ナミジム森林保護区と「隠れ家」 | Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

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エルサルバドルに単身赴任中。
気候が良く日本より健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意すべきは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

この国に長期滞在するにあたって、私の探しているものがあります。普段の仕事や生活から離れて、一人でのんびりと週末あたりにでも過ごせる別荘的な宿泊施設です。森か山の静かで涼しいところで、酒をチビチビやりながら読書をして過ごす隠れ家的な場所、そんなイメージです。足繁く通えるところがいいです。

 

最初に目星をつけたのが、ムランジェ (Mulanje)、チョロ (Thyolo) といった、南部のシレ高地 (Shire Highland) の紅茶農園の宿泊施設。具体的に一つか二つの候補があるのですが、まだ行っていません。リロングウェからは車で5時間程度かかるので、「週末にちょっと」という心積りで行くには、かなり遠い場所です。

 

北部のニカ国立公園 (Nyika National Park) も、涼しくて野生動物も豊富で、私の好きな馬での遠足もできるので、なかなか魅力的なのですが、こちらは更に遠い。6時間以上かかってしまうのではないでしょうか。多分、3日か4日の休暇で行くようなところでしょう。

 

いずれも、近いうちに行ってみようとは思っていますが、週末に過ごすにはちょっと厳しいか。

 

そんなところに、ある日、日本人の同僚とあるレストランに行くと、そこにナミジム・フォレスト・リトリート (Namizimu Forest Retreat) なる名前の施設の広告パンフレットが置いてあるではありませんか。リロングウェから車で4時間弱で行けそうなナミジム森林保護区 (Namizimu Forest Reserve) 内にある、写真を見る限り、雰囲気たっぷりの宿。まさに隠れ家 (retreat) という名が付いています。私の希望にぴったりの場所では、と期待が膨らみます。

 

本格的に雨季に入ってしまうと、移動もどれだけ制約されるか分かりません。そして目的地に着いても、悪天候ならば、どれだけ気分転換になるか分かりません。まだ天気の持ちそうな今のうちに「善は急げ」です(もっとも、「晴耕雨読」という言葉もあるので、読書をするには雨天の方が却って向いているかもしれませんが)。リウォンデに行ってきた次の週でしたが、早速、次なる旅行です。

 

(ちなみに、この週は火曜日から金曜日まで国内出張でした。つまり、10日間くらい、ずっと移動しっ放しなのです。それでも週末にはじっとしていられなくなるタチの私です)

 

さて、その宿へは、マンゴチ (Mangochi) という町からモザンビーク方面に20キロ、舗装された道を行きます。途中から上りになり、ほぼ上り切ったところで宿の看板があり、左折。1.5キロの土の道をまた上ると、そこが宿です。

 

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私の泊まった部屋は、写真の手前の方です。電気はなく、夜間の灯(ともしび)はロウソクの炎です。多分、敢えて電気を引いていないのでしょう。キッチンやダイニングのスペースのある母屋はもっとずっと大きくて、電気も通っています。安くて比較的おいしい箱入り5リットルの南ア製赤ワイン(実は私の自宅にも常備してあるものと同じものです)が置いてありますが、他の酒や飲み物を飲みたければ、持ち込みも可能です。

 

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日曜日の午前中は、雨が降ったりやんだりで少し天気が悪かったでしたが、森林の中をハイキングです。宿から更に200メートルくらい登って、山頂は標高1,300メートル台です。

 

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この黄色い花は、地面からいきなり飛び出して咲いています。ガイドによると、葉は後から出てくるとのこと。彼が持参している図鑑を開いて、この植物の名「Costaceae」を指します。和名はオオホザキアヤメ(科)というようです。

 

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マンゴチの町とマラウイ湖の南端方面を望みます。もう少し空気が澄んでいたら、もっと細かく町の様子が分かることでしょう。

 

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道中で撮った写真の中で一番きれいに撮れたと思うのは、この虫。名前はわかりません。

 

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山頂にはセメントの円柱塔が立っています。いちばん上の岩には、上るために3メートルほどの木の枝が不安定に立てかけてあるだけで、それに脚を掛けつつ上るのが危険でちょっと怖かったでしたが、ガイドに枝を押さえてもらいつつ、何とか上り切りました。

 

さて、今回の目的地の結論。宿は、まさに私の期待通りで、「隠れ家」の有力候補になりました。森林も、散策にはいい雰囲気の場所です。

 

ただし、もう一つの興味であるバードウォッチングについては、多少期待外れでした。森の中から声はすれども姿は見えず。収穫も、結局、写真が一枚も撮れなかったという有様。ひと雨降って、これから帰ろうという時になってようやく鳥たちが活発になってきて、ちらりほらりと飛び交い始めました。残念です。

 

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最後は、下に降りて、マンゴチの町のランドマークである時計台です。マンゴチはマラウイの中でも最も暑いところの一つです。1,000メートル以上を下って一気に気温が上がったので、マンゴチ在住の同行者は憂鬱な顔を私に見せていました。

 

帰路は激しいスコールに見舞われました。雨のカーテンで視界が悪くなるくらいの凄まじい勢いです。道の両脇は水浸しどころか、すっかり即席の川になっていまい、畑は池に、町は水上集落になったという感じです。

 

本格的な雨季が、この日の午後に始まったという実感がしました。