ケニアで紅白歌合戦を観る | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

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エルサルバドルに単身赴任中(7/15~8/5一時帰国)。
気候が良く日本より健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意すべきは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

賞味期限が切れていそうな話題ですが、観てしまいましたよ、ケニアで。

NHKの場合、NHKワールドの日本語テレビ放送を視聴するには、基本的にはケーブルテレビや衛星放送に加入しなければいません。自宅にはテレビモニターはありますが、防犯カメラ専用で、テレビ回線はつながっていません。かといって、日本語番組を見ることができる在住者の家に押しかけて観るのも、コロナの感染再拡大が始まっている現状のナイロビではためらわれます。ただし、英語ならネットで動画の同時配信を無料で見ることができます。

なので最初は、「今回の年越しは紅白を観ずに、それまでの日と同じく、ゆっくり酒を呑みながら本を読みつつ静かに過ごそう」と思っていました。そもそもはディアニ・ビーチで年を越すつもりだったわけで、紅白を見ようとは考えていませんでしたから。

しかし大晦日の当日、気になってネットで曲順表を見たところ、私が今年好きになった YOASOBI の、しかも好きになるきっかけとなった「群青」を歌うではありませんか!

この曲目を見た瞬間、どうやって視聴できるか、急遽調べ始めたのです。

「紅白歌合戦」「海外」をキーワードにして検索し、海外で視聴する方法の書いてある海外在住者のサイトを幾つか見つけ、それらを読むと、どうやら一番のおススメ方法は、「VPN」+「U-NEXT」のようでした。

VPN (Virtual Private Network) については、私は専門家ではないので、詳しい話は専門のサイトをお読みになっていただければと思いますが、要するに、特定のIPアドレス(端末アドレス)を持つネットワークに外部からアクセスできるシステムです。私がこのシステムでやりたかったのは、海外(ケニア)のIPアドレスから日本のIPアドレスを持つネットワークに接続して、あたかも日本から接続しているかのようにネットに接続するということ。そうすると、海外では視聴できないはずの動画・番組も見ることができます。加入料金は、何人かの方のサイトで紹介されていた「NordVPN」というプロバイダーの1か月プランが11.95米ドル。もっと長い期間のプランだとずっと割安になります。しかし私としては、紅白を見るためなら1か月プランでも割高ではありません。

一方、U-NEXT は日本の動画配信サイト(他のサービスも色々とありますが)で、紅白の動画もオンデマンドで配信するとのこと。会費は月額2,189円ですが、最初の31日間は無料、しかも加入時に600ポイントのサービスがあります。海外のIPアドレスからは視聴できませんので、VPNを利用することになります。

しかし、実際に U-NEXT に「無料お試し期間」で加入してみると、紅白の配信は1月1日の日本時間10時頃(ケニア時間朝4時)になるとのこと。

これでは紅白で年越しをすることができない、と思い、他に年内に視聴できる手段はないか探したところ、NHKプラス(2020年4月に開始したサービスだそうです)に「同時配信」と「見逃し配信」のサービスがあって、「見逃し配信」の場合は、番組終了直後から見ることができることが分かりました。

番組終了は日本時間の23時45分。ケニア時間だと17時45分です。

おお、「見逃し配信」で観るとちょうどいいではないか!

このサービスも、日本からでないと視聴できないことになっていますが、VPNを使って見ることができるわけですなあ。

ところで、NHKプラスは、受信契約者を対象としているサービスであることに注意です。私の場合は住民票こそ外してあるけれども、日本に自宅がありますし、家族がテレビを見ているからそこの住所でNHKと契約し、現在も受信料を支払っています。だから問題なく利用できるはずです。

実はこのサービスを見つけたのがケニア時間の20時。すかさず利用申込をして、紅白の「見逃し配信」を見始めました。途中、飛ばし飛ばしに見たり、繰り返し見たりして、見終わったのが23時30分。

うん。これで落ち着いて年越しができる気分になった!

さて、今回の紅白についての私の感想ですが、私の中では、やはり YOASOBI 「群青」 が圧巻でした。「かけがえの無い僕だ」のところを「かけがえの無いみんなだあ!」と替えて叫ぶシーンも素晴らしい。出場2回目にして、一気に大御所の域に入って来ているとさえ言えます。

確かに MISIA の歌も上手くて美しい。しかし私の心を動かしたのは、やはり YOASOBI でした。贔屓(ひいき)や曲の好み、というか思い入れがかなり入っているかもしれませんが、彼らが今年の紅白のクライマックスだったとさえ思っています。

他に特に良かったのは、東京事変「緑酒」。嗚呼、渋い!! カッコいい!! 聞き漏らすまじ。忘れまじ。数年前の「長く短い祭」以来の感動です。

それから星野源「不思議」。これも良かった。正直言って、それまで彼の曲も演技も著作も、それほど好みのタイプではなかったんですよ。でも、この歌はジーンとくる。

Perfume も目立たないながらも安定した歌とパフォーマンスです(もう14回目になるのか。ベテランの域に入っていますね)。乃木坂46生田絵梨花の眼に蓄えられた涙も、きらめいて印象的(歌はそうでもなかったけど)。

このように、私が気に入ったのは、ほとんど後半の歌手です。前半の歌手の多くは、歌唱力がちょっと、という人が多い印象でした。でも Awesome City Club「勿忘」は良かった。

全体としては、会場が東京国際フォーラムだったためか、コロナが影響したためか、シックでアダルトな雰囲気。今までの「幕の内弁当」的な構成ではなく、まとまりがあって(単に私が興味の無い部分を飛ばしたからか?)、私は今回の紅白の演出を気に入りました。

とにもかくにも、ああ、しかるべき時に観ることができて良かった。

で、ケニア時間の0時(日本時間朝6時)に、自宅の近所では爆竹が6分間鳴り続けました。やはり当地でも人々は新年を祝っているのです。

 

この晩は午前2時過ぎまで起きていましたが、ベッドに入っても、しばらくの間は近所からの(とは言っても数百メートルは離れているか?)音楽が続いていました。ライブ演奏しているようです。いつ終わったのか分かりませんが、多分、明け方近くまでやっていたのではないでしょうか。

 

ちなみに日本時間の新年の瞬間は、Abema で、ももクロのカウントダウンを見ていました。

コロナ新規感染者数が連日2,000人とか3,000人とかを記録して、コロナ第5波真っ只中のケニアですが(1月に入って、その数はやや減少傾向です)、夜間外出禁止令は現在のところ解除のままです。

そして、2022年の最初に撮った写真は、これ。

 

 

元旦の昼食です。おせち料理でも何でもなく、自作のカレーライスです。チキンのドラムスティックを使っています。

ご飯もルーにかなり隠れ、そのルーもココナツパウダーをたくさん入れたのだけれども、見かけはトマトスライスやトマトペースト、ニンジン、カイエンペッパーの色に完全に圧倒されてますなあ。

これはやっぱり、紅組の優勝だ。

……お粗末様でした。

 

この度、初めて利用することになった「NHKプラス」の同時配信で、恒例の「ウィーン・フィル・ニューイヤーコンサート」の最後の部分を聴きながら食べました。

私が小学生の時に小太鼓で演奏したことがあるお気に入りの曲、「狩りのポルカ」をアンコール曲で聴けて良かった。

そして、最後の「ラデツキー行進曲」に戻って来た観衆の手拍子(昨年は無観客でしたから)。感慨深いです。

それにしても、今年のタクトを振ったダニエル・バレンボイムも年を取ったものだ。

ということは、私もそれだけ年を取ったということか。

そしてこの日、また一つ年を取ったわけです(数えで)。

このように、日本の家族を想い(えっ、記事には何も書いてないって? 想ってましたよ、もちろん)、日本の放送局から流れるオーストリアでのクラシックの演奏を聴きながら、ケニアのビールを飲みつつインド風カレーを食べたのでした。

物理的にはナイロビの自宅に巣籠もりでしたが、気分的にはグローバルな元旦でした。