国家試験対策_基本的対人援助技術の原則 | ペーパー社会福祉士のうたかた日記

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社会福祉士資格をとるまでと、とったあと+α。浮世のつれづれ、吹く風まかせの日々。

意外にというか理由は不明だが、
金科玉条、覚えさせ?られる、
かの7原則が大問になったのは、
過去4回分でこの1回しかない。
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第24回国家試験【相談援助_理論】
問題99バイステック(Biestek,F,)による
援助関係の原則に関する次の記述のうち,
正しいものを一つ選びなさい。

1 「非審判的態度の原則」とは,
判断能力が不十分なクライエントを
非難することなく,ソーシャルワーカーが
クライエントの代わりに
意思決定を行うことである。

2 「自己決定の原則」とは,
クライエントの心情を感じ取ってほしい
という要求に応えて,クライエントの
訴えや気持ちを確実に受け止める
準備をすることである。

3 「統制された情緒的関与の原則」とは,
ソーシャルワーカーが自らの感情を自覚,
吟味して,クライエントの感情に対して
適切に反応することである。

4 「受容の原則」とは,
ソーシャルワーカーがクライエントに
受け入れてもらえるように,
誠実に働きかけることである。

5 「意図的な感情の表出の原則」とは,
ソーシャルワーカーのクライエントに
対する肯定的な感情を.クライエントに
対して意図的に表現することである。
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出たらボーナスpointで1点だけど、
事例問題としてもつくりやすい。

社会福祉士の対応事例をあげといて、
この対応はバイステックの7原則の、
どれにあたりますかっていう形式。
どっからどう攻めたって1点獲れる。

…と言い放ったところが次回受験生、
この問題は失点する、と言ってきた。
バイステックの7原則は覚えるけど、
内容がごっちゃになりやすいんだと。

なーにーーーぃぃぃいぃぃぃぃぃ…

どれとどれが混同しやすいかというと、
援助者相談者の感情に関する2項目。

>意図的な感情の表出
>統制された情緒的関与

援助者と相談者双方に感情があり、
どっち主体でどうするんだか混乱。

何でこんなことが起きるかというと、
授業によって、各講師によって、
この具体例がちょっとっつ違うらしい。

>クライエントが泣いたら共に泣く
>援助者が泣きたい気持ちを抑える

泣いていいのか泣いちゃダメなのか、
どっちやねん!となるらしいのね。

実際、相談援助の場にいる方々には、
こんな混同は起きないんだと思うけど、
私も学生たちも現場経験がないもので、
頼りは教科書と講師しかないんです。

ここでもいっつも書いているけれど、
抽象で理解した方がいいことは、
できるだけ抽象度が高いままが◎。

泣くとか怒るとか具体例を出しても、
人間の感情はもっと複雑怪奇なんで、
羞恥とか羨望なんかどないすんねん。

感情はいかなる個別例も排して、
ただ"感情"と理解すべきである。

さてと、

"意図的な感情表出の原則"って、
言われてみればよくわかんない和訳。
原語を出すとちょっとわかりやすい。

>purposeful expression of feelings.
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purposeful=明確な目的意識をもって
expression of feelings=感情の表現
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援助者がある明確な目的をもって、
相談者の感情表出を促進する原則。

バイステック『ケースワークの原則』で、
"相談者は感情、否定的な感情について、
表出したいというニーズを持っている"。

だが何らかの理由があって表出できない。
そこを刺激して決壊させるわけだけど、
ダイレクトに言語化するかは別として、
(「さあ、泣いていいですよ」とかね)
対話、傾聴と効果的な問いかけによる。

>当時のあなたはどう思いましたか?
>どんなことを感じていましたか?

読んでるとひやひやしてくるんです。
自分が相談者の立場だったとしても、
自分が援助者の立場だったとしても、

これはそのときの「本心」を引きだす、
ある種の賭けみたいな山場みたいな、
相談援助のキモみたいな場面であって、

信頼関係が構築された後じゃないと、
効果のほどは未確定要素が強すぎる。
相談者が表出してきた感情全てが、
援助者の手に負えるとは限らない。

相談者も感情を表出したはいいけども、
そのことで罪悪感なり自己嫌悪とか、
付随してくる"事後の感情"もあるわけで、

そうすっと刺激した相手に対して、
ヤツ当たり的な否定的感情を持ったり、
感情、情緒は流動的で瞬間的なだけに、
予想外のいろんな反作用が起き得る。

いつ、どんなとき、なんのために、
意図的に相談者の感情を表出させるのか、
援助者によほど力量がないとできない。

と、私個人は理解しております。
(とかく感情表出がヘタクソなもので)

で、もう1つ。

"統制された情緒的関与の原則"は、
統制するのは援助者であり、
統制される対象は援助者の感情。
=援助者の自己内で行われる規制。

援助者が自分の感情を制御すること。
自分の感情を自覚し吟味しつつ、
利用者の表出した感情を受容的、
共感的に受け止めること。とある。

ここで泣く泣かないの質問が出る。

自戒を込めてのことではあるけど、
"感情に流される"場面を想定する際、
クライエントに肩入れし過ぎるケース、
可哀相とか気の毒だとかが出てくる。

>つらい思いをいっぱいしてきて
>泣くことすら抑えている相談者

ステレオタイプのモデルケースである。
わかりやすいっちゃーわかりやすいが、
泣く以外の感情はどうするんだと思う。

>相談者は傷ついて泣きたいものです
>だけどそこに同調しちゃいけません
>冷静な客観性をもって接しましょう

そういう固定観念を植え付けるのも、
元相談者の立場としては抵抗がある。

同情を抑えるのは比較的平易でも、
嫌悪や憎悪はそうはいかないんで、
たとえば加害者に対する怒りだとか、
相談者本人の感情に反発したりとか、

偏見と差別は誰にでもあることで、
そこから流れ出る正負の感情も、
人として当然過ぎる帰結なんだけど、
それを「統制せよ」つうんである。

感情だけで生きてるような私にとって、
個人的にはこりゃもう至難の業である。

久しぶりにバイステック見てみて、
簡単にコレこういうもんですよーって、
言っていいもんだかの2原則だと思う。

現場に出てからとかは置いといても、
せめて試験に通る程度の理解とか、
整理して覚えられる説明をplease!!

で、余談。

私が学んだ某専門学校御用達教材、
「意図的な感情表出」の説明が、
こんなんでもう↓↓ワケワカメ。

>利用者の感情表現を大切にする

ここ、どんな感情表現でも、という、
一種の脅しに近いような一言があったら、
多少気構えに違いが出る気がする。

こういう原則は授業中の方法論として、
たとえば~と言いたくなるのだろうが、
安易な具体例を示すのは考えもんだ。

話は飛ぶんだけどこれもよく聞かれる、
"受容って具体的にどうすることですか"?


7原則の最初に個別化ってあるだろー
個別のケースによって違います!!

受容したってこっちが思っていても、
相談者は受容されたって思わなきゃ、
それはその人の感じる"受容じゃない"。

どういう受け答えが「受容」です、
どういう態度言動が「受容」ですとは、
具体例で限定しちゃいかんと思う。

なわけで、
基本用語こそいま一度見直すこと。
これ1点につながる極意なりね。


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第23回国家試験問題99:正解3