十七条の憲法について(7) | Rhythmicbeatの感想文

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気になった事柄の感想を記録していきます。
1年も経つと何でこんな話をしたのかわからなくなるのも楽しいし、
英文表現にもトライしたいし。

第十三条

 もろもろの官に任ぜる者、同じく職掌を知れ。あるいは病し、あるいは使して、事をおこたることあらん。しかれども知ることを得る日には、あまなうことむかしより識れるがごとくせよ。それ与り聞かずということをもって、公務をさまたげそ。

 

 訳 官僚はすべからく、職掌を承知せよ。仲間が病気、あるいは使節として事務を離れる時もあるだろう。そんな時に、その業務内容を承知していて、昔から担当していたように補うことができるようにしておけ。その業務は知らないといって、公務を滞らせてはいけない。

 

 団体スポーツでは色々なポジションでプレーできる選手をユーティリティプレーヤーと呼び、監督は重宝する。現代でも日本人はあらゆる組織において同僚の仕事をすぐに引き継げるに越したことはないと考えている。しかし、個人の経験、知識、技能及びこれらに基づく判断や利害関係者から寄せられる好感度や嫌悪感などは引き継げない。現代にいたるも定型的な業務に限られるだろう。

第十四条

 群臣百寮、嫉妬あることなかれ。われすでに人をうらやむときは、人またわれをうらやむ。嫉妬の患え、その極を知らず。このゆえに、智おのれに勝るときはよろこばず。才おのれに優るときはねたむ。ここをもって、五百歳にしていまし今賢に遇うとも、千載にしてひとりの聖を待つこと難し。それ賢聖を得ずば、何をもってか国を治めん。

 

 訳 役人には、嫉妬は禁物である。自分が他人を羨むとき、他人もまた自分を羨んでいる。嫉妬の罪悪は際限がない。嫉妬ゆえに、他人の知識が自分より優れているときは喜ばず、才能が優るときはねたむ。このため、五百年に一人の賢者に出会うことも、千年に一人の聖人を待つこともできない。得難い人材を採用できずしてどうやって国を治めようというのか。

 

 現代でも妬みは組織を機能させない。日本では、それなりの地位にある人で、自分より有能な人間を抜擢する人間は珍しい、故に組織は衰えていく。衰えた組織はどうなるか、日本国において有能な人間は、元の組織はそのままに、新しい機能と適用範囲を定めて、組織内に組織を作り、その長となって、実質的な権限を掌握するという方法をとる。

 天皇から官僚機構を奪った藤原氏、国民が納得する裁判基準と警察力を行使して支持を集めた幕府制度(幕府の長は将軍だが、法に基づいて将軍は天皇から任命される、その任命手続きは藤原氏が行う)、サッカー協会にプロ組織(Jリーグ)を持ち込んでチェアマンというリーダーに就いた川淵氏の成功もそんな側面があるだろう。