サービス介助士、の立ち位置って? | ペーパー社会福祉士のうたかた日記

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社会福祉士資格をとるまでと、とったあと+α。浮世のつれづれ、吹く風まかせの日々。

国家試験関連のお問い合わせが落ち着いて、一段落。ほっ。
介福チーム同様、社福チーム、燃え尽きたよ、真っ白な灰に…。

と思ったら。
ある資格のお問い合わせが入り始めた。
その名も「サービス介助士」である。

ごく最近、テレビでこの資格が放映されたとかで、
どんな資格か、どこでとるのか、難易度は、等々、
世の中の人は、向学心に燃えておるのだなー

誤解が多いのだが、この資格は国家資格でもないし、
介助、と名前はついてるけど、介護保険の適用外なので、
ともあれ、弊社民間医療福祉系資格チームに詳細を聞く。

余談だが、この資格を発行している、
NPO法人日本ケアフィットサービス協会
のHPは、ハッキリ言ってわかりにくい。

大多数は、団体自体が知りたいのではなく、
この資格を知りたい人がググって入ってくるのだから、
まずはこの資格をTOPに持ってこないと不親切。

TOP > 協会事業案内 >共育活動
サービス介助士2級検定取得講座のご案内講座概要
こんな階層の深いとこにおいといてもねえ。
逆に「資料請求」はTOPからすぐなので、狙ってんのかな?
問い合わせが多いのは、こんなとこにも関係あるのかも。

さて、サービス介助士には、
2級・準2級と、ジュニア、キッズがあり、1級はない。
高齢者や障害者の安心安全な社会生活の手助けとして、
「おもてなしの心」と「安全な介助技術」を学ぶ。

2級は実技+提出課題、準2級は提出課題のみ。
飛び級で2級だけ取得することも可能。
添削課題を期限内に提出し、認定試験に合格すれば取得できる。
※詳細は上記リンクから各自確認してくだされたし。

この資格の準2級の課題テキストを見てみると、
けっこうなてんこ盛りで、しかも内容は濃い。
ジェロントロジー(老年学)なんて言葉、社会福祉士だって、
なかなか、ああ知ってる知ってる、とはならない。

高齢者はもちろん、障害者に関しても、
知的・身体・発達すべてを網羅する、かなりの知識量である。
奥様の手軽な趣味とかでは、ちょいキツいんでは、と思う。

逐一、写真入りで、障害の程度や内容に応じ、
車いすなんかは広げ方、たたみ方に始まり、
坂道や段差の操作や注意点、それから点字、手話、
お金の授受、自動車の乗降、テーブルセッティング、補助犬、
懇切丁寧で、日常生活上、必要なことばかりだ。

という概要なのだが、注意したい点は、
この資格は、準2級だけ取得しても、介助はできない。
えっ?

はい、準2級を取得しても、直接の介助はできないんです。
大事なことなので2回言ってみた。

準2級で学んだ介助技術を、
直接やっていいのは、2級取得後である。
準2級は、当該団体の実技教習を受けてないから、
車いす押したり、視覚障害者の誘導なんかは、
資格とったからやっていいよとは言ってはいないのだ。

準2級を取得してできるのは、当事者にふれない範囲、
つまり見守りと声かけ、道案内くらいである。
HPを見ると、確かに、
準2級は自己啓発としても「知識」を学べます、
おもてなしの心と介護「知識」を習得できます、と書いてある。

いい解釈をすれば、座学でまず全般を学び、
実際にやってみたくなったら、ウチの実技教習に進んでね。
という、段階的スゴロク方式を採用し、
受講生も、自分の環境と、必要性と、適性と、
興味と関心をまず考えて知ってから、自主的に先に進める。
今度は街で見かけた困っている方に、声かけできますよ。

イクナイ解釈をすれば、
これだけ介護福祉系の資格が煩雑な中、
便乗して「士」という名称を用いながら、
実際には、ただ見てるだけ、という資格をつくり、
本家の資格にはハードルを設けて、阿漕な商売をする団体である。

さて、どっちなんだ。。

2級の実技は2日間。
これで実際の介護現場に、即戦力として突入するのは難しい。
けど、あくまでも「サービス」+「介助」だから、
販売や接客などの仕事の+α、スキルとして取得するなら、
それなりの意味はあるのかな、と思う。
企業イメージアップという側面も、多大にあるのだろう。

ところで、私自身は、この資格の目的は賛意の範囲だが、
「士」という名称には、かなりひっかかる。
それと、わざわざ訪問介護員と同じ、「級」にしたところ。

これは混乱する。何度も言うけど、世の中の人は、
福祉事務所と社会福祉協議会の区別も知らないし、
ケアマネジャーとヘルパーと家政婦のミタの区別も知らない。
社会福祉士だってさんざん説明したって、
まだまだマイナー資格に甘んじているのだ。

しかも、混乱混迷を続ける介護福祉士資格。
そこにわざわざ「介助」「士」というのを突っ込んだら、
後発で簡単にとれる介護の資格、と思う人は、たくさんいる。

名称は「ケアフィットサービス検定」とかでよくない?
士、ってついてれば重々しいしカッコもいいけど、
周囲の視線や要求、イメージもそれだけ狭くきびしくなる。

実力もともなわないのに、見てるだけのくせに、
なーにが「士」だよって、ならない?
実際の福祉専門職と肩を並べるには、荷が重すぎる。
資格の名称は、事実と内容に即したものにすべきだと思う。

この団体の真の目的がどこにあるのか、もう少し様子見。
この資格を取得した人たちが、
持っていない人と、どこがどう違うのか、
持っていないデメリットと比較して、取得する意義は何か、
きちんとデータをとっていく必要がある。

このHPには、サービス介助士2級取得者が、
約77,000人(2011年2月現在)いる、とあるが、
福祉専門職の資格は、人数=社会的ニーズではないわけで、
イクナイ解釈をしようとすれば、いくらでもできる。

そういえば漢検ってありましたしね…。


さて皆さま、そろそろバレンタインデーですよ!
ご準備はよろしいですか?
そうそう、マフラーに関しては、また後日。