指で弦をはじくピチカートは弦楽器奏者ならのではの見せ場だ。
おもしろいな、どうなっているんだろうなと、オーケストラ曲に出てきて
聴こえる度に思っていた。ところが うちできいた長男のピチカート、
なんか変だ。
バイオリンの先生が長男にまじめに言った。あなたはつまらないと
思って弾いていて、それを聴いてる人もつまらない。
方向性をもたせてちょうだい。Il faut donner la direction.
言い終わると弾いてみせてくれた。リズムで言うと四分音符単位で
休符・ポンポン・休符、というのが2回あって、次は2小節かけて
休符・ポンポンポンポンポンポン休符、となる。音のあがりさがりで
ニュアンスが、クレッシェンド、ディミニュエンドがあった。指での弦の
はじき方も長男よりもっとダイナミックで外側にはじき出し、音が
はっきりしていた。
長男と一緒に弾いてくれた。長男が理解しているかどうかは確かめ
なかったので、長男はなんとなく感覚的に感じたくらいだろうとみた。
わたしはこどもの時から大人になるまで数人のピアノの先生と学んだが
日本の先生はよく理解し、できるまで繰り返しやらせたものだ。
フランスでは どうも様子が違う。先生によるのかもしれないが こどもに
先生のメッセージを受け取る力があって、自分もそうしたいと思って
目からうろこが落ちた状態になった時、一回言われただけでも
できるということがありうる。そうでなかったら、大きくなって自分で
気がつくまで、変な音楽を続けるのではないだろうか。繰り返すことを
自分ができないから、罰せられていると悪く取り、落ち込み、イライラ
状態になる。学ぶは 真似る、というところのある日本の文化と ほど遠い。
バレエのお稽古を見学に行った時も、もう一度繰り返して練習をする時に
これはあなたたちを批難して罰するためにくりかえすのではなく、よりよく
踊るためだと前置きしていた。
日仏比較の文化の違い。フランスの小学校では いたずらをした場合
規則だったり、反省文だったりを、繰り返し、何ページも何ページも
書かせる。単調なことが嫌いなフランス人には耐え難い罰である。
フランスに住むこどもに何かを繰り返させて教えたい時は、罰ではない
ことと、何のために繰り返すかを明確にしないと、日本のこどもとは違う
ので とんでもないことになる。気をつけよう。