20日:雪 | Latitude Gap

Latitude Gap

メンヘラは多分治った
自分の再生から、初彼女ができるまでを書き綴る

奴は突然現れた

「今日は相当参ってるようだね。中途半端に苛まれるなら、最後まで挿れちまえばよかったのに、まあ君にとって最大限だったのかも。」

吐きそう、幸いにして挿れなかったのはどうなんだろうか。
やはり勢いはあったとはいえ、段階を踏みたかった。残ったものは、疲労感と虚無感だけさ。

「彼女の前では、強がって理性が性欲に勝ってるなんてのたまってたけど、本能が曝け出されたんだね。」

そんな自分が怖いんだ。今までの自分じゃないみたい。

「たぶん森絵都の小説だと思うけど、セックス 、まあこれは準ずるものだけどをすると人が変わる描写を思い出したよ。もう何したか、言ってしまえば楽になるんじゃないか?」

実を言うと視覚的なところは、電気を消して覚えてない。相手はあんまり可愛くなかったけど、ブスではなかった。

彼女の吐息のタバコ臭さ、キスの歯が当たる感覚や触れるたびに横隔膜が上がる。くぐもったような切ない喘ぎが耳を劈く、触るたび乳首の硬くなる感覚、濡れたアソコは指を出し入れした後を見ればわかる。擦れ合う服の音、絡み合う肢体、足、指。

ただ、挿れてはないし、自分が何か施されたわけでもない。耳は舐められたけど。

夢であったなら、覚めて欲しい。




彼はしばらく考えるふりをして、ポツリと言った

「今を生きろ」