【マーケット展望】テクニカル分析・ベストシナリオでは2007年10月に日経平均2万5000円も――佐々木英信・日興コーディアル証券国際市場分析部部長 チーフアナリスト(06/12/4)
――テクニカル的に見た場合、今の日本経済はどのような状況にありますか。
景気にはいくつかの循環があります。代表的なものでは、約4年周期の「キチンの波」、約10年の「ジュグラーの波」、約20年の「クズネッツの波」、約55年の「コンドラチェフの波」がありますが、これらの周期は全て2003年から2005年にかけて底を打ち、これから拡大期に入ることを示しています。
地価は約20年間の周期で循環しており、地価が上昇すると景気や株価が活性化されることが知られています。6大都市圏の地価をみると16年ぶりに上昇局面に入りましたので、これから企業の投資などが積極化されると思います。
さらに日本の貿易収支と所得収支の推移をみると、明治時代以降初めて所得収支が貿易収支を上回りました。しかも所得収支が貿易収支を上回ると、かつての英米の例を考えれば貿易立国から投資立国にシフトしていくものなのですが、トヨタ自動車やキヤノンなどの日本企業は依然として衰えを見せておらず、日本は「貿易立国であり、かつ投資立国」という非常に強い状況にあります。
――そのような大局観を踏まえ、日経平均株価はどう推移するのでしょうか。
明治以降の日経平均(1950年以前は東証が算出する主要有価証券株価指数)をみると、40年のサイクルがあることがわかります。1881年から1920年までの約40年間の上昇局面があり、その後1931年までの約12年間の下落局面があります。2番底をつけた1950年から1989年のバブルでの史上最高値までをみても同じように40年間の上昇局面があり、その後2003年までの13年間の下落局面がありました。この循環から考えれば、2003年から2042年までの40年間の上昇局面に入ったということができるでしょう。
――もう少し短期間での日経平均の推移はどのようになるでしょうか。
相場でよく知られている法則に「上昇局面では3段上げ、下落局面では3段下げ」というのがあります。日経平均株価は2003年4月に7607円の底をつけ、2004年4月には1万2163円まで上昇しました。これが1段目の上げに相当します。次に2006年4月には1万7563円まで上昇しました。次の3段目の上げがいつ始まるのかを戦後の日経平均で繰り返されてきた周期から読み解きますと、最も典型的な周期に、343週という周期があるのですが、1977年11月から343週経った2006年6月に底を打っているので、株価はこれからじりじりと切り返してくる局面だと思っています。ではどこまで上昇局面が続くかというと、1967年12月から474週経った2007年5月、もしくは1992年8月から183週経った2007年10月まで上昇が続くと予測されます。さらに最も長期化した場合には、1989年12月から221週経った2008年4月までというシナリオも想定されます。
――2007年の上昇局面では日経平均はどの程度まで上昇するのでしょうか。
個別株でも株価指数でも債券でも商品先物でも過去の値幅は繰り返されることが多いです。来年はごく控えめなシナリオでも、バブル崩壊後に下げた1991年3月から1992年8月までの下げ幅(1万2837円)を取り戻しにいくとなると、2003年4月の安値(7607円)から同じ値幅だけ上乗せした2万444円まで上昇すると考えることができます。
第2のシナリオは2003年4月の安値から04年4月までに4556円上昇しているのですが、この値幅だけさらに上昇したとするならば1万6719円となり、今年4月の高値(1万7563円)ですでにその水準を超えています。こういう場合はさらにもう1度同じ値幅だけ上昇する可能性があるので、2003年4月の安値に上昇幅(4556円)を3倍したものを上乗せした2万1275円まで上昇すると考えられます。
さらに第3のシナリオは1987年11月のブラックマンデーの安値から1989年12月のバブル時の最高値までの上昇幅(1万7879円)を2003年4月の安値に上乗せすると、2万5486円になります。
まとめますと、上昇局面が2007年5月までとなれば2万円から2万1000円前後、ベストシナリオでは2007年10月までに2万5000円まで上昇するといえそうです。その後はBRICsの台頭により、原油価格や穀物価格の上昇がテクニカル的に予測されることもあり、調整局面を迎えそうです。
――2007年の上昇局面を迎えるにあたってはどういう銘柄に注目すべきですか。
2007年の上昇局面では3つのトレンドがあると見ています。1つは値がさ株への物色が強まるということです。売買単価の25日移動曲線をみると、売買単価が1000円より下がると低位株への物色が強まり、600円を下回ると3年間ぐらいは低位株への投資のほうがパフォーマンスがよくなります。これが2001年のITバブル崩壊以降の動きに相当します。
しかし足元では売買単価は上昇しており、昨年10月には1400円まで上がりました。過去に1400円まで上昇したのは1989年のバブル時、2001年のITバブル時であり、今回もその時と同様に値がさ株が上昇するとみています。値がさ株が上がりやすいので、ETF(上場投資信託)でも日経平均連動型のほうがTOPIX連動型よりもパフォーマンスがよくなります。
第2のトレンドとしては小型株に比べ大型株のパフォーマンスがよくなることです。過去の東証1部の小型株指数を大型株指数で割った相対株価を算出しますと、相対株価が上昇しているときは小型株が優位に、下落しているときは大型株が優位となるのですが、2006年1月のライブドアショックで相対株価は天井を打ちました。この天井は1978年、1990年に打った天井の水準とぴったり一致しています。このことから今年8月以降は小型株優位の相場から大型株優位の相場に移りつつあると言えるでしょう。
第3のトレンドとしては、電機株の復活が予想されます。東証電機株指数とTOPIXとの相対株価を算出すると、東証電機株指数がTOPIXの2倍になったときに天井をつけています。この天井をつける周期は15年間隔であり、天井をつけた後5年から6年間は電機株は低下し続けるのですが、その後は電機株の上昇局面に入ります。昨年10月に相対株価は底を打ったのでこれから電機株は上昇するだろうと考えられます。
値がさ株、大型株、電機株という3つのトレンドを抑え、投資対象の中心とすれば2007年の上昇局面でリターンを得られるのではないでしょうか。電機株で、値がさ株で、大型株という3つの条件が揃えば最高ですが(笑)。
――2007年に3段目の上げに相当する上昇局面があるとして、その後の調整局面をどう対応すればよいのですか。
やはりウォーレン・バフェット氏のように長期投資が基本になると思います。例えばセブン―イレブン・ジャパン(現セブン&アイ・ホールディングス)は20年前に比べて株式分割などを調整すると、ピーク時には383倍まで上昇していることになります。
ただ、調整局面においてはただ保有しつづけるのではなく、保有株のメンテナンスをすることが大事です。株価が天井をつけた時に持っている株式の半分を売却し、下がった時に売った金額だけ買い戻すと1株当たりの平均コストが下がります。
もうひとつの方法はドルコスト平均法です。例えば日経平均株価を史上最高値の1989年から2003年4月までの間に約6割下落しているのですが、その期間毎月1万円ずつ日経平均を買い続けているとしたら、下落局面にもかかわらず保有株式の時価は投資金額を上回ることになるのです。つまり時間が勝たせてくれているのです。
この2つの方法さえ守っておけば先行きは明るいです。世界中の株式の上昇率などを考えたら2042年には日経平均は40万円になるかもしれないですから。
――テクニカル分析を一言で言うと。
相場の動き方そのものから相場の未来を読むというのがテクニカル分析の基本的なスタンスです。ファンダメンタル分析と比較されることが多いのですが、ファンダメンタルは過去の企業業績、テクニカルは過去の株価の動向と、過去の傾向を分析することで将来を予測するという意味では本質的にはどちらも同じです。
テクニカル分析では重要になるのがタイミングに関する考え方です。自然現象では、例えば潮の流れが「満ち潮→満潮→引き潮→干潮」となるように、一日が「朝→昼→夕→夜」と形を変えていくなど「誕生→生長→衰退→枯死」という「生々流転」の法則があります。株価についても同じことが言え、「上昇→天井→下落→底」という周期を変遷していきます。この4つの過程のうち、現在はどのタイミングにあるかを見極めて最大のリターンを得るのがテクニカル分析の目的です。
佐々木英信(ささき・ひでのぶ)
日興コーディアル証券国際市場分析部部長 チーフアナリスト |
来年の10月まで引っ張ってバブルをするとすれば、大きな周期的にみても、ブラックマンデーよ再びの
下落がセットでついてくると思うなぁ。
世界の資金はかつてない大きさにふくれあがって、早さもかつてないほど。