人は「生きたように死んでゆく」か | ペーパー社会福祉士のうたかた日記

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社会福祉士資格をとるまでと、とったあと+α。浮世のつれづれ、吹く風まかせの日々。

タイトルのようなブログ記事、

"人は生きてきたように死んでいく"的な

看取りイイ話、を目にするたんび、

「も少し限定的に書いてくれや」と思う。

 

家族を愛し、愛されて、満ち足りて、

心穏やかに生きてきた老人の最期が、

そうなったからってそれはたまたまで、

そんな最期を迎えられる方が稀有だ。

 

すんごい冷酷なことを書いているけど、

遺族の悲嘆をケアする立場からいえば、

人の死に際は、望むようにはならない。

 

むしろ皆がぼんやりと思い描いている、

TVドラマや舞台の感動シーンのような、

みんなに囲まれ、泣かれて看取られて、

痛み苦しみなく死んでいく方が、奇跡。

 

実際には、

臨終に家族が立ち会うことさえ難しいし、

私やこの人が何か悪いことしましたか?

どうしてこんな死に方するんですか?と

神様の胸倉につかみかかりたいほど

予想外のタイミングでヒドイ死に方をする。

 

遺族は長いこと、自責と後悔に苛まれて、

闇夜のトンネルの中を彷徨うことになる。

 

んでまた、

周りの連中も、そういう死に方に対して、

「運が悪かったんだよ」とか、

無神経きわまりない声かけをしやがる。

 

死に方は生き方に比例なんかしない。

どんなに誠実につつましく、優しく賢く、

人のためを思って生涯を生きていても、

必ず「死に際もそうなる」とは限らない。

 

少なくともわしの見てきた中では、

「必ずそうなるとは限らない」どころか、

真逆の死に方をすることさえある。

 

「えっ、今?」「まさかねー」

「うそでしょ?」「マジか!」

「やめて、おどかさないでよ」っていう、

そういう死に方がほとんどなんだよー

 

だから、

看取りにまつわるイイ話を書くんなら、

そのタイトルは、個別的かつ限定的に、

『穏やかな看取りの一例』とかが適切。


その一例を全人類一般にまで広げて、

『人は生きてきたように…』は、ない。

 

どうしてこんなこと書くかっていうと、

かけがえのない、子ども、親、配偶者を、

残酷で悲惨な最期で亡くした遺族も、

回答や救いを求めてネットを見るから。

 

そこで、

「いい生き方でいい死に方ができる」…

遺族にこの因果応報論はつらすぎる。

 

この論法では、

「こんな死に方はこの生き方の結果」と

どうしたって読めてしまう。

 

書き手が「そうじゃない」といっても、

「AならばBである」という表現には、

「AでなければBでない」も含まれるし、

「BであればAである」とも受け取れる。

ここに、遺族の求める救いはない。

 

うちの親は、あの子は、夫は、妻は、

あの死に方が答えなのか?っていう

新しい疑問に直面せねばならない。

 

わしもその一人だ。

亡くなったから美化も含んでいるけど、

うちの親はそれはそれは子孝行な親で、

世の中に尽くし、人に子に尽くした。

あんな終わり方は生き方に見合わない。

 

そんで、イヤってほど思い知ったのは、

死は、いかなる人智をもってしても、

予想や防御ができない圧倒的な暴力で、

こっちは無抵抗で無力一択ってこと。

 

悲嘆体験のない人とは話が合わない、

どんだけ無理解な"励まし"を浴びて、

人間不信に陥ったか、ほんとにもう…

 

こうすればいい死に方ができるなんて、

お気楽な法則はこの世に存在しないよ。

 

でも、存在しないからこそ、なのか、

どんなに絶望的な死別からでも、

人はそこから必ず回復するということ、

奥底に回復する力が備わっていることを、

わしはこの身と経験から知っている。

 

だから、

いまは孤立無援で毎日が苦しくとも、

寂しくとも、ここに私がいると伝えたい。

あなたが回復を望んでいるなら、

いつか必ずその日が来ると約束する。

 

わしがグリーフケアの末席にいるのは、

ただの一人でも、一組でも、

傷つく遺族を減らしたいという願いから。

 

光がまったくみえない遺族の足下が、

さらに暗く閉ざされることがないように。

いつもそんなことを考えて書いている。

 

生き方と死に方は、まったく別だよ。

そこには何の関係もないよ。

死別の理由なんか誰にもわからない。

キリストもお釈迦様もわかんないのに、

わしらにわかるわけがないんだよ。

 

だから、ただただ、一緒に泣こう。

悔しい、悲しい、なんで?どうして?

一晩でも二晩でも、怒り散らそう。

世界中を呪い、憎み、恨みつらみ、

我慢しないでいくらでも吐き出そう。

 

わしは無力だけど、ここにいるよ。

いつも、そばにいる。ほんとだよ。

 

ricorico1214