入浴あれこれ | どこまでやれるかな

どこまでやれるかな

現在、老健に認知症(レビー)の母がいます。

老健での母の様子や働くスタッフの方々を見ていたら、色々と思うこと感じることが出てきてしまい、思い切ってデスクワークの仕事を辞め、介護職に就くこととなりました。

働く日々を綴ります。

昨日は一日入浴介助の日でした。

昨日の入浴スタッフのもう一人も女性。

彼女は男性ラインを、私は女性ラインを担当します。

男性ラインっていうのは入浴するご入居者がほぼ男性ばかりのライン、女性ラインはほぼ女性ばかりで、なおかつ女性の介助を希望しているラインです。


午前中は4人。
4人のうち1人が男性でした。

その男性はふだんから歩き回っていて、いつもその人独自の世界の中にいる方です。
会話はなかなか成り立ちません。
時折、大声を出したり、怒ったりと、不穏時は入浴は無理です。

が、昨日は穏やかでスムーズに入浴してくれました。
立ったり座ったりはできますが、それ以外は全介助です。


午前中は予定通りの時間にその4人を入れ終わりました。


もう一人の入浴スタッフの女性は、本来4人予定のところ、頑張って5人入れたそうです。
凄いです。


午後からは私は5人入れなければなりません。

その中に視角障害がある女性がいます。
その女性を入浴介助するのは、やはり気を必要以上に遣います。

居室で着替えを用意するところから始まります。

そのご入居者はだんだん視力が失われてきた方なので、タンスのどこに何が入っているのか、何色の服があるのか等々、わかっていらっしゃいます。

なので、すべてその女性の指示で着替えを用意します。


入浴の際、身体を洗う時も、洗ってほしいところはハッキリおっしゃいます。

背骨の両脇
ウエスト
ネック

が毎回決まって言われるところです。

その女性は指定部位以外はご自分で洗われます。

お尻、股間を念入りにホーム用の白いミニタオルで洗うのですが、結構、これでもかってぐらいに洗われます(笑)

この女性に限らず、ご入居者のお尻を洗うと、まず間違いなくタオルは汚れます。
白いタオルなのでよくわかっちゃうんですよね。

なのでお尻は最後に立って頂いてから洗っています。
それから、そのまま全身の泡を洗い流して浴槽へ入っていただく流れです。
OJT研修でもそうだったので。

お風呂は週に2回なので汚れていて当然です。

その女性はご自分の順番で洗われるので、その通りにこちらもお手伝いをします。

その女性はお尻を洗った後、
「あと、足首から先を洗ってください」と私にタオルを渡してくれます。

汚れた小さい白いタオル…
タオルを一度すすぎたい、というか洗いたいですねやっぱり。

そのタイミングがないんですよね…。

そのタオルで洗う女性の足に対しても、そのタオルを握る自分の手に対しても若干の抵抗を感じてしまう私です(笑)


お風呂から出た後の爪切りは必須です。

月曜日の入浴で爪は切ったばかりでしたが、昨日の木曜日も爪を切ってほしいとおっしゃいます。

が、当然ほとんど伸びていません。
無理に切るのは危険というか、私が怖いです。

「切ったばかりでほとんど伸びていませんが、気になりますか?」と聞くと、しばらく爪を指で念入りに触ってチェックされます。

「じゃあ、ヤスリでお願い」とおっしゃるので、念入りに爪にヤスリをかけます。

ヤスリをかけた後も、その女性はまた念入りにチェックされます。
気になるところがあれば「ここ、もう少しやってくださる?」とリクエストが入ります。

チェックが細かいように思うかもしれませんが、視覚障害がある方にとって、自分の目で確認できないことは、自分の触感や視角以外の感覚を研ぎ澄まして確認するしかないんですよね。

なので、そういうリクエストも当然のことです。

察する、痒いところに手が届く、そういうことができるのは介助者ならではであり、介助者の仕事なんだなぁと思いました。




ご入居者と話ができるのが入浴時でもあります。

母と同い年の女性の入浴介助。
息子さんが二人いらっしゃるそうです。

腰を圧迫骨折してから、ご自宅で一人で生活するのが困難となり、このホームにご入居されて2年余り。

最近、ようやく体重が戻ってきたのよとおっしゃいます。

お聞きすれば、入居されてから10㎏も痩せられてしまったそうです。

10㎏!
尋常じゃないですね。


食べられなかったと、
ホームでの生活になじめずに、嫌で嫌でたまらなかったとおっしゃってました。

でも、一人で生活できずにこのホームに入ったのだから仕方がないのだと思い、我慢してきたと。

そして、だんだん生活に慣れてきたことで食べられるようになり、ようやく最近になって体重も増えてきたのだとおっしゃいます。


母と同い年の女性だったので、ついつい母と重なってしまいます。

もしも自分の母親がこんな思いをしていると知ったら・・・
悲しすぎますよね。
家族として・・・娘として、辛すぎます。

この女性は認知症もないので、大変しっかりなさっています。
それだけ、色々と考え悩んでしまうのだとも思います。

それだけに辛いはずです。


私はその女性に「母親がそんな思いをしていたら・・・辛いです」と言いました。
その女性は「息子なんて、そんなふうに思ってくれませんよ(笑)」と笑ってらっしゃいました。


いえ・・・きっと息子さんだって悲しいはずです。
言いませんでしたが。

でも今はようやく慣れてきて、ご飯も美味しく食べられるようになってきたということなので、本当に良かったです。

その女性は「やっぱりだんだん慣れてくるのね」と。


何事も「慣れる」とうことには時間が掛かるんですよね。

慣れるまでが大変なんです、何事も!


昨日の一番最後の入浴のご入居者は、まだご入居されて2ヶ月ほどの女性です。

ご病気で倒れられて、退院後このホームに入居されました。
80代後半で認知症がおありです。

この女性の入浴介助で、スタッフ側が対応に苦慮していることは、着替えたがらないこと、ウィッグを外してくれないことです。

かなり頑なです。
拒否が激しいです。

基本は無理矢理にはやらないようにしています。

なので、ご入居間もない頃は、無理に洋服は替えてもらわず、ウィッグを外すことも無理強いはしませんでした。

とは言え、ずっとそのままというわけにはいきませんよね。

毎回、居室にお迎えにあがり、入浴の着替えを用意して頂こうとすると
「今朝着替えたばかりだからいいの」
「服が全然ないのよ」
「これは全部嫁のよ」
「嫌よ、こんなの。何十年も前ので着ていなかったやつだもの」
「私を何歳だと思っているの?こんな色、着られないわよ。わかる?私の気持ち」
「みんなと仲良くなりたいのに話もできないのよ」
「息子たちに薬で眠らされて、勝手にここ連れてこられたのよ」
「もう最悪よ。生きてきた中で、今が一番最悪よ。もう死にたい」


これが、この女性のいつもの言葉です。
昨日も同様です。

それを聞きながら、なんとか着替える服を用意しようと、私は言葉を掛けます。
「これはお嫁さんが用意してくれたもので、全部新品ですよ」
「お嫁さんの服じゃなくて、△△さんの服だか自由に着ていいんですよ」
「ほら、この服、素敵ですよ。これぐらいの色の物をお召しになった方がいいですよ」

もちろん、私のこんな言葉は全てその女性は跳ね返してきます。


昨日は、そこへ、入浴介助のもう一人の女性が応援に来てくれました。

着替え促しとウィッグ外しのための応援です(笑)


彼女は、このご入居者の女性の言い分をとても優しく聞き入れます。
「そうだねぇ」
「うん、うん、わかるよ」
「嫌だったら、また後で着替えよう」
等々。


私は目からウロコでした。


私はそもそもこのご入居者の女性の言い分を傾聴していませんでした。
説得しよう、わからせようとばかりしていたんですね。


でもこの応援に来てくれた女性のスタッフは、まさにご入居者の話を傾聴した上で声を掛けていました。


私はさんざん認知症の母親を見てきて、老健で認知症の入所者さんを見てきて、否定や説得なんて通用しないこと、よくわかっていたはずなのに。


私は何をやっているんだと、その時ホントにハッとしました。


なんだかんだで、その女性の着替えを用意してお風呂場へ向かいます。

この女性は、いつも、どんな時も貴重品を肌身離さず持っています。

その他、お腹にもタオルを巻いて、その中に鍵のような貴重品も入れています。


病気をして入院するまでは、ずっとテニスをやっていたということで、ハンパなく足腰が丈夫で姿勢も良く、年齢より遙かに若く見えます。

なので、着替えも立ったままズボンも靴下も危なげなく脱いでしまいます。

服をサッサと脱ぐと、貴重品まで持ってスタスタとお風呂場に入っていきます。

私たちが「貴重品、濡れちゃいますよ」と言っても、その女性は「大丈夫よ」と言って使わない洗面器の中に入れてしまいます。

ここは彼女の気の済むように。


まず最初に頭を洗おうとして「髪の毛、洗いましょうか」と言うと、凄い勢いで「いいの!洗わなくていいから。自分で洗ってるもの」と決まっておっしゃり、ウィッグを抑えます。

おそらく・・・いえ、絶対ご自分で洗ってはいません。

私たちは、ウィッグももちろんですが、その下の髪の毛、頭を洗いたいんですよね。

頑なに拒否をするので、身体だけ洗って湯船に入ってもらいました。


もう一人の女性スタッフが「湯船から上がったら、ササッとウィッグを取りましょう。こないだ2人掛かりで取ろうとしたら、△△さん、最後は自分で取ってくれましたから」と。


半ば強引にウィッグを取るということです(笑)

確かに、このままウィッグも頭も洗わなかったら…
臭くなるし、何より本人が痒くなるはずです、不潔になってしまいます。


さて、その女性がお風呂から上がりました。

浴用椅子にまずは座って頂きます。

「ちょっと頭、洗っときましょう」と言ってウィッグに手を掛けようものなら、もう烈火のごとく怒り出します。

もう一人のスタッフも私も言葉は優しく、何度かウィッグに触れます。

ご入居者の女性は怒って立ち上がり、私たちの手を払いのけ、暴れ出します。

「わかりました、わかりました、危ないですから座りましょう」と言って、座っていただき仕切り直します。

強引のようで強引じゃないように、何度かウィッグに手を掛けてみます。
その女性は
「何で今日は2人なのよ!?」
「貴重日を取ろうとしてるの?」
「家族から言われてるんでしょ?」
「女性ならわかるでしょ!」
「裏切らないで!」

猜疑心全開で、私たちにくってかかります。

私たちも、
「△△さんのこと心配して来てくれました」
「そんなことないですよぉ」
「大丈夫ですよ、信じてくださいね」
「みんな裏切ったりしませんよ」


そんなやりとり、攻防が続き、最後にはこの女性が半ば怒りながら自分でウィッグを外して、自分でウィッグにシャワーをかけて、乱暴に水を切り始めました。

「後で自分の部屋で乾かすわ!」と不機嫌なままです。


そのウィッグを私が受け取り、簡単に洗い直して「お風呂出たら、ちゃんと乾かしますよ。一緒に乾かしましょうね。頭も洗いましょう」
と声を掛けて、頭もようやく洗えました。

本人は気になるのかもしれませんが、ウィッグをしなければならないような状態ではありません。

むしろ、ウィッグをつけ続けることで頭が蒸れてしまっているし、頭を洗わないことで髪の毛も大量に抜けます。


このような、半ば強引な介助は本当はNGだとは思います。

ウィッグも頭も洗わなくたって死にはしない、本人の気持ちを尊重すべきだ・・・なんて言われるのかもしれませんが。


でも「尊重する」は「言いなりになる」ことではないです。

私にも実の所、こういう対応の正解はわかりません。


言葉掛けや、やり方にもっと工夫と配慮が必要であることはわかっています。

試行錯誤してみるしかないでしょう。

あとはこのご入居者との関係を、今後どう築いていくかが大切です。

認知症がおありのため、対応が難しい部分があることも確かですが、認知症だから仕方がないと言ってしまったらそれでお終いですよね。



入浴介助で学ぶことはたくさんありますね。



昨日、一緒に入浴介助をした女性スタッフ(20代)は、何とお母様も現役の介護職で、別のホームで、しかも常勤で働かれているそうです!

そして、おばあさまも、かつて介護の仕事をなさっていたそうです。
そして、そして、弟さんは現在、障害者施設で働かれていると!

頭が下がるご一家です!

若い彼女から学ぶこともたくさんです!



昨日も働いた感120%で、気持ちよく疲れました。
なのですぐに寝落ちです。


今日明日と連休です。


今日は夜からホームミーティングがあるので、それには出席します。

外は雨模様です。

母の所へは、明日行こうかなと・・・
明日も雨みたいですが。