この試合、三つ、かけているものがあった。一つは、今シーズン。もちろん、一試合で決まることではない。けれど、今年は、初めて、僕が、最下位と言い切って始まったシーズンだ。僕が言い切ったことなんて、何の意味もない、と思うかもしれないが、それは、冷静に見ている野球ファンの総意、だと思ってほしい。彼らを覆っている雰囲気自体が、そんな中にあるわけだ。だから、今日の試合で、何を見せるか? によって、シーズンは見えてくる。
そして、もう一つは、個人になるが、塩見泰隆の、ネタ選手からの脱皮ができるか? のかかった試合だった。今日の試合で、活躍できれば、彼の言った、と言われる、一流の選手に本当になれる。
それと、もう一つ、最後の一つは、主人公チーム、と言う名前だ。僕は、東京ヤクルトスワローズを主人公チームと言っている。それにふさわしいだけの価値があるのか? と言うことだ。今日の試合で、選手がどういう想いで臨み、また、結果を出せるか? で、本当に、主人公に、値するのか? が決まる。僕の見ている世界では、となるが、みんなも見ている世界だ。主人公は、それぞれにあるかもしれないが、僕らには、東京ヤクルトスワローズが、本当の、主人公の世界になる。
うまい具合に、今年のスローガンは、ネバーストップで、突き進めで、高津監督が、試合前のミーティングで言った言葉が、一球、一打、一日、一年、経ったら、必ず成長してくれ、それを約束してくれ、と言っていた。
下馬評、十二球団最下位、だからこそ、なれる、主人公の条件がある。一番の底辺から、どこまで、這い上がっていけるか? それを見るシーズンになった、わけだ。
実に、面白い。実に、価値がある。選手たちには、今そこにいることが、すでに、世界で最も恵まれた舞台にいるのだ、と伝えたい。讃えたい。この面白さは、まさに、半端ない。
そして、試合は始まった。僕は最初から、緊張しっぱなしで見ていた。山田の同点ツーラン。村上の、ヤクルト史上最年少の開幕四番の初打席勝ち越しのタイムリー。
そして、シーソーゲーム。もう、四回ぐらいで、僕は、いっぱい、いっぱいだった。けれど、選手は、立派に戦っていた。覇気のないプレーをしている人は、いなかった。雨の中の試合だ。いつ、中止になってもおかしくない。いつも、いるはずの、観客もいない。それでも、集中力を切らさず、誰もが、勝ちに貢献しようと、最善を尽くしていた。それで、最後のかけは、十分だった。このチームは、このテンションを持ち続けて行けるのなら、立派に、主人公のチームになれる。
けれど、試合は、勝ち越し、有利な展開に持ち込んだものの、若手投手陣が打たれ、同点、逆転負けとなる。
それ自体は、攻める気はない。初登板もあったぐらいの、若手投手陣だ。人生の肥やしにしてくれればいい、としか言えない。野球選手として、ではなく、人生の肥やしとして。それは、確実に、財産になる。
問題は、塩見だ。結果、打てなかった。真面なあたりさえなかった。僕は、今日の試合が始まる前に、Twitterに、塩見は、ネタ選手から抜け出せないらしい。神様の思し召しだ。とツイートしている。その通りなったわけだ。神様の決断は、人間が変えるのは、とても、困難過ぎることだ。
ヤクルトの未来に、欠かせない選手だ、と思っていたが、一試合で決めるのか? と言われそうだが、ダメかもしれない。それぐらい、強い、負の力が、周りに働いている。
そして、それは、ヤクルトにも言える。周りに負の力が働いている。普通なら、この戦力でも、余裕で勝てた試合だ。けれど、そうならなかった。これは、試練がまだ続く、と言うことでしかない。
今シーズンは、どれだけ、厳しいシーズンになるか? 今はまだ、想像だにできない。
けれど、最後の一つのかけが、すべてを救う。君らは、主人公になれる。その言葉が、すべてを救う。選ばれたものたちだ。僕には、そう見えてくる。
だから、それは、人として、一㎝でも、一ミリでも、一日、一打席、一投球で、成長できれば、それでいいんだ。十分、他人に見せるだけのものがある。最終的に、人間として優れれば、後は、何でもいい、のがこの人間世界だ。
高津監督が言ったように、選手として、野球人として、一歩でも成長して、一日一日を、大切に、費やしてくれ。と思う。
本当に、痺れた、いい試合だった。実力以上のものは出ない。かもしれない。だから、負けたのかもしれない。それでも、人が本気になる、と言うのを、久しぶりに、また見せてもらうことができた。それだけで、十分、価値がある。他の人の反応は悪いかもしれない。結局、勝てなきゃ、文句を言う人間はいるだろう。けれど、僕は見ている。見ている人は、見ている。
やるべきことをやった、人間の凄みを。必ず、栄光まで行ける道程が、今、開いたはずだ。驕らず、真摯に取り組み、人に優しく、仲間に優しく、いれたら、いける世界に、いけるはずだ。
まさに、今年のスローガン、ネバーストップ、だ。突き進め、立ち止まるな、だ。一日、一歩でいいから、必ず成長を刻むんだ。