Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

Que sais-je? ク・セ・ジュ――われ何を知る

エルサルバドルに単身赴任中。
気候がいいので日本よりよほど健康的な生活を送っています。
ドライブ旅行をぼちぼちしていますが、
この国で最も注意しなければならないのは交通事故。
今や治安以上に大きなリスクです。

なおヘッダーは2020年に新潟県長岡市にて撮影。

3月26日(火)。ダマハグアの27滝巡りを断念した私は、この日の一日をプエルト・プラタに費やすことにしました。

タクシー手配所が街路にあります。各所までの料金の掲示があり、プエルト・プラタまでは35ドルまたは2,000ペソ。すぐ向かいに小さな両替屋のあるのが目に留まったので、現地通貨に換金した方が安くなると思い、残りのペソが少なくなってきた私は60ドルだけ両替してタクシーに乗り込みました。行き先はプエルト・プラタのイサベル・デ・トレス国立公園 (Parque Nacional Isabel de Torres) ロープウェイ乗り場。

小さな両替屋だったので、こういう所ならレートがいいだろうと思ったところ、1ドル=57ペソと意外とレートが悪く、結局、米ドルで支払うのと比べてむしろ5ペソ(約13円)だけ損だったのでした。

とにかくタクシーに乗ります。ドライバーはアマウリ (Amauri) さんという人。道路の至る所に選挙立候補者の看板が掲げられているのでアマウリさんに聞くと、総選挙は5月とのこと。大きな政党は3つあるそうで、「新理念党 (Nuevas Ideas)」が議会をほぼ独占したエルサルバドルとはだいぶ政情が違うようです。彼によると、エルサルバドルのブケレ大統領は、ドミニカ共和国でも人気がある、と。

私は政治の話を続けます。「エルサルバドルの選挙は2月だったけど、得票率85%の圧勝だった。治安が良くなったからね。日本とはえらい違いだ。総理大臣の支持率は約20%、20%だよ! 税政策がうまくいっていないからなんだ。彼が総理大臣でい続けられるのは、与党が圧倒しているからなんだよね」

国民が大統領を直接選べる中南米の国では、こういう事はあり得ません。

この国の政治について彼の言うには、産業や天然資源があるから金はある、それを政治家が着服しているのが悪い、と。つまりは政治が腐敗している。

私が直近の国際学力比較テストであるPISAの結果に基づいて、この国の教育水準の低さに言及すると、教育財政は悪くない、人材が不足しているからだ、と。「あんたは(エルサルバドルでは)アドバイザーなんだよね?」。「その通り。教育の技術アドバイザーだ。いつかこの国に何かのプロジェクトが立ち上がって、私にお呼びがかかって、この国に貢献するために来れればいいんだけどね」

政治批判や論争にならないよう、客観的事実に終始するように気を付けて、30分の車内ではこんな感じで政治の話を中心にしたのでした。しかし、到着間際に私の好きなクリスティアン・カストロ (Cristian Castro) の「ロ・メホール・デ・ミ(Lo Mejor de Mí、僕の最高のもの)」がかかったので、それに関して少々音楽の話もしました。かれはサルサと(クリスティアンのような)ムシカ・ロマンティカ(Música Romántica、ロマンチック音楽)が好みとのこと。

「上品だね (Sofisticado)」と私。たぶん、彼にとって最高の褒め言葉になったのではと私は思っています。

おっとっと、ロープウェイまで、なかなか行き着けませんね。

でも、着きました。そして40分ほど待って乗りました。入園料を含めて往復10ドルです。

いきなり展開が早くなったって?

 

 

上っている途中、ちょうど中間地点で向かいから下りてくるゴンドラとすれ違います。

この瞬間はワクワクです。

 

 

頂上駅を出た所から見降ろすプエルト・プラタ市街。街の白っぽい色と大西洋の青とのコントラストが美しいです。そこに手前の森の緑と葉の赤。

 

 

港にはクレーン船と2つの大型クルーズが。写真をアップしたら船を同定できました。左はパナマ船籍のMSCポエジア (MSC Poesia)、右はバハマ船籍のノルウェジアン・アンコール (Norwegian Encore)

前者はMSCクルーズ (MSC Cruises) というスイス・イタリア系の会社、後者はノルウェージャン・クルーズライン (Norwegian Cruise Line) というアメリカの会社がそれぞれ運航する船だそうで。

このように、クルーズ船がたくさん発着するプエルト・プラタです。

 

 

そのクルーズ船2隻が停泊しているプエルト・プラタ港 (Puerto de Puerto Plata) 周辺の景色。

実はこの写真をよく見ると4つの野球場が確認できるのですが、お分かりになりますか?

こんな限られた範囲にですよ! さすがこの国の国技だけあります。日本にも、ドミニカ共和国からの野球選手がたくさん来ていますよね。

私が思い出すのは、我が地元のチーム、新潟アルビレックスBC(現在はオイシックス新潟アルビレックスBC)の試合を初めて観た日の事。今から5年前です。この日、埼玉武蔵ヒートベアーズを相手に逆転3ランを放ってお立ち台に立ったのは、ドミニカ共和国出身のピメンテル選手。インタビュアーはおろか、チームの日本人の誰もスペイン語が話せないものだから、監督が観客席に通訳をしてくれる人を求めて、私が喋れることを告げたものの通訳を断ったというエピソードがあります。詳しい経緯はリンク先をご覧ください。

後から振り返ると、これが彼の日本での野球生活で最大に活躍した試合だったかもしれません。彼は確か、翌年のシーズン終了で契約解消になったかと記憶しています(間違っていなければ)。ネットを検索したら、akasen という方の「X」(旧ツイッター)に、今年はベネズエラで活躍している旨のエントリーがありました。新潟に縁があった選手だけに嬉しいです。

そんな訳で、この国にも親しみを感ずる私です。

 

 

プエルト・プラタ市街の中心付近。

 

 

こちらは頂上そばに立つ贖罪者キリスト (Cristo Redentor) 像。あの、リオデジャネイロを象徴するキリスト像のミニチュアであると説明プレート。リオのそれは高さ30m(プラス台座が約10m)ですが、こちらは16m。

 

 

北西方面に目を遣ると、ロス・グスマンシート風力公園 (Parque Eólico Los Guzmancito) の風車群。今や発展途上国を含む世界の各国で再生可能エネルギーの追求が進んでいます。

ちなみに私が今住んでいるエルサルバドルでは地熱発電の開発が盛んに行われており、日本政府も国際協力機構 (JICA) を通じて技術支援をしています。

 

 

これはプエルト・プラタ港よりもう少し東寄りの市街地。実はこの画像内にも3つか4つの野球場が見えます。

 

 

この町で最も立派な球場はホセ・ブリセーニョ球場 (Estadio José Briseño) でしょう。近いうちに――具体的にはいつだったか忘れてしまいましたが――アメリカ大リーグのどこかの球団が試合にやって来ると、確かタクシーの運ちゃんが言っていたような。

 

 

さて、市街を眺めてばかりいないで、国立公園内を探索です。まずは洞窟です。

ただ、私は10mくらい入って、どうもこの手の探索は今の気分に合わない、外を歩いて野鳥を探そう、と思って引き返しました。

続きは次回。