アワチャパンの温泉 | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

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エルサルバドルに単身赴任中。
気候が良く日本より健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意すべきは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

アワチャパンの温泉は今回のドライブ旅行の最後の目的地です。温泉施設としては、サンタテレサ温泉 (Termales de Santa Teresa)。周囲にも他に二三の温泉施設があるようですが、これが最大にして最も設備が整っており、従って人がたくさん来ているようです。

入場料は大人10ドル。日本円で約1,500円ですから高く感じられるかと思いますが、施設が立派であることを考えると妥当なように思われます。

 

 

ゲートで支払い、日本でもよくあるように、入場の紙腕輪を付けてもらいます。

外国人もたくさん来ているようで、英語、中国語、それにドイツ語(?)を聞きました。

 

 

 

 

温泉プールは全部で30もあるそうです。大型施設です。それぞれのプールに数人から多いところでは十数人がいましたので、全体で数百人が来ていることになります。一日を通してなら、もっと来ているのかもしれません。賑わっています。

 

 

各プールの水温表示板。ここに書かれている全てが30度台。日本人的な感覚からすると、ぬる過ぎます。

しかしこの表にはありませんが、最も奥、バーの脇にあるプールは「MAX 42℃」と表示されていますから、日本ならちょうどいい湯加減です。当地の温泉は室内の浴槽ではなく広い屋外プールですから、同じプールでもお湯が流れ込んでいる所は熱めで、流れ出すあたりはぬるいです。

私はこのプールの中ほどにゆっくりと浸(つ)かることにしました。40度といったところでしょうか。

ほんのりと硫黄臭がしないでもないですが、色の割に臭いは強くありません。が、やはり化学的効果があるようで、上がった後もポカポカします。

中高年数人のグループの、一人の男性が私の近くまでゆったりと泳いできたので声を掛けました。私と同じくサンサルバドルから来たとのこと。「私は日本人ですがサンサルバドルに住んでいます。日本人には健康のために温泉に入る習慣があります」と言うと、「温泉は何かの効用があるんですか?」と聞きます。「温泉によりますが、例えば高血圧とか」「そうなんですか。実は私は高血圧なんですよ」「血の循環が良くなりますからね。でも高血圧の人は、これよりも熱いお湯に入ってはいけません。それと、皮膚とか、心臓とか、骨とかにも効いたりします」

こんな感じの会話をしました。更に、当地に住んで1年近くになり教育関係の仕事をしている、といった簡単な自己紹介もしました。

 

 

サンタテレサ温泉では、もちろん食事もとれます。

 

 

化学分析表が掲示されていましたが、これは日本のように水質に関するものではなく(従って湧出温度やpHは書かれていない)、土壌の分析でした。その主成分の一つであるカオリナイト (caolinita) は化学組成が Al2Si2O5(OH)4ウィキペディアによるとその2倍数の Al4Si4O10(OH)8 とあります)の鉱物で、中国江西省景徳鎮の南東50キロにあるカオリン山(高嶺山)が名前の由来とのこと。

ウィキペディアのリンク先のページにも詳しい説明があります。

 

 

その脇にカオリナイトの標本が展示されていました。

 

 

先ほどの写真のテーブル席にて一休みします。コーヒー豆の麻袋が壁に掲げられていて、「カフェ・サンタテレサ(社名)/エルサルバドル/オンセン・コーヒー(銘柄名)/パカマラ(品種)/ヨコハマ」とあります。最後の「ヨコハマ」は輸出先の港か?

ネットで Onsen Coffee を検索したら、兵庫県豊岡市にあるエフカフェのサイトに詳しい説明がありました。また、群馬県前橋市と東京都小平市に店舗を構えるデナリコーヒーのサイトでは、まさにここ、サンタテレサ温泉の農園で採った豆を宣伝していました。ほかに、愛知県知多市の0566珈琲製作所のサイトでは、やはりここの農園の豆を宣伝しているだけでなく、この写真の袋も掲載されています。

日本でも、色々な店で手に入る豆です。

 

 

私はコールド・カフェラテをいただきました。4.95ドル。純粋なコーヒーを飲んだわけではないので豆の味の評価はできませんが、ミルクでまろやかな味になり、喉も十分に潤ったので、ドリンクのチョイスは正解だったと思いました。

 

 

日本式マッサージ (masaje japonés) を謳(うた)うマッサージ屋もあり、温泉に浸かる前に予約状況を確認したら、午後1時半まで一杯とのこと。そのくらいの時間にはここを出たいと思っていましたので、諦めることにしました。

温泉の敷地内には宿泊用のヒュッテもあり、「ドイツ」、「スイス」の他に「日本」というのもありました。

このように、日本の認知度も高いわけです。嬉しい限りです。

 

 

更に、ゲート近くにある源泉の入口には、このように鳥居まであります。

 

 

源泉です。湯気が湧き上がっていて、かなり熱そうです。硫黄臭もします。

さて、私はサンタテレサ温泉から、車で15分ほどの所にある「温泉噴出孔 (Ausoles)」に向かいました。ここには一般公開している場所もありますが、基本的には大きな地熱発電プラントの敷地です。まず、そこの門衛に見学できる場所を聞いて彼の示す道に進むと、「Ausoles」の看板がありました。しかし看板はあまりに小さく目立たなかったので、「まさかここではあるまい」と思い、通り過ぎてしまいました。

 

 

その先にも発電施設の一部があったので、ちょっとだけ覗いてみました。立看板には「立入禁止 (PROHIBIDO EL PASO)」と書いてありましたので、もちろんそこは越えていません。

目的地に直行しなくても、こういう収穫があるものです。

一旦は通り過ぎた「温泉噴出孔」に戻ります。目立たない看板の脇に狭い通路があり、バイクに乗って来た若いカップルが入って行ったので私も後に続くと、入口すぐの所にある民家のような雰囲気の小屋から、一人のおばさんが出て来ました。「ここが『温泉噴出孔』ですか?」と聞くと、「そうです」と。

 

かつてはもう少し観光客が来ていたようですが、今は寂しい限りです。

入場料は1ドル。「噴出孔は3か所ありますが、近づき過ぎないように注意してください。80~90度ですから。それに、近くの地面は湿っているので滑りやすいです」と注意事項を述べる彼女。小雨がぱらついていましたので、傘をさして歩きます。

 

 

確かに注意していないと危なそうです。地面の所々から湯気が噴出しており、近づくと「ゴー」という低い音が聞こえてきます。

 

 

 

お湯が湧き出している所はこんな感じ。ブクブクと泡(あぶく)が湧き上がっています。

今回の連載の最後に、ここで撮った動画をお見せしましょう(42秒)。湯気といい、泡といい、動画の方が臨場感が伝わってくるのではないでしょうか。

 

 

町並み、滝、コーヒー、温泉と、今回のドライブ旅行でも色々なものを愉しませていただきました。