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アウトサイダーの本棚

活字メディアを中心としたレビュー


面白い本たち
講談社文庫、1998年

エンターテイメントの本質がここにある。

ストーリーは甲賀と伊賀の忍法対決。身体の限界を超えた忍者が跋扈する「そんなバカな」という世界が提示される。

マンガやライト・ノベル、ゲームなどでも、派手なアクションが描かれる作品は数多い。しかし山田風太郎の作品は、百馬身くらい突き抜けている。天井知らずの想像力と、極めてタイトな文章表現。いつ崩壊してもおかしくないくらいのギリギリの世界観が、このうえない安定感で語られるのだ。冒頭で「エンターテイメントの本質」と書いたのは、そういう理由である。

本作は必ずしも「史実」に基づいたフィクションというわけではない。そういう意味では、「歴史小説」ではない。しかし時代背景をベースラインとした普遍的な人間性が的確に描写されているため、私たちは語られる「嘘」をとてもリアルに感じる。私たちは一歩引いた読者としてではなく、むしろオブザーバーとして物語に関わる。山田作品の中毒性や没入感はそんなところに理由がある気がする。

なおこの作品以外にも、山田風太郎の忍者ものは数多い。そしてそのほとんどが、驚異的に面白い。