板の下に渡してそれぞれの両端を5人ずつで持ち上げて運ぶわけですから。総勢40人の男たちが、ププーサを傷めないように、ゆっくりと運びます。
炉の上にやって来ました。炭は赤くなっています。
さあ、この辺りでププーサの乗った鉄板をゆっくりと下ろします。
次に上の板を、同じ40人で運んで来て載せます。熱い炭が満遍なく敷き詰められています。
はい、ではププーサが焼けるまでの間、会場の様子を見てみましょう。って、私が真っ先に近づいた場所は、何と言ってもやはり左のミス・オロクイルタ観光大使 (Miss Turismo Olocuilta) と右のオロクイルタ女王 (Reina de Olocuilta)、この2人が並んで座っているところですよねぇ。彼女たちがどのようにして選出されたのかは分かりませんが、とにかくこのイベントの花形というわけです。
モザイクをかけたくないので、もちろん、ネット上にアップする許可をいただいて撮影、お顔をそのまま出させていただきますよ(背後の女性にはモザイクをかけましたが、これはそれに値する顔だからということでは決してありません!)。
ププーサを焼いている所に近づくと、熱気が肌を刺してきます。
鉄板の端の方に開閉できる蝶番(ちょうつがい)式の小さな蓋があって一種の窓になっており、適当な時間を見て、そこを開いて焼き具合を確かめつつ、火から外すのに適当な頃合いを見ます。
さあ、ぼちぼち「焼け上がる時間」とされる40分が経ちましたので、先ほどまでいた会場脇斜面、絶好のアングルの所に戻ります。実際に上の板を外したのは50分程度経過後でした。
40人(この写真で勘定したら正確には41人でした)の男性陣が上の鉄板を持ち上げて外し始めると、下からキツネ色に焼け、湯気を吐いているププーサが現れて来ました!
ほおれ、美味しそうですね!(←実際の味については下をお読みください)
でかいピザのようにも見えます。
同じ男性連で、下の鉄板を炉から外して近くに据えてある台の上に載せます。
台の上に乗りました。湯気がむんむんと湧き立っています。
ここで再びユニフォームの女性陣が焼き上がったププーサを取り囲んで記念撮影。私もカメラマンたちの隙間に入り込んでカシャリッ!
中央の黒いジャケットを着た男性は、あるいはオロクイルタの市長かもしれません。確か、YouTube に昨年のププーサ祭のビデオが出ていて、そこに似たような人が市長として出ていたような。
包丁やピザカッターで切り分け、大型の箆(へら)で掬(すく)い取ります。
どうも外国人の特権で優遇されたようで、前回の記事に書いたように、会場内にも優先して入れてもらえましたが、出来上がったププーサも最初の方にいただくことができました。背後には長蛇の列が……。
それにしても、チーズの焼ける香ばしい匂い!
私に取り分けてもらったのは、定番のチーズ&フリホーレス(豆)でした。
そしてお味のほどは。
……うんっ、これは、……美味しくない。
というか、はっきり言って不味い。
さすがに先ほどププーサ屋で食べたのと違って、ただ米とチーズを一緒にして焼いただけという感じの味です。やっぱり、美味しさで勝負していないから仕方がないかな。煎餅(せんべい)のようにぱりぱりして硬いです。
思ったよりたくさんの分量をいただき、これは食べきるのが至難と判断した私は、いけないとは思いつつも、「動物愛護」とその場限りの屁理屈で自分を納得させて、辺りに何匹もふらついていた――おこぼれのププーサが目当てと思われる――野犬に一部をあげてしまいました。
いけないんですけどね、二重の意味で。まず、野犬に食べ物をあげるのが良くない。しかし、この国では、人々は普通に野犬に餌をあげます。よく学校の構内にもいるのですが(例えば昨年のある記事の最後の写真)、餌を置く皿なんかも置いてあったりして、半分飼い犬のような状態です。だから、当地としては、あまり悪い事だとは思われていません(だからどんどん繁殖しているように思うのですが)。それよりも、せっかくお祭りで振舞われたププーサを野犬なんぞにくれてやっていいものか(いや、悪いに決まっている)。
でも、本当に不味かったんですよ。材料はププーサと同じでも、もはやププーサとは言い難い、チーズ煎餅でした。いや、煎餅ならまだ美味しいです。もはや食べ物なのかと疑ってしまう代物(しろもの)でした。
とまあ、散々にこき下ろしていますが、食べ物としてはともかく、見もの、あるいは作品としては見事なものでした。さすがオロクイルタ。
おっと、空が暗くなってきました。早く帰らなければ。
自宅までの30キロの走行中に、日が完全に落ちて真っ暗になりました。
巨大ププーサをいただくのはもう勘弁という感じですが、とにかくこのような地元のイベントを絶好の位置で見られたことで、私としては非常に満足したのでした。