昨日もそうだった。
たとえ職場であっても、気は抜けない。
トイレに入ると、トイレットペーパーが切れていた。
自分には「あるのが当たり前」なので、座る前に確認なんてしない。
だから必要になった瞬間に気づく。
――えっ、うそ。ないの?
けれど、その瞬間、ポケットの中に“いざという時のため”の
トイレットペーパーが入っていることを思い出した。
安堵。
命に関わることではない。
でも、女性にとって大事なことだ。
毎回「トイレットペーパー」と書くのも長いので、ここからは「トレぺ」と呼ぶことにする。
わたしは親切なところがあるので、次の人が困らないように、隣の男子トイレから
一回分だけトレぺを拝借し、女性用のトイレの空になったホルダーの上に置いておいた。
助け合い精神でもある。
次の人も同じようにその次の人のためにそうするかも、と思いながら。
トレペがない。一年に一度くらいなら、「まあそんなこともあるか」で済む。
でも、フランスでは結構な頻度で起こる。
以前、トイレ前の事務所に「紙がありません」と伝えたら、「わたしの担当ではないので受付へ」と言われたこともある。遠い記憶だが、妙に印象に残っている。
ちなみに、わが家ではトレぺが切れることはない。
わたしが、なくなる前に必ず補充するからだ。
もし切れていたら、自分の衰えを疑うレベルである。
フランスで外出中に困ることは、まず“使えるトイレ”が少ないことだ。
「トイレはありますか?」と聞いても、「ありません」と普通に言われる。
いや、スタッフの皆さんも人間なのだから、絶対どこかで使っているはずなのだけれど、
一般客には貸してくれない店も多い。
日本のように、ビルへ入ればすぐトイレが見つかる、というわけではない。
そのため、学生時代は「とにかくトイレに行きたい」という理由で慌てて
カフェに入ったことが何度もあった。
でも、また飲み物を頼む。
するとまたトイレに行きたくなる。
そして別のカフェへ……。
そんな堂々巡りを想像していた。
ただ、不思議とカフェやレストランで「トレぺが切れていた」記憶はほとんどない。
問題は、職場や駅、公園などの公衆トイレだ。
トレぺ切れは、珍しくない。
職場のトイレが巨大な業務用ロール式に変わったことがあった。直径40センチはありそうな
巨大サイズだ。
ところが、取り出し口が小さすぎる。
勢いよく引っ張らないと紙が出てこないのだと思う。
わたしが使おうとしたときは、もう中で詰まっていて、
いくら引っ張っても微動だにしなかったということがあった。
これが何度も続いて、かなり辟易した。
さらに、近くの公園のトイレはなぜかいつもトレぺが湿っている。
水漏れなのか、トイレを流すときの水流が強すぎるせいなのかは分からない。
でも、湿った紙を使う気には到底なれない。
雑菌まで想像してしまう。
だから、ポケットにはトレぺ。
わたしにとって、これは必需品だ。
もし「フランスに行ってみたい」と思っている女性がいたら伝えたい。
ポケットには、トレぺ。
お忘れなく。