はじめて座った王座のようなドラマーの席 | 音楽すること・生きること

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フランスに住んでいます。結婚、出産、国を超えての度重なる引っ越しを経てフランスに在住、長男が小学校5年生の時から仕事を
再開。その1年後にジャズピアノを始めました。
音楽・その他、日々の出来事を綴っています。

フランスは今日は休日。

普通は授業はないはずなのだけれど、

あまりに同じ曜日に休日が重なり、授業が抜けるので、

休日にもかかわらず即興の授業が特別にあった。

 

もう最近、2回も授業にあたる日に休日があり、わたしが仕事と

次男の送り迎えにあたって行けない日に振り替えがあった。

1回は、30分だけ授業を聞けたが、

2回目は参加することができなかった。

2回も、1回目は30分は参加したにせよ、2回分授業の波に乗り損ねると、

自分だけ置いてきぼりになっているような気がしてくる。

休日に当たるので、先生の配慮で別の日になっているという事情はわかっていてもだ。

 

今回も、わたしが来れない日に振り替えられると思っていたら、来れる曜日に

振り替えてくれた。休日なので、いつものメンバーのうち、

来れたのは3人だけ。いつもの半数以下の生徒だけだ。

来ていたのは、わたしには ほとんどプロに見えるピアニストのっぽさん、

そしてこれも、セミプロレベルのヴィブラフォンの男の子だけだった。

バシストもドラマーもお休み。

 

先生がリードシートを一枚配った。

リードシートをもらって、5秒後には、先生が言った。

「やんぱっぱ(わたしの仮称)とのっぽさん、交替でピアノを弾いて。」

『ちょっと待って、転調とか、ヴォイシングとか、251とか

予見する時間がないと』と言うのがわたしの内なる声。

呼ばれたけれど、

「コードを読み解くのが苦手なので、」

と言うと、先生はのっぽさんを当てた。

のっぽさんは、たくさんの曲を暗譜で弾けるようで

この曲もレパートリーなのか、すらすらと弾いて、

ぎょっとするようなテンション入り音のコンピングを入れたりしていた。

「何が分からないんだ。?」

先生が わたしにそう聞いた時は、わたしは、リードシートを見て、

『あ、ここは251マイナーだ。あ、ここも。

ポジションAにしようか、それともB、

これはAb7か,いや違う、A7b9、

ここは何だろう、つながりが見えない。

一番近い音に行くとすると・・・』

なんて考えている真っ最中だった。

先生は、それじゃあ別のことを

させようと思ったのだろう、わたしに、ハーフで

ルートと5度で、バスラインを弾くように言った。

1小節同じコードと1小節に2つ入るコードとあり、

バスラインを弾くのは慣れていなくて途中で見失ったら、

のっぽさんが優しく、コンピングしながらここと黙って指さしてくれた。

何回か通してバスラインにばっちり自信がついた。

 

見ると、ドラムセットがあり、先生がドラムをたたいていた。

リードシートが読み込めたので、替わりばんこに

4小節ずつソロをとった後に、コンピングをしてみた。

先生が横に座ってメロディを弾きながらわたしに

「テンポを保て、落ちついて。」

と声をかけた。

その後、のっぽさんと先生が弾いている時に、

わたしはドラムの場所があいているのに気がついた。

いつもはドラマーくんの指定席だ。

先生が すぐに戻ってこないことがわかったので、わたしは

3人しか生徒がいなくてリラックスした雰囲気だったこともあり、

いつもなら、わたしの場所じゃない、知らない場所、である

ドラマーの椅子にはじめて座った。

先日聴きに行ったジャズののコンサートでは、ドラマーが舞台の真ん中にいて、

絨毯みたいな敷物の上に

横長に楽器がセットされていて、王座みたいな特別席に見えた。

そこにわたしが座った。

丸い、回転する椅子は、腰を下ろした瞬間、ふわりとした座り心地だった。

のっぽさんが弾いている間に、ヴィブラの男の子に、手で合図をして聞いた。

左にある、シンバルの2枚重ねみたいなのはどこで踏むのか聞きたかった。

自分の息子のような年のヴィブラの子はわたしのところに来て、

いつも2と4で踏むと教えてくれた。右手の方にある、名前は知らないが

1枚シンバルのようなものは、1234と全部叩いていいと教えてくれた。

先生に邪魔だからやめるように言われるかと思ったが、何も言われないので

自由に続けていた。

何も言わないし、きいていないと思ったら、

「やんぱっぱ、後につけすぎ。 もっと、前に出してならさなきゃ。」

と言われて、聞いていたのかとびっくりした。

 

あとから、

「やんぱっぱ、楽しかったか?」

と聞かれた。

「ええ、とっても。」

そう答えると、

「ドラムやれば。」

と言われた。

 

日本では小太鼓のばち、というくらいしか名称の覚えがないので、

ばちをフランス語で何というか知りたくて聞いたら、

baguette(バゲット)、と先生が教えてくれた。あの、パンと同じ名前だ。

英語ではステイックと教えてくれた。

 

わたし以外のメンバーは、バシストであっても、ギタリストであっても、

ヴィブラの子は打楽器奏者だからドラムをたたいても驚かないが、ドラムを組み立てられるし、

どんなところでどんな音を鳴らすとか、よく知っているように見える。ギタリストは

エレクトリックのドラムを持っていると言っていた。

ドラムのことを全く知らなかったのはクラスの生徒たちのお母さんみたいな年のわたしだけ。

ふと見たバチには vic firthと印刷されてあった。

この名前は・・・

思い当たった。田川さんがくれたサイト情報にあった文字だ。