「おりゃあああ」
シドの鉄拳が、ディエマの頭上から落とされる。
ゴン!!
頭を抱えうずくまるディエマ。
そのまま動かないし、声も上げないディエマに、シドが心配する。
「どうしたんだディエマ?」
応えないディエマ。
「おい」
ディエマの肩に手を置く。
振り返るディエマ…
「!!!!!!」
言葉を失うシド。
ディエマが泣いていたのだ。
それも満面の笑みで…
普通なら、
「なんだよ気持ち悪い顔しやがって!!そんなに痛かったか?」
というだろう。
しかし、シドはすぐに理解した…
うれし涙だと…
シド自身も苦しんできたのだ。
面と向かっては、気にするなと言う…
しかし、内心は複雑だった…
それまで何年もかけて培った技や努力が、一瞬にして奪われ
、村のリーダーでありながら、動かない足のせいで守ってもらわないといけない現実と向き合ってきた。
情けなかった…
誰かのせいにしたかった。
それが、本音だった…
シレイスに避けられている事は薄々分かっていた。
ディエマも、積極的に話してふざけるものの、自分から近づいてくる事はなかった。
お互い本音でぶつかったら、関係が壊れてしまいそうで避けていた。
三人とも分かっていた。
気づいたら、距離を置いていた…
「うれしぃ…うれしいよ。こんなに嬉しいことは無い…」
「ばかやろう…泣く奴があるか…」
「だ、だってよ…シドだって…」
気づけばシドの頬にも熱いものが流れている…
「ハ…今日はどうしてこんな泣き虫ばっかりなんだよ…」
「奇跡ばっか起こしてくれるどっかの泣き虫さんのせいかもな…」
「違いない…」
「おいおい、よせよ俺はそんな…」
慌てて否定するハージン。
「もう、遅いですよ。あなたの泣き虫ぶりはアゼク村全体に伝わってますから」
意地の悪い笑顔でいうのはシレイス。
「ジョーの奴もな」
「ありゃ~傑作だったな」
シドとディエマが続く。
それから暫く、三人は昔の失った時間を取り戻すように語り合い、笑顔を見せあった…
無防備な笑顔。
それを横に、静かに笑みを浮かべるハージン。
時は瞬く間に過ぎていった。
会話がひと段落し、落ち着いたころ、ずっと疑問に思っていた事を口にするハージン。
「そういえば、ジョーが言ってたシレイスが悔しがるって、何の事だ?」
「あぁ、それか…」
事も無げに答えるシド。
先に反応したのはシレイスだった。
「そうか…神殺し…宝剣…なぜ気づかなかった」
「どうしたシレイス?」
心配そうに聞くディエマ。
「例の空想話が現実にあったと言えば伝わるか?」
シドが言った瞬間、ハージンに注目する二人。
「まじか、シレイスやアネさんがやっても駄目だった事が?」
????
わからないハージンに、シレイスが聞く。
「宝剣には意思があり、かつての神は、その意思によってかの封印の地を訪れたとされている。あなたは、その意思と話す事が出来たというのですか?」
「いや、正確に言えば、声を聴いたかな…ぐらいで、会話までは…」
「そ、そうですか…」
「剣が話すなんて、今考えたら、気持ち悪いんだが、そんな重要なことか?」
「わかりませんか?私たちは、神の封印された場所へたどり着く為の手がかりが欲しいのです。今言った通り、神はその意思の手引きによってその地を訪れている」
「そうか!!封印の地への行き方を知ってる!!」
「その通りです。私とラリスは、ずっと、剣の意思と会話する方法を探っていましたが、神が封印されたと同じく、彼も封印されてしまったとしたら、可能性は薄いだろうと、あきらめかけていた事だったのですが…」
「ちょっと待て…今、彼も封印されてと言ったか?誰だ?まさか剣の意思の事を言ってるんじゃないんだろ?」
「いいえ、剣に宿っている意志の事を彼と…」
はあ?
疑問符が駄々洩れのハージンの顔。
「剣に宿る意思…って何?俺は何と話をしたんだ?」
「フェルティス・ジュネロ・ジルバ…神の弟です」
~続く~
