巣ごもり、自粛でフラストレーションを溜めてはいけません。一つには、巣ごもりをしながらフラストレーションを溜めない工夫をすることが必要です。いや、工夫どころか、ライフスタイルの根本的な変容が必要です。ライフスタイルの変容とは、考え方の変容です。価値観の変容です。難しいことかもしれませんが、このコロナ禍は、私たちにそうすることを迫っているのだと思います。
しかしもう一つ、適度な外出も必要ですよね。乙吉をハイキングした時の記事にも書いたように、晴れた日には、感染予防をしっかりとした上で、「3密」(密閉・密集・密接)を回避して、外の空気を吸い、自然に触れること。これは精神衛生上も、肉体的な健康上も、とても良いことだと思います。
……ってなことは分かり切っている、しかし、3密を完全に避けて外出するなんて不可能だ、とおっしゃる都市在住の方々には、お気の毒です。
5月1日金曜日。都会で身動きの取れない方々には悪いですが、地方に住んでいる私としては、連休中の晴れた一日、また近場の里山へとハイキングに行かせていただきましたよ。自宅から歩いて。
今回は、出不精の娘もなんと6日振りに外出です。心なしか、娘の顔がこの数日で夜行性の動物、スローロリスの顔に近づいたような気がしますが、やっぱり心なしか。
ともかく、スローロリス化、モグラ化を防ぐには、散歩やハイキングはもってこいです。
行先は成願寺方面の百間堤(ひゃっけんつつみ)という大きな池。前の記事のために作成した概略図がありますから、それを使って位置関係をお示しします。
自宅のほぼ東方向、やはり「東山」の麓(ふもと)にあります。地元の方なら、「長岡高専の奥」と言ったら場所がお分かりになるかもしれません。
いつものようにくだくだと御託を並べるのもこのくらいにして、早速(もう「早速」ではないか)、今回のハイキングの収穫をお見せしましょう。
これがその百間堤なんですが、「百間」とは約180メートルのこと。堤防が百間のつもりなのか池が百間のつもりなのかは分かりませんが、堤防らしきものがどこにあるのか、よく識別できません。また、池の長さは約300メートルです。一体何が百間なんだろう。
周囲をご覧のような森に囲まれた――すぐ100メートルのところには集落があり田んぼが広がっていますが――、自然の中にどっぷり浸かっている気分になれる、静かな場所です。
写真では池の奥に一部が小さく写っている程度ですが、湖畔には「百間堤霊園」という大きな墓地があります。こういう閑静なところなら、ご先祖様の魂もさぞ落ち着かれることでしょう。
魂が落ち着くと言えば、この墓地に「平和を祈る社」という名の一角があり、ガダルカナル島・ビルマ方面の戦没者慰霊碑が立っています。鎮魂には最適の百間堤です。
その一角に入る手前の道端には、大きな白い花弁の花が咲いていました。
葉の形がユニークです。ベゴニアの一種でしょうか。まだ特定できていません。
池にはアオサギが飛来していましたが、私の目を引いたのは、カモの方です。
スズガモの、恐らく番(つがい)です。日本には似た色の鳥が他に2、3種類いるそうですが、図鑑やネットで調べて何とか区別できました。彼らは池の中央付近を漂っており、縁(ふち)の方に来てくれません。コンパクトカメラでは、この程度の解像度が限界です。
こちらはコガモ。最初はヨシガモかと思いましたが、目の下に黄色い筋があることからしても、コガモです。
「平和を祈る社」の先には未舗装のトレイルが池の岸沿いに伸びていましたので、一周できるかと思って進んでみました。
しかしある地点から道は方向を変え、森の奥へ入って行きます。森に逸れて200メートルくらいでしょうか、ご覧のタムシバの白い花が綺麗に咲いているところで折り返して戻ることにしました。
百間堤を囲む森の手前、田んぼに生えた一本の木にホオジロが留まっていました。近くの田では年配の方が、望遠レンズを付けたカメラを構えて地面に膝をついている。私たちと同業者ではないか。
いや、彼の方がよほど専門的です。私たちは散歩のついでに野鳥も少々探してみるか、という程度ですから。
というわけで、野鳥も野花も、収穫が少しだけありました。森と田の間では、満開のサクラの大木が立っていました。
……と書きつつも、これは本当にサクラなのだろうか。長岡市街や悠久山ではもうとっくに葉桜になっています。それらの場所とここは標高差がほとんどないですから、気温もほぼ同じはず。品種が違うのでしょうか。
近くに行ってサクラであることを確認しようかとも思いましたが、新調したスニーカーに足が合わないためか、娘が足を痛がって、一刻も早く帰りたがっている様子。
しょうがない、もう寄り道せずに、そのまま帰ろう。
……と書きつつも、途中、悠久山前のコンビニ(デイリーヤマザキ)に寄って、アイスクリームを買って食べました。現在イートインは閉鎖されているので、家族3人野外に腰を下ろして、私は手へのウイルス付着の可能性に注意しつつ、そそくさと食べます。
この写真は、百間堤を出たところで振り返って眺めた栖吉城址の城山。
この山頂付近も、サクラか何か、淡い彩(いろど)りの花が咲いていて、春らしさを感じさせます。
自粛疲れなんて、全然な~い!