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アウトサイダーの本棚

活字メディアを中心としたレビュー


面白い本たち-small town america
1994年、Harry N Abrams

1970年代から1990年代にかけて、アメリカのスモール・タウン(田舎の小さな街)を写した写真集である。

アメリカというのは広大であり、都会と田舎では、あたかも違う国のようである。労働力や資本、情報が集中する大都市部と比べると、いかにも「何もない」のがスモール・タウンである。

しかしスモール・タウンには、アメリカ人の心を強く惹きつける何かがあるようだ。それはノスタルジーかもしれないし、大都市部ではとうの昔に絶滅したように見える人間同士のつながりかもしれない。

日本人である私がこの写真集を好きなのは、部屋のインテリアや街並みなどから透けて見える、ある種の精神性のゆえである。「用の美」を感じさせる事物の並びと言うか、プラグマティズムの土壌と言うか。ページをめくっていると、ヨーロッパ的な合理主義をより実践的にしたような、アメリカ的としか言えないライフスタイルが見えてくる。

無論、これは私の勘違いかもしれない。日本びいきの白人が、何かにつけて「禅マインド」を引き合いに出すようなものかもしれない。でも勘違いにせよ、トクヴィル(フランスの思想家。19世紀にアメリカを旅し、ヨーロッパとの差異を感覚的に記した『アメリカのデモクラシー』が有名)が感じたような何かが、形を変えて生き残っている気がしてならない。

思想やライフスタイルが透けて見える風景。そこには世界の嫌われものである超大国アメリカとは異なる、ある種の普遍的な魅力を感じる。