私が勝手にフォローさせて頂いているゲーム業界に身を置くある方の
ツイートで紹介されていたのをたまたま見たからでした。
AI(人工知能)を考える人間には必読である、と記述されており、
私はゲームこそ大好きですが仕事にする気は余りなく、
AI作成に携わる機会などおそらく今の世界では無いのですが、
ちょっと興味をそそられ、読むに至りました。
本書はその名前の通り、「生物から見た世界」を記述したものです。
今日の私たちはふだん、特に何も考えずに
「環境」という言葉を口にしていると思います。
ですが、その時の環境とはいったいなんなのか?
本来「環境」とは完全に客観的なものであり、
個々の人間が心地よいから「良い環境」だとか、
そういった表現は厳密には誤っているといえます。
「ここは良い環境ですね。」と言ったところで
おそらく誰の反感も買わないと思われますが、
厳密には、「私自身が心地よいから、ここは良い環境だ。」
というなかなかエゴイストな意味を持つのです。
ではこういう時に、
「主体から見た周りの世界」を何と呼べばよいのか、
それを本書では、「環世界」と表現しています。
ダニ、カラス、ハチ、ヤドカリなどなど
様々な動物から見た「環世界」を考えることで
動物の行動の原理を本質的に理解しようと試みるのが
筆者の研究の意図なのでしょう。
なるほど確かにAIを作るときには
AIという客体における、主観性を考える必要があり、
この「環世界」という考えは非常に重要だと考えられます。
どういった刺激に対して、どういった作用を発言するか。
どういった物を見て、どういった行動を連想するか。
こういった考えが、AIという人工物を人工物らしさから遠ざけるうえで
大いに役立つと思われるからです。
私の専攻する建築という分野でも、
利用者という他の生物から見た、環世界という考えを大事にし、
設計者のエゴを押し付けないようにすることが
よりよい建築空間を作る上で重要になってくるのでしょう。
そういった点でも
非常に面白い見地を与えてくれる本でした。
生物から見た世界 (岩波文庫)/ユクスキュル

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